副題は「戦争と革命の世界から見た昭和百年史」とあって大東亜戦争へといたる百年を解析した林房雄の『大東亜戦争肯定論』を連想しがちだが、本書は2025年が昭和百年となる視点から近代史を眺め直し、通説をくつがえす試みである。
戦争は天災ではない。個人が引き起こす、それも狂人政治家がやらかすのだ。
スターリンとルーズベルトという大悪党は、未曾有の野心を抱き、世界平和を根こそぎ破壊した。日本での大悪党と . . . 本文を読む
モンゴル系遊牧民が中央ヨーロッパに進出し、彼らがユダヤ教に改宗したのが、今日のユダヤ人の多数派であるとする不思議な説は半世紀ほど前に突如流布し、いまでも信じている人がいる。
嚆矢は『アメリカの鉄のカーテン』を書いたジョン・ビュティとされ、ユダヤ人がメディアを握り、かれらの不都合な真実が伝わらないように鉄のカーテンを降ろしたのだという社会分析のついでにハザール説を唱えた。
ベストセラーとなったの . . . 本文を読む
火山灰に埋まってポンペイは1800年間、歴史から消えていた。
紀元前79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で、繁栄を極めていたポンペイが突如、火山灰に埋もれた。紀元前8世紀ごろ薩摩に栄えた上野原縄文集落も火山で埋もれた。
さて18世紀に発見され、現場では発掘が延々と考古学チームが続けてきたが。奴隷部屋の発見や土器、建物などかたちのあるものから当時の文明が具体的に想定できるようになった。解けなかったのは . . . 本文を読む
「日米同盟」の真実の等式
これまで日本の絶対的主流派である安保村の条文解釈では、安保改定によって、
〔アメリカ〕集団的自衛権 + 日本の防衛〔新安保条約・第5条に基づく〕=〔日本〕 個別的自衛権 + 基地の提供〔新安保条約・第6条に基づく〕
という「人と物の交換」の関係が成立し、「アメリカによる日本の防衛義務」が確立されたとなっていましたが、よく考えるとそんなバカな話は絶対にありません。
. . . 本文を読む
岸が「絶対にやってはいけなかったこと」とは?
みなさんよくご存じのとおり、そもそも岸という政治家自身が、早くからその高い能力と反共姿勢をCIAによって見出され、英語のレッスンなども意図的に授けられて、 獄中のA級戦犯容疑者から、わずか8年余りで首相の座へと駆けあがった人物でした。
しかしだからといって、岸が外国の諜報機関の指示通りに動き、金や権力のために心を売った人間だと考えるのは、おそらく完 . . . 本文を読む
アメリカによる支配はなぜつづくのか?
第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?
累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!
※本記事は2018年に刊行 . . . 本文を読む
「無責任な軍国主義」を支持する日本
私たち日本人が生きていたのは、実は「戦後レジーム」ではなく、「朝鮮戦争レジーム」だった。そしてそれは「占領体制の継続」よりもさらに悪い、「占領下の戦時体制」または「占領下の戦争協力体制」の継続だったのだ。
そのことがわかると、いろんな謎がスッキリ整理されてきます。
私が日本の戦後史を調べ始めてから、ずっと不思議で仕方がなかったふたつの問題。
なぜ多くの心 . . . 本文を読む
日米両国の「本当の関係」とは?
安保関連法を強引に可決させた安倍首相は、おそらく日本が集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカと「どんな攻撃に対しても、たがいに血を流して守りあう」対等な関係になれるという幻想を抱いているのでしょう。
しかし、それは誤解なのです。アジアの国との二国間条約である日米安保条約が、集団的自衛権にもとづく対等な相互防衛条約となることは、今後も絶対にありえないのです . . . 本文を読む
アメリカは「国」ではなく、「国連」である
こうして指揮権密約の歴史をさかのぼったことで、戦後、日米のあいだで結ばれた無数の軍事的な取り決めの、大きな全体像が見えてきました。その重要な手がかりとなったのが、朝鮮戦争のさなかにつくられた、米軍が自分で書いた旧安保条約の原案だったのです(1950年10月27日案)。
この原案の中にあった指揮権に関する条文については、すでにお話ししました。
では、基 . . . 本文を読む
すべては朝鮮戦争から始まった
その詳しい経緯は、結局『密約の歴史』ではなく、『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』というタイトルで本に書きましたので、興味のある方は、ぜひ読んでいただければと思います。
この章では、そのなかでどうしてもみなさんにお伝えしなければならない重大な事実をふたつに絞って、お話ししたいと思います。
まずひとつめ。
それはこれまでずっと『知ってはいけない』で取り . . . 本文を読む
重要な文書は、最初すべて英語で作成する
本書でいま、私がお伝えしているような大きな日本の歪みについて、多くの方が関心を持つようになったきっかけは、2012年にベストセラーとなった孫崎享氏の『戦後史の正体』だったかもしれません。
外務省の国際情報局長という、インテリジェンス部門のトップを務めた孫崎氏は、同書の第1章を、次のような少し意外な問いかけから始めています。
「日本はいつ、第二次大戦を終 . . . 本文を読む
■1.「日本が日中戦争を起こし」たのか?
「日本はどのようにして日中戦争を起こし、人々にどのような影響をあたえたのでしようか」
これは東京書籍(以下、東書)の中学歴史書で「日中戦争と戦時体制」の項の冒頭の発問です。「日本が日中戦争を起こし」たことが問答無用の前提とされてします。その後の本文は、次のように書かれています。
1937年7月、北京郊外の盧溝橋付近で起こった日中両国軍の武力衝突(慮溝 . . . 本文を読む
国家は密約と裏マニュアルで運営する
第4章で、日米合同委員会という「リモコン装置」の役割は、「米軍が「戦後日本」において、占領期の特権をそのまま持ち続ける」ところにあると書きました。
では、米軍が持っていたその「占領期の特権」とは、いったいどんなものだったのでしょう。ここでもう一度整理しておくと、その代表的なものは、次のふたつになります。
⑴ 米軍関係者が日本の法によって裁かれないための「裁 . . . 本文を読む
日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。
そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。
『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら . . . 本文を読む
研究の成果をひとことでまとめると
ここまで見てきた、「戦後日本」という国のあまりにもおかしな現実。約7年間、多くの研究者のみなさんといっしょに、その謎を解くための研究をつづけてきました。
いったいなぜ、日本はここまでおかしなことになっているのか。そしてその背後には、どのような歴史の闇が隠されているのか……。
この間に、私が書いたり企画編集した本を刊行順に並べると、 . . . 本文を読む