kintyre's Diary 新館

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映画『ミケランジェロの暗号』を観て

2011-09-24 21:06:50 | ヨーロッパ映画

11-62.ミケランジェロの暗号
■原題:Mein Bester Feind(英題:My Best Enemy)
■製作年・国:2010年
、オーストリア
■上映時間:106分

■鑑賞日:9月19日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

■料金:1,800円

□監督・脚色:ウォルフガング・ムルンベルガー
□脚本:ポール・ヘンゲ
□撮影:ペーター・フォン・ハラー
□編集:エフィ・ローメン
□美術:イシドール・ヴィンマー
□音楽:マシアス・ウェバー
◆モーリッツ・ブライブトロイ(ヴィクトル・カウフマン)
◆ゲオルク・フリードリヒ(ルディ・スメカル)
◆ウルズラ・シュトラウス(レナ)
◆マルト・ケラー(ハンナ・カウフマン)
◆ウド・ザメル(ヤーコブ・カウフマン)
◆ウーヴェ・ボーム(親衛隊大佐ヴィドリチェク

◆ライナー・ボック(親衛隊大尉ラウター)
【この映画について】
第80回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋作』の制作会社プロデューサーが手掛けた本作は、やはり第二次世界大戦のさなか、ナチスと命を賭けた取引をするユダヤ人の物語。ナチスドイツが同盟国イタリアとの関係を強固なものにすべく、必死で捜すミケランジェロの絵の行方を巡るミステリーは、手に汗握る駆引きと裏切り、命を顧みない危険な賭けがスリリングに展開するサバイバル・サスペンスの面白さを併せ持つ。常にユーモアを忘れず、機転で難局を乗り越えていく主人公ヴィクトルを演じたドイツの名優、モーリッツ・ブライプトロイが魅力的だ。ラストの一世一代の賭けはこの上ない爽快感を残す。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1938年。ユダヤ人画商一族・カウフマン家は、ムッソリーニも欲するほどの国宝級の代物・ミケランジェロの絵を密かに所有していた。ある日、一家の息子ヴィクトルは、一家の使用人の息子で兄弟のように育てられた親友ルディに絵の在りかを教えてしまう。
ナチスに傾斜していたルディは、暫くの間、ウィーンを離れてドイツに滞在していたがその時にナチスからリクルートされ、入隊して
軍で昇進するためにそれを密告、一家は絵を奪われ収容所へと送られる。

一方、ナチスは絵を取引の材料にイタリアと優位な条約を結ぼうとするが、奪った絵が贋作であることが発覚。父ヤーコブはユダヤ人である一家に危険が迫っていることを察知して、美術品を密かにスイスへ移送する手続きをしていた。ミケランジェロの絵は、知り合いに依頼して精巧な贋作と本物とをすり替えていたのだった。
本物の絵をどこかに隠した一家の父はすでに収容所で死亡、だが彼は息子に謎のメッセージ「視界から私を消すな」を残していた。ヴィクトルは絵の在りかも分からぬまま、母の命を救うためナチスを相手に幼馴染で恋人のレナと二人で危険な駆け引きに出る。彼の作戦は成功するのか。そしてミケランジェロの絵はどこにあるのか……。

ナチス関連の作品は多いが、この作品はユダヤ人が一方的な被害者という設定ではなく、脚本家がユダヤ系だけあって最後の最後でルディが地団駄を踏む展開は痛快だった。
特に、ヴィクトルをベルリンへ輸送中にポーランド上空でパルチザンに銃撃され墜落してからの展開は愉快だった。この辺から展開が早くなって来て、ルディとヴィクトルが入れ替わってヴィクトルがナチスの制服を着て成りきるというストーリーは観ているものをアッといわせた。ユダヤ人のヴィクトルがナチスの制服を着てぎこちなく「ハイル、ヒトラー」と戸惑いの表情を浮かべながら(ユダヤ人なんだから当然だけど)兵隊と接していて果たしてどういう気分だったろう?

やがて終戦となってウィーンに戻って、警察署で身分確認の際にルディと入れ替わったままになっていて誤解されていたのには笑ってしまったが、警察署の玄関にはかつてはナチス旗が掲げられていたが、この時は星条旗だった。
そしてラスト、ルディに画廊が所蔵していた絵画と共に譲渡せざるを得なかったヴィクトル。ルディに経営者が替わって大々的に開催されたオークションに現れたカウフマン一家。
ヴィクトルはその中の一枚で、父ヤーコブの肖像画をルディに頼んで譲ってもらった。ルディはカウフマン家に居候していたころからこの絵は嫌いだったこともあり、友であるヴィクトルの申し出を快諾した。ヴィクトルは大事にその絵を持って画廊を去り、その頃、オークションでは目玉の「ミケランジェロの絵」が贋作であると鑑定人から発表され愕然とした。それを知って笑みを浮かべて去って行ったカウフマン一家。ヴィクトルの脇には父の肖像画が抱えられていた。父の謎の伝言「視界から私を消すな」の意味はそういう事だったのだ。

いや~、この映画面白かったです。時代背景を巧みに描きながらも、裕福なユダヤ人一家とその使用人の息子が立場が逆転して上から目線で接する様子など、その描き方は絶妙だ。父の謎の伝言に関しては途中で何度かそれを匂わす場面が出てくるのだが、最後のでこういうどんでん返しがあった。


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