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【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 「捨てる」「やらない」で業績拡大 3208-4814

2024-08-14 12:03:00 | 【経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】  「捨てる」「やらない」で業績拡大 3208-4814

 経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■   「捨てる」「やらない」で業績拡大 3208-4814
 コールセンターと、石鹸の製造・販売という全く異なる二つの事業を手がけ、コロナ禍にもかかわらず業績を伸ばしている企業が沖縄にある。K社(那覇市)がそれで、コロナ禍前の2020年3月期に7億3000万円だった売上高は、コロナ禍後も伸長し、売上高が倍増しています。

 創業は2011年4月。4人の仲間によりアパートの一室で起業した。社長のOさんは「東日本大震災の発生直後であり、リスク分散の観点から沖縄へのコールセンター開設意欲は高かった」と振り返る。ユニークなのは、事業開始に当たって「捨てる」を経営方針の一つに据えたことである。

 コールセンター業では通常、かかってきた電話に対してオペレーターが対応した割合である「応答率」で評価する。ところがK社では、顧客からの「ありがとう率」で評価する。一般的なコールセンターの通話時間は3分程度だが、敢えて5~10分以上の長電話を目指す。その代わりに、効率性や24時間対応などは捨てた。この結果、1年半後に「ありがとう率」は25%から70%に向上した。

 また友人経営者の会社の取り組みをヒントに、社員同士がウェブ上でほめ合うツールを独自に開発・導入した。「ありがとう率の高い人を分析したら、実は『ありがとう』を数多く言っている人だった」とOさん。コールセンターは一般的に、インカムを付けた社員が顧客対応に専念し、隣同士でもまったく会話がないというイメージが付きまとう。こうした施策を進めることで、離職率を下げることを狙った。2016年には新本社屋建設と同時に社員食堂を併設させ、18年には保育園も開設。この結果、実際に離職率は大きく下がった。

 16年には石鹸に独自ブランドをつけて物販事業に進出。当初はコールセンター業務を担当していた産休明けや介護をしながら働く女性社員向けの職場を作り出すことが目的だった。子育て中の女性が販売するのにふさわしいものとして、石鹸が浮かび、石鹸職人を探して共同で開発した。熱を加えず時間をかけてゆっくり冷やし固める「枠練り」という手法を採用し、肌に優しく、家族で使える、沖縄らしい石鹸が出来上がった。

 その際、「やらない」ことを決めた。適正な価格で石鹸職人や社員に対価を支払うため「安売りはしない」、作り手の思いや商品の良さを直接伝えるため「卸売りはしない」、そして「広告は打たない」「品質に妥協しない」である。結果として石鹸1個が2000円(税抜き)と高額な設定になったものの、その価値は評価され、現在の店舗数は沖縄県内に12拠点、県外は大阪が3拠点、名古屋・東京は各1拠点の計5拠点まで拡大した。

 K社は今後2年間で、さらに10店舗程度の出店を計画している。「このうち2店舗は台湾と米ニューヨークに出店したい」としており、将来的には欧州やアフリカへの進出も狙う。Oさんは「沖縄の中小企業が世界で活躍するきっかけになれたら最高だ」と力を込める。

【 コメント 】

 東京一極集中の昨今、ICTの時代、業種・業界によっては、企業の所在地の価値はあまり重要ではありません。
 Oさんは、全国区的に、特別に強い産業があるわけではない沖縄という地で、時代の現状を認識し、コールセンター業務という分野に着目しました。企業の成功例として、どの分野にドメインを置くかが大きな要因であることが多いです。
 Oさんは、沖縄の実状を見て、起業をし、コールセンターという分野に進出しました。
 この業界では一般的には応答率で評価されますが、K社では「ありがとう率」という、これまでの常識ではない指標でビジネスモデルを展開しました。これが功を奏したのです。
 そのビジネスを継続するにあたり、産休明けや介護をしながら働く女性社員向けの職場を作り出すという、社員重視の考えから、新たな商品ラインを構築しました。これまでのサービス業とは異なる、石鹸という商品で、製造・物販業の業界参入をしたのです。ここでも、前者のビジネスで培ってきた「ありがとう」重視の姿勢を貫き、コミュニケーションを重視して成功しています。
 異業種参入は失敗することが多いですが、経営理念をもとに、新規ビジネスでも成功した例と言えます。

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

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