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【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業1 人選 10 部下を持ち上げることも忘れない

2023-10-27 00:03:00 | 【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業

  【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業1 人選 10 部下を持ち上げることも忘れない

 

■ 【小説風】 竹根好助の経営コンサルタント起業 

 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。

【これまであらすじ】

 エピローグは、主人公である竹根好助(たけねよしすけ)の人柄を知る重要な部分でした。
 親によるある教えで、超一流ではないものの上場商社に入社した竹根の若かりし、1ドルが360円の時代でした。
 入社して、まだ1年半にも満たないときのことです。アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。社内では、誰が派遣されるのか話題沸騰です。若輩の竹根は推理小説でも読むような気持ちで、誰が選ばれるか、興味津々で推理を働かせました。
 一方、竹根の信条のひとつに「サラリーマンとしての心得のひとつとして上司からの命令には逆らうなというビジネス書の教えをかたくなに守ってい」という頑固というか、意志堅固なところがあります。
 人事というのは、競馬の予想のような下馬評が走り回るのがサラリーマン世界の常です。そのような中、トップ間での人選は進みます。角菊事業部長は、自分の推薦順位の高いものから三名のリストを福田社長に提出するのですが、福田の顔はさえません。角菊には、福田の腹の内を読めないでいます。
 角菊事業部長は、次回の福田社長との人事ミーティングで、自分の考えをキチンと伝え、自分の提案が通るように、じっくりと考えた上で資料作成をしました。準備万端で社長との面談に臨むのですが、なぜか落ち着かない角菊です。ドキドキしながら提案資料を手渡すと、「すばらしできの資料だ」と専務からお褒めの言葉をいただいたのですが・・・
 いざ、福田社長と対面で意見を述べた角菊事業部長には、想定外の質問が飛んできました。福田としては、何としても角菊に成長してほしいという気持ちと、なぜ、角菊自身が自分の提案が、これまでの視点と変わっていないことの問題点に気がついてくれないのか、軽いいらだちも感じているのです。

【最新号】
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【過去のタイトル】
 1.人選 1ドル360円時代 鶏口牛後 竹根の人事推理 下馬評の外れと竹根の推理 事業部長の推薦と社長の思惑 人事推薦本命を確実にする資料作り 有益資料へのお褒めのお言葉 福田社長の突っ込み

■■ 1 人選

 私の会社を引き継いでくれた竹根が、経営コンサルタントになる前の話をし始めました。思わず私は乗り出してしまうほどですので、小説風に自分を第三者の立場に置いた彼の話をご紹介します。

◆1-10 部下を持ち上げることも忘れない
 
 福田は、角菊の言葉を意に介していない。
 「売上高が伸びている理由は何かね」
 「彼の担当は中南米で、たまたま彼が新規開拓メールを出しているのにヒットしてきて、それが売上に結びついただけです。彼は、仕事は熱心ですが、残業をすることもなく、社員の中で一人浮き上がってしまっています。それに彼は線が細くて、頼りないです。そのような人間がアメリカで成功するわけはありません」
 「では、なんで、推薦したのかね」
 「エー、それは、先ほどもお話したように彼のマーケティング力です」
 「さすが、事業部長だね。私も、彼のマーケティング力は評価したいね。それと・・・」
 角菊は、社長が何を言い出すのか、思わず山之下とうなずきあってしまった。

 「一年半前の入社式のことを君は覚えているかい?」
 「入社式のことですか?いや、全然記憶にありません」
 「彼が新入社員を代表して、謝辞を述べたんだよ。思い出したかね」
 角菊は、思い出そうとするが、社長が何を言いたいのか思い当たらないでいる。
 「例によって、入社式の席で、会長がいつも言うだろう」
 「ああ、『知識と知恵』の話ですね。それがどうかしましたか?」
 角菊には知識と知恵という会長の口癖と入社式の謝辞とが結びつかない。
 「彼は、謝辞を読み上げる中に『知識と知恵』の話を盛り込んだのだよ。事前に彼が会長の口癖のことを聞いているはずもなく、あれは彼の機転でアドリブ的に入れたのだと思う。書かれた謝辞の直前に聞いた会長の言葉を盛り込む、その度胸にも恐れ入った。君は、先ほど彼は線が細いと言っていたが、私の目には、そうは見えない。芯はしっかりしていると思うよ」

  <続く>

■ バックナンバー

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