さて、これまで間接法の練習法をご紹介して来ました。
シリーズ最終回は、テクニックの共通性についてお話したいと思います。
手技療法にはいろいろなテクニックがあります。
名前がつけられ理論が備わることで、それらは別々に分かれているような印象を与えられますが、技術的には相互につながり共通性があるものです。
それを実感していただくことが今回のシリーズのもうひとつの目的だったのですが、何となく感じることができたでしょうか?
今回のシリーズでは「関節モビライゼーション」「ポジショナルリリース」「誇張法」と異なる間接法のテクニックの練習をしましたが、それぞれにつながりがあったはずです。
もういちど振り返ってみてください。
「抵抗の少ない方向に動かす」「リリースの感覚」「皮膚をつけて骨を浮かす」「引かれる感覚」「6方向に別々に動かす」「ゆっくり動かす」など。
こうして学ぶことで、それぞれの技術的な共通性に気づくのではないでしょうか。
私があらゆるテクニックの7~8割は共通性がある、というのはこのことです。
決して別々のものではありません。
そして、共通するものが基本ということになるはずです。
テクニックの名前を取ってしまうと、他動的な手技療法は「押さえる」「伸ばす」「滑らせる」という刺激を、その「強さ・深さ・方向・時間」で区別しているにすぎない。
そして、刺激を生み出す体の操作は「押す」「引く」「まわす」だと私は考えています。
≪『徒手的テクニックの使い分け』シリーズ、『手技療法の基本は「握手」』シリーズもご参照ください≫
テクニックを習得するためには、はじめは型から入る必要がありますが、いつまでもそれにとらわれていてはいけません。
やがては基本を身につけて、個別の型から離れ、刺激を状況に応じてアレンジし、自由に使い分けられるようにならなければいけないでしょう。
これは、ひとつのテクニックにこだわってはいけないと言っているのではなく、柔軟に適用できるようにならなければいけないということです。
今回ご紹介したように、身体の部位や状態によって、ポジショナルリリースのように大きく倒してもリリースすることもあれば、誇張法のように少し倒してもリリースすることもあります。
直接法や間接法にかかわらず、強い刺激で変化するところもあれば、弱い刺激で変化するところもあるわけですね。
また、ポジショナルリリーステクニックは、圧痛点をターゲットにするのが通常ですが、圧痛点がない硬さでも機能障害を起こしていることはふつうにあります。
ご紹介した方法によって、圧痛点がなくてもポジショナルリリーステクニックの手順で組織の柔軟性を改善させることができました。
「圧痛点がないから、ポジショナルリリースは使えません」ではないのです
ギクッとした方、いませんか?
膝蓋骨の間接法ではわずかに動かす操作しか紹介しませんでしたが、ポジショナルリリースのように大きく動かしてリラックスするポジションを探すという方法でもOKです。
試してみてください。
ポジショナルリリースなどでも紹介した「引かれていく方向についていく」ことを繰りかえす方法は、みっちりやれば90秒以上かかります。
けれども90秒以上かけなくても、一回目のリリースが終わった時点で元に戻して再評価してもよいでしょう。
機能障害は複合して存在していることが多いので、時間があればじっくりやればよいですし、なければ現場の判断で早めに終え、他のテクニックに切り替えてもよいのです。
動かす順序も、側屈してから屈曲伸展、最後に回旋と進みましたが、この順序だけが正しいのではありません。
紹介した方法の中では、たまたまやり易いと判断しただけです。
このように「刺激の程度」や「動きの幅」、「時間の長短」は絶対的なものではありません。
状況にあわせて使い分けるものです。
テクニックは手段であり道具にすぎません。
状況を考えずにノコギリとカナヅチのどっちが正しい。
あるいは、大きいドライバーと小さいドライバーのどちらがよい。
などということを言い合っている人がいるとしたら、みなさんどのように感じられるでしょうか。
板を切るにはノコギリ、釘を打つならカナヅチと使い分ければよいわけです。
大きな頭のネジなら大きなドライバー、小さいネジなら小さいドライバーを使う。
当たり前のことです。
冷静に考えたら誰でもわかることなのに、テクニックの型にはまり込んで、板をカナヅチでたたき、小さいネジに大きなドライバーを使っていることが意外にあるように思います。
そのようなことに陥らないためにも、あらゆるテクニックに共通する技術的な基本をしっかり身につけておく必要があると思います。
そして、何より肝心なのはきちんと評価できること。
正しく機能を評価するためには、手技療法を用いる場合、より繊細な触診技術が求められます。
今回ご紹介した間接法のトレーニングは、テクニックだけではなく、触診を磨く練習としてもよいものです。
自分に合うなと思ったら、暇を見つけては練習してみてください。
きっと役に立つはずですよ。
次回は8月23日(土)更新です。
シリーズ最終回は、テクニックの共通性についてお話したいと思います。
手技療法にはいろいろなテクニックがあります。
名前がつけられ理論が備わることで、それらは別々に分かれているような印象を与えられますが、技術的には相互につながり共通性があるものです。
それを実感していただくことが今回のシリーズのもうひとつの目的だったのですが、何となく感じることができたでしょうか?
今回のシリーズでは「関節モビライゼーション」「ポジショナルリリース」「誇張法」と異なる間接法のテクニックの練習をしましたが、それぞれにつながりがあったはずです。
もういちど振り返ってみてください。
「抵抗の少ない方向に動かす」「リリースの感覚」「皮膚をつけて骨を浮かす」「引かれる感覚」「6方向に別々に動かす」「ゆっくり動かす」など。
こうして学ぶことで、それぞれの技術的な共通性に気づくのではないでしょうか。
私があらゆるテクニックの7~8割は共通性がある、というのはこのことです。
決して別々のものではありません。
そして、共通するものが基本ということになるはずです。
テクニックの名前を取ってしまうと、他動的な手技療法は「押さえる」「伸ばす」「滑らせる」という刺激を、その「強さ・深さ・方向・時間」で区別しているにすぎない。
そして、刺激を生み出す体の操作は「押す」「引く」「まわす」だと私は考えています。
≪『徒手的テクニックの使い分け』シリーズ、『手技療法の基本は「握手」』シリーズもご参照ください≫
テクニックを習得するためには、はじめは型から入る必要がありますが、いつまでもそれにとらわれていてはいけません。
やがては基本を身につけて、個別の型から離れ、刺激を状況に応じてアレンジし、自由に使い分けられるようにならなければいけないでしょう。
これは、ひとつのテクニックにこだわってはいけないと言っているのではなく、柔軟に適用できるようにならなければいけないということです。
今回ご紹介したように、身体の部位や状態によって、ポジショナルリリースのように大きく倒してもリリースすることもあれば、誇張法のように少し倒してもリリースすることもあります。
直接法や間接法にかかわらず、強い刺激で変化するところもあれば、弱い刺激で変化するところもあるわけですね。
また、ポジショナルリリーステクニックは、圧痛点をターゲットにするのが通常ですが、圧痛点がない硬さでも機能障害を起こしていることはふつうにあります。
ご紹介した方法によって、圧痛点がなくてもポジショナルリリーステクニックの手順で組織の柔軟性を改善させることができました。
「圧痛点がないから、ポジショナルリリースは使えません」ではないのです
ギクッとした方、いませんか?
膝蓋骨の間接法ではわずかに動かす操作しか紹介しませんでしたが、ポジショナルリリースのように大きく動かしてリラックスするポジションを探すという方法でもOKです。
試してみてください。
ポジショナルリリースなどでも紹介した「引かれていく方向についていく」ことを繰りかえす方法は、みっちりやれば90秒以上かかります。
けれども90秒以上かけなくても、一回目のリリースが終わった時点で元に戻して再評価してもよいでしょう。
機能障害は複合して存在していることが多いので、時間があればじっくりやればよいですし、なければ現場の判断で早めに終え、他のテクニックに切り替えてもよいのです。
動かす順序も、側屈してから屈曲伸展、最後に回旋と進みましたが、この順序だけが正しいのではありません。
紹介した方法の中では、たまたまやり易いと判断しただけです。
このように「刺激の程度」や「動きの幅」、「時間の長短」は絶対的なものではありません。
状況にあわせて使い分けるものです。
テクニックは手段であり道具にすぎません。
状況を考えずにノコギリとカナヅチのどっちが正しい。
あるいは、大きいドライバーと小さいドライバーのどちらがよい。
などということを言い合っている人がいるとしたら、みなさんどのように感じられるでしょうか。
板を切るにはノコギリ、釘を打つならカナヅチと使い分ければよいわけです。
大きな頭のネジなら大きなドライバー、小さいネジなら小さいドライバーを使う。
当たり前のことです。
冷静に考えたら誰でもわかることなのに、テクニックの型にはまり込んで、板をカナヅチでたたき、小さいネジに大きなドライバーを使っていることが意外にあるように思います。
そのようなことに陥らないためにも、あらゆるテクニックに共通する技術的な基本をしっかり身につけておく必要があると思います。
そして、何より肝心なのはきちんと評価できること。
正しく機能を評価するためには、手技療法を用いる場合、より繊細な触診技術が求められます。
今回ご紹介した間接法のトレーニングは、テクニックだけではなく、触診を磨く練習としてもよいものです。
自分に合うなと思ったら、暇を見つけては練習してみてください。
きっと役に立つはずですよ。
次回は8月23日(土)更新です。