kintyre's Diary 新館

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映画『ゴーストライター』を観て

2011-09-21 10:20:06 | ヨーロッパ映画

11-61.ゴーストライター
■原題:The Ghost Writer
■製作年・国:2011年
、イギリス・ドイツ・フランス
■上映時間:128分

■鑑賞日:9月10日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)

■料金:1,800円
 
□監督・脚本・製作:ロマン・ポランスキー
□原作・脚本:ロバート・ハリス
□撮影監督:パヴェル・エデルマン
□編集:エルヴェ・ド・ルーズ
□美術:アルブレヒト・コンラート
□音楽:アレクサンドル・デスプラ
◆ユアン・マクレガー(ゴースト)
◆ピアース・ブロスナン(アダム・ラング)
◆キム・キャトラル(アメリア・ブライ)
◆オリヴィア・ウィリアムズ(ルース・ラング)
◆トム・ウィルキンソン(ポール・エメット)
◆ティモシー・ハットン(シドニー・クロール)
◆ジョン・バーンサル(リック)
◆ティム・プリーズ(ロイ)
◆ロバート・パフ(リチャード・ライカート)
◆イーライ・ウォラック(老人)
【この映画について】
「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」の名匠ロマン・ポランスキー監督が、ロバート・ハリスの同名ベストセラーを「トレインスポッティング」「ムーラン・ルージュ」のユアン・マクレガー主演で映画化したサスペンス・ミステリー。自叙伝を発表する元英国首相にゴーストライターとして雇われた主人公が、国家を揺るがす危険な秘密に迫ったばかりに、恐るべき陰謀に巻き込まれていくさまを、円熟のサスペンス演出でスリリングに描き出す。共演はピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズ。
(この項、allcinemaより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
元英国首相アダム・ラングの自叙伝執筆を依頼されたゴーストライターに出版社が提示した条件は、米国で講演中のラングが滞在する島に今夜中に発ち、1ヶ月以内に原稿を仕上げるという厳しいもの。だがそのハードな仕事と引換に得られるものは25万ドルという破格の報酬だった。しかし、政治に興味がなく、前任者がフェリーから転落死、その後任ということもあり、彼は気乗りがしなかった。

代理人に説得されてラングの自叙伝を出版するラインハルト社に面接に行くと、そこにはラインハルト社ニューヨーク支部のマドックス、ラングの弁護士クロールも顔を揃えていた。言いたいことを率直に話すと、かえって気に入られてしまい、いつの間にか仕事を引き受ける羽目になる。
ヒースロー空港の待合室では、ラングがイスラム過激派のテロ容疑者に対する不当な拷問に加担した疑いがあるというニュース速報が流れていた。飛行機を降り、ラングが滞在する東海岸の島へ向かうフェリーに乗り継ぐ。そのフェリーはラングの首相時代の補佐官である前任者マカラが、その内容の不出来を責められて書き直しを命じられ、挙句の果てに大酒を飲んで泥酔して落ちたフェリーそのものだった。

ラングの邸宅は厳重な警備が敷かれ、中へ入るや否や、女性の怒号が耳に飛び込んでくる。ラングの妻ルースは機嫌が悪いのだ、と専属秘書のアメリアが説明する。彼女は守秘契約書にサインするように求め、自叙伝の草稿の屋外への持出しは厳禁だと言う。
原稿に目を通した彼はその内容の酷さは想像以上だった。溜息と共に顔を上げるとラングの妻ルースが立っていて、彼を後任者に推薦したのは自分だと言われた。

ラングの疑惑が表面化すると、孤島に大勢のマスコミが来襲しラングの自宅前では抗議デモをする市民や取材陣でごった返すようになった。そして、遂に、ラングの側近でもあった元外相のライカートがICC(国際刑事裁判所)にラングの調査を依頼するとのニュースが飛び込み、ラングはこの窮地を脱するためにワシントンへと向かう。
前任者の不審な死を追ううちに、今度は自身がラングの側近らに尾行されるなど、徐々に自身の身の危険を感じてフェリー乗り場から脱出してライカートと連絡を取った。
ラングは若い頃、ラングの妻がCIAと関係があったことから長年秘密の関係が続いていたことが判明、ラング自身は一旦母国に戻るも、執拗に息子が戦場で死んだことを抗議していた男性に暗殺されてしまい、彼(ゴースト)自身も出版記念パーティ出席中に外に出た途端に暴走してきた車にはねられ呆気なく死んでしまう。

このラスト・シーン、彼が事故死すると原稿用紙が舞ってエンドロールへと繋がるのだが、この辺のスタイルってポランスキー監督の演出、中々でした。
最後に、この映画の原作は元々「ゴースト(Ghost)」だったそうですが、何故だかゴースト・ライターに替わってしまったらしい。ゴースト・ライターだとラングの伝記を執筆するライターの話だが、ゴーストとなるとそれは果たして何を指すのか?という事になる。ポランスキー監督のその辺の意図は分からないが、ラングはブレア元英首相がモデルとも言われているが監督自身は否定しているそうだが、ジェームズ・ボンド役者のピアース・ブロスナンがラング役で、ボンドとしてはいつも暗殺する側だったのに、今回は暗殺されてしまう役とは皮肉だ。

配役としては主役のゴーストライターを演じるユアン・マクレガーは中々良かったのではないでしょうか、どこかウィットに富んだユーモアがあって、でもスリリングなシーンでも個性を発揮するなど良い配役でしたね。また、前任のゴースト・ライターの死因を巡って登場する老人を演じたイーライ・ウォラックって95歳だけど、最近でも「ウォール・ストリート」に出演していたけど矍鑠(かくしゃく)としていて元気だよね驚いた。

最後に、ラングの邸宅があるアメリカ東海岸の孤島のロケは実際にはドイツで行われた。ポランスキー監督はご存知のように、2009年にスイスで1977年にアメリカでの少女淫行事件で保釈中の身で逃亡したことで逮捕されその後釈放されている。従って、アメリカが舞台の作品ながらドイツでのロケとなったと容易に推測できますね。


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