こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

日本の医療問題の行き着いた先

2018年08月08日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

連日、トップニュースで流されている東京医科大学の裏口入学を端緒とする多くの問題。たどり着いた入試得点の操作問題は、現在の日本の医療問題の縮図を反映したものといえる。いや、医療問題だけではなくて、少なくとも教育問題の縮図でもある。教育問題にまで話を広げたら、キリがないので医療の問題にとどめておく。

入試の際の得点操作は、”現役〜2浪男子は20点、3浪男子は10点を加点する一方で、4浪男子と女子には加点しないというもの。女子は現役・浪人を問わず、男子は3浪以上になると事実上減点される仕組みだった”そうだ。歳をとってから医者になるとすぐに家業の医院を開業するために大学病院を辞めてしまう、女性医師は結婚、妊娠・出産を機に大学病院を辞めてしまう、というのが大まかな考え方のようだ。

これは、男性医師優遇、というよりは、男性優遇の医療システムだ。過酷な長時間労働をさせる代わりに、妻を専業主婦として生活できる程度の給料を払うことで、若い男性医師をブラック企業に確保する。こういうシステムは日本中多くの大学病院で行われていることだ。長時間労働に陥りがちな外科や内科の一部は特にそうだろう。手術に入る前、最後に顔を見た医者が、目覚めたときにも目の前にいたら嬉しいだろうけど、もう、そういう時代ではない。手術に5、6時間かかったら、そのあとの回復室では別の医者が手当する。担当医はさっさと帰る、そうならなくてはいけない。

初期研修医のシステムが9時5時となって数年経つ。私の勤務先でも初期研修医が真っ先に帰る。帰るというか、帰らなくてはいけない、というのが正しい表現なのだろうけど、まだまだ目が冴えている夕方の時間は何に使っているのだろうと思う。医者の場合はセカンドスクールもないから、結構な時間のロスだと思う。せめて、毎日、あと数時間余計に勉強したらもっと伸びるだろうにと思うが、そうもいかない時代となった。医療を行うための知識は膨大で底なし沼だ。自分の専門領域だけは足りないから、幅広い知識と経験が要求される。

でも、多分そんなすごい医者よりも、時間給で働いてくれる医者が増えてくれる方がいいのだろう。時間給としてはいまと同じでも、労働時間が抑制できたら、医療費は抑制できる。給料もそんなに高くないから、医学部人気も下火となって、優秀な人材が他職種に回ってくれるようになる。いまの日本の地盤沈下の原因が、優秀な人材の一極集中にあるとすると、その改善にもつながるかもしれない。

医者の子弟みんなが医者になりたいわけでもない

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