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戦闘

2012-10-22 07:07:30 | Weblog
人間が人間を撃つ。おぞましい行為だ。敵を撃ち殺すことを任務とする兵士にとっても、それは変わらない。元米陸軍士官学校教授のグロスマン氏の著書『戦争における「人殺し」の心理学』には、信じ難いデータが載っている。

第2次大戦中の戦闘で米軍のライフル銃兵ののうち敵に発砲していたのは、5人に1人しかいないというのだ。軍にとって由々しき事態だ。多くの歴史研究がなされた。しかし、南北戦争や第一次大戦でも、傾向は一だった。兵の多くが、あるい発砲せず、あるいはわざと的を外したとしか思えない殺傷率だった。

戦場においてすら、人の心は、人を撃つことに抗うものだ。だが、ベトナム戦争では10人のうち9人以上は発砲するまでになった。訓練法を変えたからだ。野原に置かれた円形の的が、物陰から飛び出す人型の的になり、ただちに成績が示されるようになった。

反射的、瞬間的に人を撃つことをたたき込んだ。要するに、この訓練の原理は、ある種のテレビゲームと同じだと、グロスマン氏は指摘する。<ベトナムで発砲率を4倍以上に高めるのに使われたのと同じ道具が、いま一般社会で広く使われている>。

米国留学中の高校生、服部剛丈君が射殺されて20年。人が人を撃つことへの心の壁。それを壊す術を、子どもが家庭で身に付けてしまう時代になってしまった。