天蓋に傷跡のような細い月食が現れると
窒素8酸素2に揮発油の混ざった霧が流れ込む
天蓋がみるみる近づいてくるが
地面が勢いよくせり上がっている錯覚だ
狭くなる世界に気体は濃く硬く圧搾される
ここまでの光景は漆黒の中で目にすること叶わず
はじめに光ありき
眩い点は天球を焦がし
スペクトルの美しさで全世界に燃え広がってゆく
その絶大な力は足元を揺るがし押し下げるほど
昇降が入れ替わり再びの闇が訪れるころ
赤い燃えカスたちが消えてゆくのは
それらが浮かび上がらせる円形のシルエット
代わりに開いたもうひとつの黒い月
限りなく繰り返されてきた美しくも儚い1/100秒の世界。
窒素8酸素2に揮発油の混ざった霧が流れ込む
天蓋がみるみる近づいてくるが
地面が勢いよくせり上がっている錯覚だ
狭くなる世界に気体は濃く硬く圧搾される
ここまでの光景は漆黒の中で目にすること叶わず
はじめに光ありき
眩い点は天球を焦がし
スペクトルの美しさで全世界に燃え広がってゆく
その絶大な力は足元を揺るがし押し下げるほど
昇降が入れ替わり再びの闇が訪れるころ
赤い燃えカスたちが消えてゆくのは
それらが浮かび上がらせる円形のシルエット
代わりに開いたもうひとつの黒い月
限りなく繰り返されてきた美しくも儚い1/100秒の世界。