デジカメぶらりぶらり

デジカメのほやほやの写真をご覧下さい。

秋田

2012-10-10 07:44:13 | Weblog
小野太郎さん(36)には、心配事がある。お父さんが遺してくれた農場の未来だ。農場はタカが舞う大自然野の中にある。お父さんと石蹴りをして遊び、搾りたての牛乳を甘さに驚きながら飲んだ。

テレビではなく、焚き火を見つめた。彼が5歳の時、父は殺された。太郎さんは、父が心から愛した地で暮らせる幸せを噛み締めて生きてきた。その大地が、ガス開発で壊されるかもしれない。

太郎さんは地元紙に投稿した。<シェールガスは、本当に汚いエネルギー。有害物質が大気や水に漏れ出すのは、避けがたいことなのです>小野太郎さんは、彼の日本名。ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻の愛息ション・レノンさんがニューヨーク郊外の自然を守ろうと、ニューヨーク・タイムズに寄せた一文はガス開発を指し示した。

実際、米国では地下水が汚され、蛇口からガスが出る珍事まで起きている。シェールガスは世界を変える力を持つ。米国がエネルギー自給を果たせば、中東やロシアとの外交も変わる。

日本にとっては、資源供給源を多角化する好機だ。だが、有毒物質を含む高圧の水で岩盤を粉砕し、ガスや油を大地から搾り取る技術が自然をどう変えるか、検証が欠かせない。

日本では先日、秋田でシェールオイル試験採取が初めて成功した。米国発の技術だけでなく、米国発の環境論議にも注目する時だ。

モナリザ」

2012-10-08 08:13:43 | Weblog
レオナルド・ダピンチには、とんでもない弟子がいた。名はジャコモ。10歳で工房入りした少年のことを、巨匠は手記に描きとめた。<泥棒。嘘つき。頑固。大飯食らい><二人前の晩飯を食、4人前のいたずらをした>。

とんだ小悪魔だが、ダビンチは終生、彼を従えて、相当の遺産まで与えた。巨匠はなぜ、こんな悪童を人生の友にしたのか。この謎を種に、米国の作家カニグズバーグは『ジョコンダ夫人の肖像』という名作童話を咲かせた。

小悪魔こそ「モナリザ」誕生の鍵を握る。そんな物語だ、いや、このジャコモ自身が名画のモデルだという研究者もいる。とにかく謎が多いモナリザをめぐる疑問がまた増えた。

英国に伝わった絵がダビンチ作「若き日のモナリザ」だとスイスの財団が発表した。あれは、あくまで模写だとの主張もあり、新たな論争の始まりだ、イタリアでは、モデルとして有力視される商人の妻ジョコンダ夫人の骨を発掘し、顔を復元する試みもある。

死後500年もたって掘り起こされるのだから、天国の夫人は微笑してばかりいられない。巨匠は死ぬまでモナリザに手を加え続けたという。

描くことは<自然のつくるものを超え、限りないものを追求する>ことだった。そんな無限の所業に駆り立てたのは、ひょっとして小悪魔の仕業なのか。あの美女には、やはり謎のベールが似合う。

インターネット

2012-10-06 07:07:04 | Weblog
インターネットでアルバイト情報サイトなどを運営する「リプセンス」(東京・渋谷)が東証一部に上場する。

社長の村上太一さんは25歳。マザーズ上場から10ヶ月でのスピード昇格だ。笑顔を絶やさないごく普通の青年である。冷蔵庫もなく、テレビも映らないマンションに一人暮らし。

学生時代に起業した会社を最年少で上場させる経営手腕とはうまく結び付かない、主力事業は若者向けの情報サイト「ジョブセンス」。アルバイトを雇いたい企業はサイトに無料で広告を出す。

それを見て応募した人を採用した時に初めて広告費を支払う。成功報酬型も業界の常識を覆す発想だが、さらに驚かされるのは採用が決まった人に最大で2万円の「結い金」を支払うことだ。

昨年支払われた結い金は9600万円。自社の利益を減らして顧客に還元する姿勢が若者から支持を集める。「お金のために人は働かない。それはもはや大きな流れです」と上坂徹さんのインタービューに答えている(『リプセンス』日経BP社)。

経営理念は「幸せから生まれる幸せ」。顧客を幸せにすることで、自分たちも幸せになる。ひたすら利益を追求する前の世代の起業家とは価値観が違う。「お金、お金という社会の価値観に惑わされない世代かもしれません」と村上社長。物欲のない世代が社会を変える。そんな予感がする。

40歳

2012-10-04 07:20:13 | Weblog
孔子は「40にして迷わず」と言い、孟子も「40にして心を動かさず」と言った。だが人生80年時代の、聖賢ならぬ身には、40歳はまさに分岐点。

曲がり角に立つ不安の方が、大きいのではないか、国交正常化40年を迎えた日中関係は、急カーブで脱線気味だ。巨額の政府開発援助、技術支援、そして地道な民間交流。積み重ねてきたものがもろくも崩れていくようだ。

いや、本当に心配なのは、日中関係より中国そのものだ。改革・開放路線を進み始めて34年。年率10%近い高成長を続け、国内総生産(GDP)は世界2位になった。中国共産党は、可能な者から先に豊かになり、貧しい者を助けるという「先富論」で資本主義化を正当化してきた。

しかし、党幹部の腐敗が蔓延し、1%の富裕層が国富の40%を独占。貧富の差が極端で、暴動を含めた抗議行動は年に18万件になるという。今の中国は、1990年代にヒットした米映画『スピード』を思わせる。

時速80キロを切ると安全装置が解除される。厄介な爆弾が路線バスに仕掛けられる。速度を落とさずに走りつつ、乗客をどう救うか。中国も、経済の急成長を維持できれば、まだ不満を吸収しうるだろうが、失速すれば爆発が起きかねない。

映画ならスリルを楽しめるけれど、悪いことに、バス「中国号」は「日本号」のすぐ横を並走している。

2012-10-02 06:26:30 | Weblog
この季節の鰹は、とろけるようにうまい。脂がのって艶やかに光る戻り鰹の刺し身を食べ始めると、わが家の猫は食卓の横から動かなくなる。

視線は、ねこまたぎにくぎ付けだ、その季節の美味を楽しめるのも、荒波に乗り出して、新鮮な魚を一刻も早く港に届けようという漁師たちの心意気があってこそだ。

宮城県・金華山沖で鰹一本釣り漁船「堀栄丸」が遭難し、もう5日目を過ぎた。現場海域に台風が近づいたため、仲間の漁船による捜索は打ち切られた。

不明乗組員の中には、19歳の双子の兄弟、堀口凌さん、祥さんもいる。船酔いに苦しみながらも、祖父の船で海の男としての一歩を踏み出したばかりだ。

「漁に出て、日に日にたくましくなった」という知人の言葉に、二人の成長ぶりを思う <波の谷間に命の花が ふたつ並んで咲いている・・・。>「兄弟船」の歌詞を思い浮かべつつ、漁師たちの無事をただただ祈るしかない。