認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

♯ 認知症  アルツハイマー型認知症の正体と発病のメカニズム(そのⅠ【G-10】)

2022-10-01 | この先一週間-脳の活性化と私なりのテーマ
この先、国民の5人に1人を75歳以上のお年寄りが占めることになる『2025年問題』が起きてきます。『アルツハイマー型認知症』の新規発病者が、大幅に増えてくるのです。「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送っているお年寄りだけが発病の対象となる認知症であり、『老年での発症』が特徴。
意識』が関わるタイプの認知症であり、廃用症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病』(但し、食生活は無関係であり、第二の人生を送る上で日々展開される、脳の使い方としての生活習慣病であることに留意)であると主張し、北海道から九州に跨る452の市町村での住民参加型の「地域予防活動」の展開の指導により、主張内容が正しいことを疫学的方法により実証してきているのは、世界中で私たちだけ。
その『アルツハイマー型認知症』について、①発病の原因、②症状を治す方法、③発病自体を予防する方法を客観的な脳機能データを基礎にして、具体的に説明していくのが、今日のブログの目的なのです。最後まで読んで頂いて、明日からの「生活習慣」、暮らし方に是非取り入れて頂きたいのです。

2020年初頭に始まった「新型コロナ」に対する有効な感染回避策として、政府が国民に順守を求めてきた『三密の回避』という生活習慣の在り方は、今日の重要な「テーマ」である、「第二の人生」を送る上での『脳の使い方』としての『生活習慣』の有り様に関わるのです。『三密の回避』は、毎日の暮らし方が『単調な生活習慣』の継続ということなのです。
  
皆さんの周りの『お年寄り達』をよく観察してみて下さい(「アルツハイマー型認知症」は、「加齢の進行」と言う要因が重要な一つの原因要因である『発病のメカニズム』により、「老年発症」が特徴)。
昨日まで、普通に生活できていたお年寄りが、一晩寝たら、突然、身の回りのこともできなくなり、ズボンを頭から被ったり、住んでいる家が分からなくて徘徊したり、同居の家族の顔も分からなくなったりすると思いますか。    
そんなことは、絶対に起きてはこないのです。
その段階にまで進んだ状態は、最重度の段階の症状、「末期の段階」の症状ですから、そこまで症状が進んでしまうと確かに治すことは困難となります。実は、もっと軽い段階があることを、専門家達が見落としているのです。早期発見早期治療により治せる段階があることを見落としているだけ

実際に、本人と同居して、一緒に生活している家族の方々から状況や生活ぶりの変化を詳しく聞いてみると、「ちょっとおかしいな」と気づく「小ボケ」の段階が発病後3年間、「これは、普通ではない」と感じるようになる「中ボケ」の段階が2~3年間あって、「何かとんでもないことが起きている」と感じるようになる「大ボケ」の段階に症状が進むのに、発病から5~6年かかって、『症状が、徐々に、段階的に、進行していくことが分かります。
廃用性の異常な機能低下の進行が発病の直接の原因である『アルツハイマー型認知症』は、徐々に、段階的に、極めて緩やかに症状が進んでいくのが、大きな特徴なのです。認知症の診断が専門の医療機関は、私たちの区分でいう、末期の段階、「大ボケ」の段階になって発現が確認されることになる「極めて重度の物忘れの症状」とDSM-Ⅳの第二要件が規定する失語、失認、失行(紛い)の症状を確認して初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病と診断しているのです(極めて重度の「記憶障害の症状」の確認を発病と診断する上での基準としている為、本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階を見落としているのです)。
  
かつては、精神症状と誤解されて、精神科だけが症状を診断していた時期も
あり(厚労省が指定した僅かの数の老人性痴呆疾患センター)、「末期段階」の症状が出てきて、どうにも手に負えない状態になって、初めて、家族が病院に連れていく(精神症状と誤解されていたために、診察するのは、「精神科」だけ)ので、アルツハイマー型認知症は「発病の原因が分からないし、一旦発病したら治せない」病気という誤解が診断する専門の精神科医に拡散していき、『治らないことが世間の常識になった』のです。
   
私たちは、「二段階方式」と呼ぶ『脳全体の働き具合』とその結果である症状との関係を調べる方法を開発し、更に、「脳の働きという物指し」を使って、川上に目を向けた活動、「早い段階」に的を絞って、全国規模でデータの収集を実施してきました。川下に焦点を当て、目を向けた活動を市町村が展開する介護の予防活動及び『介護保険制度』が施行され定着し始めた2010年頃迄、北海道から九州に跨る全国452の市町村で、対象をアルツハイマー型認知症に特化して、早期診断と早期治療による回復、発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の『地域予防活動』という実践活動について「二段階方式」を導入する個別の市町村との有償の『使用許諾契約』を締結して指導し、顕著な成果を挙げていたのです。

アルツハイマー型認知症」は、「第二の人生」を送る高齢者だけが発病の対象となるのであり、「脳の使い方」としての「生活習慣」に起因する病気、専門的な用語で言うと、廃用症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病』であることを、世界で初めて突き止めたのです(今猶、世界で唯一の主張内容)。
その根拠となる14689人の発病患者に実施した前頭葉の機能テスト並びに左脳及び右脳の精緻な脳機能データは、小ボケ、中ボケ及び大ボケの全ての段階を含むのが特徴。

全国452の市町村で住民参加型の「地域予防活動」を指導し、顕著な成果を挙げてきた経験から、「脳の使い方としての意味で言う『生活習慣』の改善による前頭葉の活性化」により、『アルツハイマー型認知症』の発病の予防と早期段階からの回復が、更には、重症化の進行の抑制が可能であることを皆さんに分かり易く説明します。 
   
Ⅰ-01 認知症の種類と比率
国全体での高齢化率が30%にもなって、40%を超える市町村も珍しくはない。その結果、『アルツハイマー型認知症』を発病するお年よりの数がどんどん増えてきています。とわ言え、ただ単に怖がるだけでなくて、「アルツハイマー型認知症」に対する正しい知識を持って、『生活習慣の改善』による適切な対応をしていただきさえすれば、少しも怖がることはないのです。発病自体を予防することが出来るし、早期発見(小ボケと中ボケの段階で見つける)と早期治療(脳のリハビリ)を実践すれば、治すことも出来るし/症状の進行を抑制することが出来るのです。
  
ところで、認知症と言っても、様々な種類があるのをごぞんじでしょうか?
発病の原因も色々ですし、治せるものもあれば、治せないものもあるのです。その中で、治せるし、症状の進行を抑制できるし、発病自体を予防することが出来る典型例が、実は、『アルツハイマー型認知症』なのです。専門家達が、治せないし、予防できないと言っているのは、末期の段階で、発病を見つけて、死後の脳の解剖所見から色々憶測しているせい。

最初に取り上げるのは、認知症の代名詞のように言われる「アルツハイマー病」。世界で初めて発見したアルツハイマー博士の名前が冠されていることで知られる「アルツハイマー病」は、50歳代以下の若い年齢を対象に発病するので早発型アルツハイマー病とも言い、「若年発症」が特徴です。発病の原因は遺伝子の異常で、特定の遺伝子に生まれつき異常がある人だけが発病の対象となります。30代から50代まで働き盛りの「若い年齢」で発病して、僅か2~3年で寝たきり状態になるほど、症状の進行が急激なのです。アルツハイマー病は、現代の医療技術では、治すことも予防することも出来ません。幸いなことにアルツハイマー病が認知症全体に占める割合は1%程度。

「二次性認知症」は、いろいろな原因で発病しますが、主として、脳腫瘍や水頭症、慢性硬膜下血腫等の、『病気が原因』で認知症を惹き起こします。二次性認知症が、認知症全体に占める割合は、2%程度。

「脳血管性認知症」は、脳出血や脳梗塞など、脳を養う血管からの出血や血管の詰まりが原因となって、十分な量の血液が脳に送られなくなる為認知症を惹き起こします。脳血管性認知症自体の数も少なく、認知症全体に占める割合は5%程度です(20~25%とされる数値は、発病との因果関係の確認がずさんな診断の結果、大半は「アルツハイマー型認知症」を誤診)。
 
様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上を占めるのが『アルツハイマー型認知症』なのです。アルツハイマー型認知症は、「第二の人生」を送っている60歳代以降の「高齢者」だけを対象に発病するので、学者達の間では、「晩発型アルツハイマー病」とも呼ばれています。
皆さんが普段お目にかかるのは、殆どが、このタイプの認知症なのです。後述するように、加齢と言う条件が発病の第一要件となる『アルツハイマー型認知症』は、60代より70代、70代より80代、80代より90代と、高齢になるほど発病する人の割合が多くなっていきます。

これから先、このブログ中では、『アルツハイマー型認知症』に的を絞って、「発病のメカニズム」、「治療の方法」、「予防法」等について、分かり易く、説明していきます。その鍵は、症状をもたらす原因である「脳の働き具合」と「それを測る物指し」にあります。『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに的を絞った物差しを用いるのが、私たち「二段階方式」の特徴であり、世界的に独自の主張内容なのです。その主張内容が正しいことについて、対象を「アルツハイマー型認知症に特化した活動」、北海道から九州に跨る452の市町村で先駆的に展開された住民参加型の『地域予防活動』の指導により、疫学的方法により、実証されている

二段階方式の考え方と手技の活用による住民参加型の地域予防活動国策化による全国展開を岸田政権(具体的には、内閣府の中枢)に対し提言しているのも、上記活動の顕著な成果がその裏付けとなっているのです(とは言え、世界中の権威ある機関の主張内容とは、「真反対の内容」であるせいなのか、自助努力を求めること「脳の使い方としての生活習慣の改善の努力」に対し公明党が反対しているせいで、政府もなかなか踏み切れないのか)。
  
 CTやMRIやSPECTや、果てはPETまで持ち出していながら、末期の段階で発病を見つけて、治療の効能が認められない単なる対症療法薬の処方等の医療費に要する税金の支払い費用が10兆円を超えていて、川下に目を向けただけの「介護の予防」措置しか実施されない中で介護に要する税金の支払い費用が、13兆円を超えてきているのです(共に単年度ベースで、一般会計と特別会計合計総額)。川上に目を転じた対策、『発病自体の予防の国策化による実施』は、究極の「介護の予防効果」をもたらすものであり、本人と家族の為になり、国民の為になり、国家の為になる。
  
Ⅰ-02症状」で見つけるアルツハイマー型認知症のレベル(末期の症状) 
認知症の大多数を占めていて、世界中の専門家達(精神科医)の間では未だに、「発病の原因が分からないし、一旦発病したら症状を治すことができない」と言われている『アルツハイマー型認知症』は、60代以降の、高齢者と呼ばれる年代のお年寄り達だけが発病の対象となる、「老年発症」が特徴です。その上、60代より70代、70代より80代、80代より90代と年をとる程発病する人の割合が多くなるのが特徴です。高齢化率が30%を超える市や町、お年寄りが大勢集まって住んでいる地域では、『アルツハイマー型認知症』を発病したお年寄り達の姿をよく見かけるようになります。

皆さんの周りにも、『アルツハイマー型認知症』のお年寄りがいるでしょう。
「あの人、とうとう認知症になったんですって!」皆さんの周りで、『アルツハイマー型認知症』を発病したお年寄りのことを口にするとき、『どんな症状のお年寄り』のことを発病者と言ってますか?
○服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;
○自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;
○同居している、家族の顔も分からない;
○お漏らしした服を、平気で着ている。
こんな症状が見られるようになると、「その人は、アルツハイマー型認知症を発病している」と言うのではないでしょうか。正確に言うと、こんな症状が出ている人は、「アルツハイマー型認知症の末期段階」の人なのです。こんな症状が出てくるもっと前の「軽い段階」があるのを、専門家達が、『見落としているだけ』。
『アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症は、「実は、何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」のが、もう一つの特徴なのです。
昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しんでいたお年寄りが一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」はしないのです。
 

Ⅰ-03 『脳の働き』という物指しの活用(早期の段階の症状
自動車事故などで、脳が損傷を受けた人をたくさん調べると、脳は場所によって働きが異なり、「機能の分担」をしていることが分かります。

運動の脳」は体を動かす働きをしています。左の部分が障害を受けると右半身麻痺になり、右の部分が障害を受けると左半身麻痺になります。
左脳」が障害を受けると、論理を操れなくなり、言葉が出てこなくなり、計算もできなくなり、場合分け(洞察や推理)が出来なくなります。
「左脳」は「言葉の脳、仕事の脳」とも言われ、言葉や論理や計算や場合分けといった「デジタル情報」の処理を担当。
右脳」が障害を受けると、色や形や空間の認知が出来なくなります。「右脳」は「感性の脳、趣味や遊びや人付き合いの脳」とも言われます。色や形や音、感情や感覚や感性といった「アナログ情報」の処理を担当しています。
のところ前頭前野にある『前頭葉』は、脳の最高次の機能を担っています。運動の脳・左脳・右脳を統括し、それぞれが勝手に働かないよう調整しコントロールする意識的な世界における脳全体の「司令塔」の働きをしています。
 三者の関係を分かりやすく言うと、左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の運行を支配している『御者の役割』を担っているのが、『前頭葉』という脳機能。

『アルツハイマー型認知症』の症状は、脳の働き具合の結果なのであり、発病の原因や回復させることが可能な早期の段階を見つけるには、症状と脳の働き具合との関係を見つけることが不可欠になります(『二段階方式』のように、「前頭葉を含む脳全体の働き」を精緻に測れる物差しが不可欠となる)。

専門家達は、死後の脳の「解剖所見」と「重度の物忘れの症状の外観」とマウスの行動から、『アルツハイマー型認知症』の発病原因を憶測し、アミロイドベータ仮説を筆頭とした「様々な仮説」を提示してきたのです。その結果、極めて重度の記憶障害の症状を中心に考えていて、末期の段階の症状ばかりに目が行ってしまい、回復させることが可能な、本当の意味での早期の段階を見落としていて、『アルツハイマー型認知症』は、治すことが出来ないものと誤解してきた。
私たち『二段階方式』は、色々なレベルの「脳の働き具合と症状との関係」という「脳の働き具合」と言う物差しの導入と(生きた人間の)客観的な「脳機能データ」の解析から、アルツハイマー型認知症の真の発病原因と発病のメカニズムとを見つけることができたのです。「脳の働き具合」と言う物差しは、私たちが、独自に開発した「二段階方式」と呼ぶ神経心理機能テストの活用によって、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルを精緻に判定することが出来るのです。
   
Ⅰ-04 「脳の働き」で見つけるアルツハイマー型認知症の三段階 
私達人間だけに特有なものである『意識的』(目的的)な発言、行為や行動は、「脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』という機能が、左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、それらを、主導しながら実行されています。
アルツハイマー型認知症』の症状のレベルは、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、どの段階のことができるのかできないのかで判定します。  
「二段階方式」が区分する段階は、高度なレベルから順番に「小ボケ」(社会生活面での支障)、「中ボケ」(家庭生活の面でも支障)、「大ボケ」(セルフケアの面でも支障)となります。

下の図は、前頭葉がコントロールしつつ協働しながら働く脳の働きの衰え方について、私たちが独自に開発した「二段階方式」と呼ぶ神経心理機能テストを使って調べた結果を示しています(14689例の脳機能データが基礎)。
アルツハイマー型認知症』を発病する前までは、社会生活が支障なくできていた脳の働きが、老化が加速されることで衰えが速まっていくとき、衰え方の順序があることが分かりました。即ち、脳全体の司令塔の役割をしている『前頭葉』が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている左脳、右脳、運動の脳がその順に衰えていくもの。

もうひとつ重要なこと、『前頭葉』の働きが衰えてきて異常なレベルになった人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、左脳、右脳及び(運動の脳)の働き具合とそれに対応した症状のレベルから区分すると、軽い方から、「小ボケ」(社会生活に支障)、「中ボケ」(家庭生活にも支障)、「大ボケ」(セルフケアにも支障)の「三つの段階」に区分されるのです。
※『二段階方式』では、各段階に特有な『類型的な症状』を各10項目づつ、「改訂版30項目問診票」に整理して、症状の実態を確認し、把握。
 
 (「アルツハイマー型認知症」の三段階に区分される類型的な症状)
 (左図は、高齢者の全数調査結果)= 

Ⅱ-01『アルツハイマー型認知症』の三段階-「小ボケ」(最初の段階)
「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「小ボケ」(軽度認知症)は、左脳と右脳は未だ正常レベルなのですが、脳全体の司令塔の役割を担う前頭葉の働きだけが、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常レベルに衰えてきています(実行機能の発揮度を支配する『前頭葉の三本柱=意欲、注意集中力及び注意分配力を総称して、二段階方式が名付けた呼称』の機能の廃用性加速度的異常な機能低下の進行が基盤に在ることに注意)。
そのため、『前頭葉』の機能の中でも基礎的で最も重要な働きである「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きが、十分且つ的確に機能しなくなってきているのです(改訂版「かなひろいテスト」による評価)。
機能発揮上の二重構造の関係から、「評価の物差し」による評価、注意、関心、選択に基づいて『注意の分配力』が『実行機能』を行使して行う個別認知機能(Executive Function=先行するメタ認知と随伴する実体験認知)の発揮に支障が出てきて、状況の理解と判断、実行テーマの企画と計画、洞察や推理や憶測や忖度、其れ等に基づいたシミュレーション、実行する内容の創意や工夫、修正、更には、抑制や感動、機転や見通し及び決断等が、的確には出来なくなります。『社会生活』面での、様々な支障が出てくるのです。

小ボケ」になると、発想も湧いてこなくて、見通しも立たず、何をどうするのかという「テーマの構想と実施の計画や工夫」が的確には出来なくなるのです。肝心の意欲が出てこなくなって、集中力が続かなくなって、毎日をボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。その人らしい生活態度が消えていき「こんな人ではなかった」と、周りからも言われて、本質的な人柄自体が変わっていきます(評価の物差し実行機能前頭葉の三本柱の機能の全ての機能が、きちんとは働かない)。「小ボケ」のイメージは、何事も人を頼るようになり、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない、「指示待ち人」がその特徴。

Ⅱ-02 小ボケ」の症状のチェックリスト
(4つ以上に該当していると、「小ボケ」であることが疑われます)
「小ボケ」の類型的症状の10項目:
①三つ以上の用事を、同時に並行して処理できなくなる(注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきたため、いろいろな場面で、物事をテキパキと処理できなくなる。車を運転している際に、注意の分配力が十分には発揮できない機能レベルに在る為、小さな事故を、しばしば起こすようになってくる。後続車を何台も従えていることにも注意が回せなくて、道路の真ん中よりを時速
30キロ程で、ノロノロ運転するようになる。)
②一日や一週間の計画が立てられなくて、自分では思いつかなくなる(注意の分配力の機能が異常なレベルにあるため、実行機能を駆使して発想、洞察、推理、シミュレーションすることが出来にくくなる)
③何かをやりかけても、中途半端で、根気が続かなくなってくる(テレビを見ていても、根気が続かず、やたらとチャンネルを変える)
④問いかけに対する反応が遅くなって、動作がもたもたしてくる
⑤発想力が乏しくなり、料理の内容や行動内容が画一的になる(同じ料理用の材料を重ねて買ってきて、冷蔵庫の中にたまる)
⑥本人は気づかないで、同じことを繰り返し話したり、尋ねたりする(注意の分配力の機能が異常なレベルに在るため、自分が話した内容の記銘度が低いので、ついさっき話したことを忘れている)
⑦何か、何事かに対して、生き甲斐を覚える風が無くなってくる(注意の分配力の機能が異常なレベルに在るため、評価の物差しが十分には働かない結果、それまでなら覚えていた生き甲斐を感じられなくなる)
⑧何かをするでもなく、ぼんやりして過ごしていることが多くなり、やたらと昼寝をするようになる(注意の分配力の機能が異常なレベルに在るため、実行機能の一要素である発想する機能が発揮できなくなってくる)
⑨思い込みや思い違いが多くなり、相手の意見を聞き入れられなくなる(実行機能の一要素である抑制する力が異常なレベルに衰えたせい)
⑩眼の光がどんよりとして無表情、何事にも感動しなくなる
※1)小ボケは、よほど注意してみないと日常のことなどは普通に話せるので、普通に見えます。家族によっては、普通に見ようとする心理が働くことさえあります(「小ボケ」は自分に起きている種々の異常を認識できている)。
家庭の外に出て人と交わる「社会生活」の場面では、その場の状況についていけないことを忘れないでください。一方で、小ボケは、プライドは保っているので、その面での配慮が大切
※2)同居している家族は、「小ボケ」の段階の様々な症状が発現してきていることが分かるのです(本人も自覚がある)。医師達は、「極めて重度の物忘れの症状」を中心として観察し、更に、『末期の段階』の症状しか知らないので、小ボケの症状をアルツハイマー型認知症の発病とは考えていないのです。

Ⅱ-03  『アルツハイマー型認知症』の三段階-「中ボケ」(中期
アルツハイマー型認知症の中期の段階である「中ボケ」(中等度認知症)は、廃用性の加速度的で異常な機能低下により脳の司令塔の『前頭葉』の働きが「小ボケ」のときより更に異常なレベルに衰えてきています。その上「小ボケ」のときは未だ正常だった左脳と右脳と運動の脳の働きも、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常なレベルに衰えてきて、「前頭葉を含む脳全体の働きが異常なレベル」に衰えてきて、不十分で不完全にしか機能出来なくなります。
その結果、評価の物差し、注意の分配力、実行機能の「機能共同作業」がうまくいかなくなり、(『注意の分配力』が関わる「記銘と想起」に明確な支障が出てくる)記憶にもはっきりとした支障が確認されるようになる問題に加え、状況や物事の分析や理解や判断が「幼稚な程度」(4~6歳児レベル=幼稚園児レベル)のものとなり、「家庭生活」面でも、様々な支障(トラブル)が起きてくるようになります。
中ボケ」の段階では、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった『家庭内での簡単な用事』程度のこともきちんと出来なくなってきて、「幼稚園児」がやる程度にしか出来ません。せっかく洗ってくれたお茶碗は、もう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと、花の苗まで抜いてしまう。
「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口先だけは一人前、「言い訳ばかりしている幼稚園児」が特徴です。
「中ボケ」になると、自分に起きている種々の異常(症状の発病)を自分では認識できないことに注意して下さい(色々失敗しても、『ボケてはいない』と言い張る)。

Ⅱ-04  中ボケ」の症状のチェックリスト
(4つ以上に該当していると、「中ボケ」であることが疑われます)
「中ボケ」の類型的症状の10項目:
⑪何度教えても、日付があやふやになる(今日が何日なのかがあやふや)
⑫簡単な計算も嫌になり、買い物で小銭がやたらと貯まるようになる
⑬料理が上手くできなくなって、味付けが塩辛すぎるようになる
⑭ガス、電気の消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れが目立つようになる
⑮2~3種類の薬の服薬管理が出来なくなり、家族が管理する必要がある
⑯外出を嫌がるようになり、日常の身だしなみにも無頓着になる(行き慣れた場所に行くにも、道を間違えたり、乗るバスを間違える)
⑰今まで出来ていた、家庭内の簡単な用事も出来なくなる
⑱季節や目的にあった服を選べなくなる(日、年、月、季節、昼夜の順に衰えて行く、時の見当識が衰えてきて、季節の感覚がなくなる)
⑲昨日の出来事をすっかり忘れてしまう
⑳ お金や持ち物のしまい場所を忘れ、誰かに盗まれたと騒ぐようになる
※1)「時の見当識」は、日、年、月、季節、昼夜の順に衰えていきます。何度教えても日付けがあやふやで分からないのが、中ボケの始まりで、があやふやだと中ボケの中期季節があやふやになると中ボケの末期です。
※2)「見当識」が低下していく順番は、時→所→人です。
小ボケでは、「時」も「所」の見当識も、未だ問題は出てこない。
中ボケになると、「時」や「所」の見当識にも、上述のような問題が出て来ることになります。
大ボケになると、の見当識も、の見当識も、の見当識も無くなり、会社に行くとか畑に行くとか、夜中に騒いだり、家の外に出ると、徘徊するようになります。
  
Ⅱ-05   『アルツハイマー型認知症』の三段階-「大ボケ」(末期
『アルツハイマー型認知症』の末期の段階である「大ボケ」(重度認知症)は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により『前頭葉』を含む脳全体の働きが、「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。
「大ボケ」の前期(MMSEが14~10点)では、左脳と右脳と運動の脳の働きは、未だある程度残っています。但し、脳全体の司令塔の役割をしている前頭葉寝たきり状態になっている為、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような状況やテーマにはある程度対応できるのですが、新しい状況に対しては、殆ど対応できなくなっているのです。権威が発病の初期と考えている「大ボケ」の後期(MMSEが9点以下となり、記銘、書字命令、復唱も出来ない)では、(簡単な日常会話)を交わす程度のことも難しくなります。歯ブラシを握って茫然自失の状態だったり、ズボンを頭から被ったりするようにもなります。

前頭葉が眠り込んだ状態で、殆ど働かなくなる結果、前頭葉の三本柱の機能である意欲や注意の集中力や注意分配力の働きが殆ど機能していないので、様々な場面で「評価の物差し」と「実行機能」とが殆ど働かない結果、発言も、動作も極めて不完全なものにしかならない「大ボケ」は、自分の身の回りのこと(「セルフケア」)にも、支障が出てきます。状況の分析と理解や判断、更に、目的の理解も出来なくなっているのです(記憶の障害が原因ではない)。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった「身の回り」のこと(「セルフケア」)も自分では出来なくて、日常生活面での「介護」が必要となる。

『権威達』は、小ボケ、中ボケの段階を見落としています。更には、中ボケの後期(MMSEが19~15点)から大ボケの前期(MMSEが14~10点)の症状の発現を「発病の前駆的状態」と説明していて、大ボケの後期(MMSEが9~0点)の頭で発現する失語、失認、失行かと誤解されそうな紛らわしい症状が、発病の初期症状だと誤解しているのです(「DSM-Ⅳ」の第一及び第二要件が規定する内容が正しいものと誤解したままで、『末期の極めて重度の症状』にしか目が向いていない)。
  
Ⅱ-06    大ボケ」の症状のチェックリスト
「大ボケ」の類型的症状の10項目:
(3つ以上に該当していると、「大ボケ」であることが疑われます)。
㉑しばしば、自宅の方向が分からなくなる(所の見当識が働かなくなってきている為に、結果として、徘徊することになる)
㉒ 服を一人では正しく着られず、上着に足を通したりする(着衣失行)
㉓ 同居の家族の名前や関係が分からない(人の見当識がなくなる)
㉔ 家庭生活の面で、介助が必要となる
㉕ 大小便を失敗し、後の処置が上手くできない
㉖ 汚れた下着を、そのまま平気で来ている
㉗ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ
㉘ 風呂に入ることを嫌がるようになる
㉙ 食事をしたことを直ぐに忘れる
㉚ 誰もいないのに、『人が居る』と言ったりする
※1 上記に提示した小ボケ、中ボケ、大ボケの三段階に区分された類型的症状に注意して下さい。それら段階的で類型的な症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状群(二段階方式は、厳格な定義を有しています)なのです。『記憶障害に起因して発現してきたものではない』ことを理解できるでしょう。
※2此処に挙げてある症状は、全てが『アルツハイマー型認知症』の発病患者に確認される類型的な症状について、軽い症状の順番に並べたものです。
世界中の専門家達は、上記の内の『末期の段階(大ボケ)』の後期の症状(MMSEの総得点が一桁、9点以下になって初めて発現してくる症状)のことしか知らないのです。
「小ボケ」や「中ボケ」の段階があることにさえも気づいていないので、MCI (軽度認知機能障害)とかの極めてあいまいで主観的な内容でしかない基準の該当者とされる「極めて重度の物忘れの症状」の発現者に加え、失語、失認、失行と紛らわしい症状が確認されて初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病だと主張しているのです(重大な誤解)。
※3 アリセプト(アセチルコリン仮説の考え方に立脚して開発された)、アデュカヌマブ、レカネマブ(両者は、共に、アミロイドベータ仮説の考え方に立脚して開発された)は、日本の製薬会社であるエーザイが、アルツハイマー型認知症の治療薬と(強弁)して、開発したものばかりなのです。医学会に於いても、アリセプトは、治療の効能は無くて、単なる対症療法薬でしかないことがほぼ確定しているのですが、アデュカヌマブとレカネマブについても、治療の効能を有していないことが確定されることになる。

アミロイドベータの蓄積とアルツハイマー型認知症の発病との間に直接の因果関係存在していないのであり、アミロイドドベータの蓄積を阻害する効能を有しているからといって、アルツハイマー型認知症の発病の予防、症状の治癒を含む及び/又は症状の進行を抑制する効能を有することにはならないのです(因果関係の有無の評価方法の誤り/又は評価の仕方が杜撰なだけ)。
※1)小ボケは、本人に自覚があるので、本人が該当している項目を判定できます。中ボケは、症状の自覚が出来なくなるので、家族が判定して下さい。
※2)大ボケのレベルになってきた人では、夜間せん妄、暴言、暴力行為、妄想、徘徊、便コネ等の問題行動が出て来ることが有ります(但し、問題行動は、大ボケの人の全員に出てくる症状ではありません。家族を含む周りの人達との関係が、本人の感情面に反映していることが多いのです)。
※3)DSM-Ⅳの第二要件が規定する失語紛いの症状は、廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因した前頭葉の機能障害が原因。失語紛いの症状を例にとれば、「相手との簡単な会話」も、相手の話を聞き取り、理解して、記銘して、更には、話の筋も理解して保持することが、不可欠となるのです。注意の分配力の機能が殆ど働かないので、記銘も、保持も、想起も出来ないのです。会話をする上で肝心な、『相手が話す内容も話した筋も』、理解できないし、記銘できない上に及び『その内容も筋も保持できない』、『脳の機能レベルに在る』のです。
※4 『記憶障害』(記憶障害に起因した症状)は、『アルツハイマー型認知症』を発病した結果【廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行した結果】)であり、発病を惹き起こしている原因ではないのです(アミロイドβ仮説の、主張内容の重大な誤り=エーザイのレカネマブは、症状の進行を抑制する効能を有していない)。

Ⅲ-脳全体の司令塔の『前頭葉』の諸機能とその役割
1.私達が意識的に何かを実行しようとする際、思考や発言や行為や行動等は、全て自由意思に基づいて『前頭葉』(の評価の物差し=意識の首座=自我)が評価し、選択し、支配し、管理しています。人間は、自由意思に基づいて行動を選択できますが、動物は、本能に基づいてしか行動できないのです。そこのところが、人間と動物とでは根本的に異なるのです(「注意の分配力」の機能も『意識』も存在していないマウスから得られるデータは、アルツハイマー型認知症の発病原因、記憶のメカについても、評価データとはなり得ない)。
私達が意識的に何らかのテーマを発想して、実行しようとするとき、脳全体の司令塔の役割を担う前頭葉が、脳の各部と協働し、それらを主導しながら:
  • 自分のおかれている状況を分析し、理解し、判断し(「状況の判断」);
  • 目的となるテーマとその内容を構想し(テーマの発想と内容の構想」);
  • テーマの内容を実行する手順を計画し(「実行手順の計画」);
  • 実行結果を予測し、シミュレーションし(「実行結果の予測」);
  • 結果の予測に基づく必要な修正を施し(「実行内容の修正」);
  • 構想から実行に至る全体の構成を保持し(「構成の保持」);
  • 結果に向けた実行を決断し(「決断」);
  • 脳の各部に、実行の指令を出す;
という一連の作業を同時に並行して、且つ、重層的に行っているのです。
2.これら一連の作業が、『前頭葉』(評価の物差し=意識の首座=自我)の「脳全体の司令塔としての役割」なのです。即ち、左脳、右脳及び運動の脳という「三頭建の馬車」の運行を操る「御者」の役割を担っているのです。

※アルツハイマー型認知症の研究(診断)の専門家達(学者、医師、研究者)からは、未だに見落とされている『アルツハイマー型認知症』の最初の段階である「小ボケ」の段階のお年寄りは、前頭葉の機能の中でも最も基礎的で重要な機能であり、二段階方式が、『前頭葉の三本柱の機能』と名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が異常な機能レベルに在る(改訂版かなひろいテストによる判定)為、状況に応じて的確に、必要充分には働かなくなってきています(『注意の分配力』の機能が異常な機能レベルに在る為、咄嗟の判断も出来ない)。 

その結果、様々な認知に相当な支障が出てきていて並びに記憶の対象となる種々の情報についての記銘、保持及び想起の機能の発揮にも相当な支障が出てきているのです。従って、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断が、テーマと状況が要求する相応の程度に必要十分的確には出来なくなります。
三頭立ての馬車を操る役目をしている御者である『前頭葉』が時々居眠りする状態下で、馬を適切に操れなくなったら、どうなりますか? 馬車は、どこへ駆けて行けば良いのか分からなくなってしまうでしょう。
  
3.私達人間だけに備わる『前頭葉』には、脳全体の「司令塔の役割」と言う大事な働きがあります。その前頭葉の働き具合は、小ボケに始まり、中ボケを経て、大ボケへと機能が低下していくにつれて、そのこと(前頭葉を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行)に厳密にリンクする形で症状の重症化が進行し、大ボケのレベルでは殆ど働かない機能レベルに在るのです。
専門家達は、『前頭葉を含む脳全体の廃用性の機能低下の進行』という視点が無く、更には、前頭葉の機能レベルを精緻に判定できる手技を持たない為に、発病の末期段階である「大ボケ」の後期の症状が現れるようにならないと、『アルツハイマー型認知症』の発病とは考えないのです。脳全体の司令塔としての『前頭葉』の役割から考え、脳全体の司令塔の『前頭葉』が異常なレベルに衰えて来た「小ボケ」の段階で『アルツハイマー型認知症』はもう始まっているのです。逆に、この『前頭葉』が正常なレベルで機能するレベルが維持(保持)できている限りは、『アルツハイマー型認知症』の発病は起きてきていない(ではない)のです。
大ボケレベルを疑わせるような重度の記憶障害の症状が現れていても、前頭葉正常な機能レベルにあると認められる場合は、アルツハイマー型認知症ではなくて、『側頭葉性健忘症』を疑うべきなのです(若年性アルツハイマー型認知症は、架空の病気であり、『側頭葉性健忘症』を誤診している)。
※1「中ボケ」の段階で既に、自分に発現している症状の認識が出来ない。
アルツハイマー型認知症の正体を知ったり、回復させることが可能な本当の意味での「早期の段階」で発病を見つけるには、「脳の働きという物指し」を使い、『前頭葉』を含む「脳全体の機能レベル」を精緻に判定できる手技の活用が不可欠となるのです。
2意識的な世界(目的的な世界)は、私たち『人間だけに特有な世界』なのです。その意識の機能構造の核心をなす『前頭葉』が、①注意の分配力の機能が核心となる『前頭葉』の三本柱の機能、②評価の物差しの機能(意識の首座=自我)及び③実行機能(メタ認知機能の発揮に不可欠の機能であり、分析、理解、判断、発想、保持、企画、計画、洞察、推理、憶測、忖度、シミュレーション、検索、比較、検討、選択、抑制、感動等の個別認知機能群の総称=Executive Function)の『複合機能体』であると考えているのです。
(注)『前頭葉』と言う脳機能は、単体の機能でなくて、①②③三者による複合機能体であり、『前頭葉が活性化している』と言う意味は、上記三者の機能が、個別に及び総体として、活性化している状態と言うことなのです。
※3何かを考えるにも、何かの行為をするにも、何かの行動を起こすにも、何かの言葉を発して、何かについて語るにも、「意欲」という機能と「注意の集中力」という機能が正常なレベルで機能することが出来ることが不可欠となることについて、皆さんも経験的に理解し、了解できることと思うのです。
※4注意の分配力』の機能は、異なる3つ以上」のテーマを同時に並行して処理する為に不可欠の機能であり、異なる『複数』の意識の構築、維持、統括、分離、管理及びコントロールに不可欠の機能であり、自由意思に基づいた『評価の物差し』(意識の首座=自我)による評価、注意、関心及び選択に基づいて、「注意の対象」に対する注意の分配力の機能の分配の量が異なることが、各意識の覚醒の度合いの差を生じさせているのであり、加齢に因る機能低下の進行についても及びナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行についても、『前頭葉の三本柱』の機能の内で、最も早くに機能低下が進行していく機能なのです。
⇔例えば、何かの「テーマ」について語るとき、①自分がこれから語ろうとしている「テーマ」の保持がきちんと出来ていて、②その保持の機能の発揮の上で、この先自分が何をどのように語るかについての「概要とその流れ」について、メタ認知(実行機能の活用による語ろうとすることの概要の構築、洞察、推理、シミュレーション)しつつ、③メタ認知した概要の枠に従い、具体的に語っていくことになるのです。その場合、①と②と③とに配分される『注意の分配力』の機能の注意の分配量が異なることになるので、①と②と③とは、各々異なる意識が構築されて、同時に並存している訳なのです。
※5  実行機能(Executive Function )と総称される『前頭葉』の個別認知機能群について最も重要でありながら、世界中の脳科学の専門家とされる人達の誰一人として、未だに気付いていないテーマが、『機能発揮上の二重構造のメカニズムの存在』という問題なのです。実は、評価の物差し及び実行機能並びに左脳、右脳及び運動の脳には、『それ自身に、機能を発揮する為の機構が欠けている』という問題が存在しているのです。それでは、どのようにして機能を発揮しているのかというと、『評価の物差し以下、前述した各機能』の機能の発揮度(当該機能の発揮及び発揮度を出力させる為に必要となる関連するニューロンネットワークの発火のエネルギー量)を下支えし、支配し、管理し、コントロールしているのが、『注意の分配力』の機能を核心とする『前頭葉の三本柱』の機能なのです。
※6そのことに加えて、意欲の機能の上位機能として注意の集中力の機能が存在し、注意の集中力の機能の上位機能として注意の分配力の機能が存在するという機能構造が存在していることにも注意が必要です。
言い換えると、注意の分配力の機能の機能の発揮度を下支えているのが注意の集中力の機能であり、注意の集中力の機能の機能の発揮度を下支えているのが意欲の機能であるという意味での『三層の機能構造が存在している』のです。

4. 機能構造の連鎖と廃用性の異常な機能低下の進行の連鎖の仕組み
上述した二重構造の存在については、自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断し、状況判断に沿ったテーマを発想し、テーマの実行内容を企画し、計画しようとするに際し、前頭葉の三本柱の機能である意欲、注意の集中力、注意の分配力の三層構造に従って、機能の発揮度を高めて/下げていくことにより、「機能発揮上の二重構造」の先にある、評価の物差し、個別認知機能群(「実行機能」と総称)、左脳、右脳及び運動の脳の機能の発揮及び発揮度が、支配され、下支えられていることを感得することが出来るのです(解剖では不明なので、脳機能データと照らし合わせて、感得するしか方法がない)。
1機能発揮上の二重構造は、世界中で「二段階方式」しか提示出来ていないのです。その機能構造の連鎖に因り、『前頭葉』の三本柱の機能が、⓵加齢の進行に因る機能低下の進行と②ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に因る廃用性の異常な機能低下の進行という、異なる二つの要因の「同時存在」に因る『相剰効果』に因り、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくとき、その『直接の反映』としての「評価の物差し」と「実行機能」の発揮及び発揮度が異常なレベルに加速度的に低下して行くこととなり、最終的には、複合機能体としての『前頭葉』の機能全体について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくことになるのです。この機能構造の連鎖が、『アルツハイマー型認知症』の発病を惹き起こすメカニズムであり及び症状の進行の原因であり、「記憶障害に起因して発病する」との仮説である『DSM-Ⅳ』の第一要件の規定内容及び「4つの仮説」の主張内容は、『共に重大な誤りである』ことを指摘したいのです(『アミロイドベータ仮説』の考え方に立脚して開発されたエーザイの「レカネマブ」も症状の進行を抑制する効能は有していない。効能の評価の仕方が不適切で、杜撰なだけ)。
※2此処で重要な視点を提示します。『実行機能』は、メタ認知と実体験認知機能を発揮する為に不可欠の機能なのです。『前頭葉の三本柱』の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくことに直接リンクして、『実行機能』の機能の発揮度も、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくこととなる結果、意識的な世界(目的的な世界)で、メタ認知及び実体験認知機能が異常なレベルにまで低下してくることの直接の反映として、末期の段階である大ボケの後半にもなると、ズボンを頭からかぶったり、歯ブラシを手に握っても、どうしていいのかが分からなかったり、何かの拍子に家の外に出ると、そのまま徘徊したりするようになるだけなのです。
※3上記機能構造とその連鎖の帰結として、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした『アルツハイマー型認知症』の症状群が発現してくることになるのです(「二段階方式」では、小ボケ、中ボケ及び大ボケの『三段階』に区分される「類型的な症状」が発現してくると主張=「アルツハイマー型認知症」の発病患者であり、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の全ての段階の症例を含む、14689例の発病患者の『脳機能データ』の解析結果)。

『DSM-Ⅳ』の「第二要件」が確認を要求している症状群である、失語、失認、失行と紛らわしい症状も、此処に提示した、機能構造及び機能関係を基礎としたものであり、『前頭葉』を含む脳全体の機能についての、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行というメカニズムに因り発現してくる症状という訳であり、「第一要件」が確認を要求している記憶障害に起因して発現してくる訳ではないのです(「DSM—Ⅳ」の第一要件の規定内容の重大な誤り)。専門家達には、「廃用性の機能低下の進行」という視点が欠けているのです。
※「アミロイドベータ仮説」の考え方に立脚し、エーザイが開発した薬であるアデュカヌマブもレカネマブも、『症状の進行を抑制する効能を有していない』ことについて(H-01)で脳機能データを付して、詳細に立証する予定です。
両者共に、①発病との間の因果関係が確認されていない「器質的な原因病変」の存在を仮定し、②その器質的な原因病変により「記憶障害」が惹き起こされてくると想定し、③屋上屋を架した条件設定の上で、④間違った場所を様々な方法で掘り起こしているだけのものなのですあアルツハイマー型認知症の発病及び症状の進行との間の「因果関係の存在の有無」の確認について、『アミロイドβ仮説』の支持者も、エーザイも、余りにも杜撰なのです。

本著作物「G-10」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
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