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漁船

2012-10-26 06:49:06 | Weblog
巨大な漁船は今も、港から500メートルも内陸に乗り上げたままだった。津波で宮城県気仙沼港から流された巻き網漁船「第18共徳丸」。周囲にあった大量のがれきは撤去され、雑草の中でコスモスが秋風に揺られていた。

教訓を伝える震災遺構として、漁船を保存し一帯を復興記念公園にする構想もあるが、所有者は解体したい意向を伝えている。つらい記憶がよみがえる、という反対意見も根強い。

震災で建物が損壊し、来年4月に2年ぶりに全面開館するリアス・アーク美術館は、気仙沼市と南三陸町の被災地で収集した「被災資料」を展示する常設展の準備を進めている。ねじ曲がったH形鋼、折れた電柱、泥まみれのぬいぐるみ、土砂が詰まった洗濯機・・・。

津波の破壊力を伝え、暮らしの記憶がにじみ出る約250点を学芸員が集めた。「私たちには“がれき”ではない。何を失ったのかをはっきりと語りかけてくる被災資料なのです」。

自身も自宅を流された学芸課長の山内宏泰さんは語る。見つめていると、その家族の物語が浮かび、涙がでることもあったという。震災の翌日から撮り続けてきた約2万8千枚の写真の一部も常設展で展示する。

被災地を覆い尽くしたがれきが消えた今、貴重な展示である。失われた暮らしを確認し、世代を超えて津波の記憶を伝えてゆく使命を美術館が担おうとしている。

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