手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

圧迫法では肘は少し曲げて使う その1

2014-08-23 17:09:44 | 学生さん・研修中の方のために
母指や手根を使った圧迫法は、マッサージではよく用いられます。

その際、肘をピンと伸ばしきった状態のまま使っている方がいます。


写真は母指ですが、手根を使った時のほうが肘を伸ばし切っている方は多いです。



この方法の長所は、初心者でもやりやすいこと。

肘を伸ばしきり、関節をロックしたままにすると安定するので、慣れない方でも身体を支えやすいのです。

そのため、養成校などでこの方法が指導されることもあるので、いちがいにダメだなんていえません。

でも、欠点も多いように思うので私はおすすめしません。



肘は少し曲げた状態で圧迫したほうがよいと思っています。

曲げる角度は少しで結構です。

はじめに肘を伸ばして腕立て伏せの姿勢をとり、


そのまま「カクッ」と肘が曲がったところで止めます。




おおよそ5~10度くらいでしょうか。

せいぜいこの程度です。



肘を曲げるといっても外に広げず、脇を閉める方向に曲げます。

そうすると体幹側の筋を使いやすくなり、より安定するはずです。

その状態でしばらく体重を支えても、苦痛ではないと思います。

ですから圧迫法のときに多少肘を曲げていても、負担にはなりません。


母指圧迫の場合なら、肘を伸ばした状態に対して、


少し曲げたらこのような感じ。



見た目の違いはわずかですが、このポジションが基本の位置になります。

その状態でいろいろな部位に圧迫を加えてみて、支えられるかどうか試してください。



状況によって瞬間的に肘を伸ばしきることはありますが、それは構いません。

はじめから伸ばしっぱなしになっている。

あるいは、押さえたときに肘が伸びきってしまっているのが習慣になっている、これが良くないということです。



剣道の面打ちや野球のバッティング、ゴルフのスイングでも肘を伸ばしきることはあってもそれは瞬間的なはずです。

常に肘を伸ばしきったまま使うスポーツなんてないでしょう。



では、なぜ肘を伸ばしたまま押さえるのが良くないのでしょうか?

その理由を考えてみてください。

これによって機能障害が生まれるメカニズムを、自分で考えるトレーニングになります。

合わせて、肘を少し曲げておいたほうが理由も考えておいてください。


次回はそれらについてのお話しをしたいと思います。


次回は9月6日(土)夜に更新します。