経営コンサルタントへの道

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【経営コンサルタントのお勧め図書】『世界インフレの謎』 世界インフレの原因は戦争? 2303

2023-03-28 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】『世界インフレの謎』 世界インフレの原因は戦争? 2303

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

【 注 】

 本文中のリンクをクリックしますと図版資料をpdfファイル形式で開けます。

 リンクサイトがhttpsではなくhttpサイトですので、その際に警告表示が出ることがありますがクリックして下さっても大丈夫です。

本

■    今日のおすすめ

  『世界インフレの謎』   (著者:渡辺 努 発行所:講談社現代新書)

 


本

■ 世界インフレはウクライナ戦争以前に始まっている(はじめに)


 著者は、日本銀行出身の金融政策の専門家です(経済諮問会議特別セッション8人の一人。東大大学院教授、キャノングローバル戦略研究所研究主幹)。
 大規模データによる経済分析を得意とする著者の「世界インフレ」の分析を是非知って頂きたい思いで紹介本を採りあげました。
 世界のインフレの動きをコアCPI(食品とエネルギーを除く消費者物価指数/日本はコアコアCPI)を見てみましょう。


 【図表1】を見てください(ここをクリック)。

 【図表1】から分ることは、日本を除き、アメリカ、イギリス、ユーロ圏のコアCPIについて同じ動きを確認できます。それは2021年半ばからインフレが起こっていることです。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻以前からインフレが起こっているのです。ウクライナ侵攻の影響は若干みられるものの、一つの要因ではあっても、本質的な要因ではありません。


 著者は、世界経済の代表とも言える、アメリカに焦点を絞り、著者のデータ(【図表2】「米国のフィリップス曲線」)と「フィリップス曲線」理論に基づき、「世界インフレ」の要因を探索しています。著者の探索のプロセスを見てみましょう。


 【図表2】「米国のフィリップス曲線」を見てください(ここをクリック)。
 【図表2】は、縦軸にインフレ率(コアCPI)横軸に失業率を置き、2007年1月~2020年12月を●印で、2021年1月~2022年5月を■印でプロットしたものです。
 【図表2】は重要なことを示しています。それは、2007年1月~2020年12月の168個(14年×12ヶ月)の●印は、『2.1%-0.083×失業率』で表される「フィリップス曲線」理論の点線の直線の範囲で変動していることが判ります。即ち需要が上がり景気が良くなれば失業率が下がる、一方需要が下がり景気が悪くなれば失業率が上がる「フィリップス曲線」理論通りに動いていたのです。


 しかし、2021年1月~2022年5月の17個(1年5か月)の■印は、3個(2021.1~2021.3)を除き「フィリップス曲線」理論の点線直線から大きく外れている事が判ります。従来の「フィリップス曲線」理論の動きに沿わない、何らかの要因がコアCPIを動かしていることが判ります。


 著者は「フィリップス曲線」理論を「インフレ率=インフレ予想-a×失業率+X」の数式で現し、このXを「ファクターX」と呼び、Xが大きければ「フィリップス曲線」理論から外れた動きになるとします。このXの解明が、「世界インフレの謎」を解くことになります。


 それでは次項で『「ファクターX」は何か』を見てみましょう。

本

■ 「ファクターX」はコロナの世界的な感染拡大(パンデミック)の後遺症


 著者は、「ファクターX」について次の様に結論付けます。


 『ロシアのウクライナ侵攻と資源高は本質ではない。2022年2月の侵攻より前からすでに米欧でインフレが進んでいた。その本質は新型コロナウイルスのパンデミックの後遺症だ。これは「①個人消費がサービスからモノにシフトした」「②感染拡大で職場から離れた労働者が戻ってこない」「③グローバル化の反転-供給網の機能不全-」の3つの事象に集約できる』と。


 三つの事象について、以下で詳しく見てみましょう。


【個人消費がサービスからモノにシフトした】
 【図表3】と〔補足資料3-①、3-②〕を見てください(ここをクリック)。
 【図表3】は、コロナのパンデミックが始まった2020年1月から2022年3月の間の、サービス消費が4%減り逆にモノ消費が4%増えたことを示しています。


 つまり、過去のサービス消費比率の拡大に終止符を打ちモノ消費比率が大きく伸びた変容を、〔補足資料3-②〕ではおぼろげにしか見えない変容を、つまびらかにしたのです。


 この消費行動変容による、モノの需要増に伴う供給が追い付かず、異常インフレとなったのです。特に、〔補足資料3-①〕が示す通り、耐久財需要が著しく増えたのです。その例としては、パンデミックへの恐怖から、スポーツ・ジムを退会し自転車を購入して体を鍛えた例、在宅勤務の急増に伴う耐久財需要増などを挙げることが出来ます。


【感染拡大で職場から離れた労働者が戻ってこない】
 最近のアメリカの労働市場に異常値が出ています。それは、インフレ率を上げても失業率が下げ止まる失業率の最低ラインNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:自然失業率=完全雇用下における理論的失業率)の理論が通用しない事態が起こっています。アメリカではNAIRUは4%とされていましたが、2023年1月の失業率は3.4%と大きく下回ったのです。


 この異常値の背後にあるメタは、著者が指摘するパンデミックの「後遺症」である「大退職(Great Retirement)」と呼ばれている事象です。


 【図表4】と〔補足資料4-①、4-②、4-③〕を見てください(ここをクリック)。


 パンデミックの「恐怖心」などが労働者に広がり、労働者の「大退職」が起こります。米国非労働力人口(職を求めない)が、コロナ前の2020年2月は9505万人でしたが、コロナ直後の2020年4月には1億354万人と849万人増加します。しかし、コロナが落ち着いた2022年5月は約9930万と425万人が戻っていないことが分かります。OECDでも同様な傾向がみられます。【図表4】と〔補足資料4-②の「参考資料」〕参照。


 また、労働参加率からみた場合、264万人(1%)が非労働人口に留まったまま戻って来ないと試算できます。〔補足資料4-②〕参照。


 この事象が、失業率の異常な低下、労働市場の逼迫、賃金の上昇を招き、インフレの要因となっているのです。


 著者によれば落ち着くまでは相応の時間を要するとしています。労働市場の落着きは、求人件数と採用件数の「GAP」が200(万件)を下回ってからでしょうか。注目したいです。〔補足資料4-③〕参照。


【グローバル化の反転 -供給網の機能不全-】
 この事象は、中国を主として起こっています。ゼロコロナ政策による都市・職場封鎖により生産・物流の停滞と供給網の不全が起こり、世界的にサプライチェーンの停滞を起こし、製品の減産と価格の上昇を引き起こしたことは周知の事象です。


 「突然」起こったことは、一般的には、時の経過で落ち着いてきます。しかし、「グローバル化の反転」の再発を恐れ、米企業の92%の企業が数年内に「リショアリング(生産拠点の米国内または近隣国への移転)」を計画している(A・T・カーニー調査)ことなどを考慮すると、パンデミックの終息後も以前のトレンドに戻ることは難しいと思われます。

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■ 日本がデフレから脱却するチャンス-失われた40年からの脱却-(むすび)


 「世界インフレ」のメタが良く判りましたね。著者は、「世界インフレ」の波が日本に押し寄せている今こそ、デフレ体質から脱却するチャンスと力説します。


 まずは、名目賃金を上げ、その後実質賃金を上げ、好循環経済社会を実現することです。特に、実質賃金を上げる(賃上げと同時に生産性を上げる)ことを可能にするのは経営の力です。経営力による生産性向上の例:伊藤忠が「朝型勤務制度」の採用により2021年度の労働生産性を2010年度比5倍に(2023.2.26日経電子版)。

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【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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【話材】 昨日03/27のつぶやき 筋の通った人生を送るためのスキル体得ノウハウ

2023-03-28 06:43:52 | ブログでつぶやき

 

  【話材】 昨日03/27のつぶやき 筋の通った人生を送るためのスキル体得ノウハウ

 

経営コンサルタントとして感じたことを毎日複数のつぶやきをブログでお届けしています。

もし、お見落としがありましたり、昨日のブログで再度読みたいつぶやきがあるというときに便利なページです。

本日も、複数のブログで、つぶやき済です。

  ■【きょうの人】 0328 微妙大師授翁宗弼 建武の中興で後醍醐天皇を諫めた人

  ■【今日は何の日】 3月28日 ■ スマトラ沖地震 ■ シルクロードの日 ■ 龍安寺・吾唯足知 自慢の写真  一年365日、毎日が何かの日

傘

■ 昨日は、下記のリストのようなことをつぶやきました。

konsarutanto   ◇ 昨日のつぶやき ◇ 

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 【カシャリ! ひとり旅】を映像にして紹介しています。

   ユーチューブで見

 

 バックナンバー

 

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■【きょうの人】 0328 微妙大師授翁宗弼 建武の中興で後醍醐天皇を諫めた人

2023-03-28 06:33:00 | 【話材】 きょうの人03月

 

  【きょうの人】 0328 微妙大師授翁宗弼 建武の中興で後醍醐天皇を諫めた人

 

 独善的な判断で、気になる人を選んでご紹介しています。

 そこに歴史や思想、人物、生き方などを感じ取って、日々の生活やビジネスに活かしてくださると幸いです。

 

■ 微妙大師授翁宗弼 建武の中興で後醍醐天皇を諫めた人


 びみょうだいし じゅおうそうひつ
 永仁4年(1296年)- 康暦2年/天授6年3月28日(1380年5月3日)

  鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての臨済宗の僧で、諱は、後醍醐天皇から授かった宗弼、39歳で出家し、字は授翁です。諡号は、円鑑国師、微妙大師です。父は南朝忠臣藤原宣房で、宗弼は、万里小路藤房と同一人物とする説もあります。

 建武の新政の際には、後醍醐天皇を諫めたが受け入れられず、ひそかに洛北岩倉で不二大徳に支持して得度しました。20年間隠遁した後、京都妙心寺の関山慧玄に参禅して、その法を継ぎ、妙心寺2世となりました。


 宗弼は、客観的なものの見方をすることができる人だったようで、後醍醐天皇による建武の新政における考え方に危機感を持ちました。天皇を諫めましたが、聴く耳を持たなかったようで、足利尊氏が離反するなど、人心掌握力にも欠けていたようです。

 ビジネスパーソンが、変革など、何か、ことを起こそうというときには、周到なる準備が必要です。また、周囲の人間をキチンと掌握していませんと、離反者が出てしまいます。一人離反者が出ますと、離反する人が続出してしまう懸念がありますので、離反者が出ないように、心する必要があります。

 起こそうとするコンサルタントデプトは何かを、明確にし、それを関係者に周知徹底する必要があります。

 

【妙心寺サイト】 http://www.myoshinji.or.jp/index.html


 正法山妙心寺は臨済宗妙心寺派の本山です。

 インドの達磨大師さまから中国の臨済禅師さまを経て、妙心寺開山無相大師さまへと受け嗣がれてきた一流の禅を宗旨・教義としています。

 1337年、95代の花園法皇さまの勅願によって創建された妙心寺の開山、無相大師さまの法流は四派に分かれ、全国3400ヶ寺に広がっています。

 お釈迦さまを大恩教主と尊崇し、その教えを心にいただく禅の安心を求めます。

 開山無相大師さまの最期の教え「請う、其の本を務めよ」と開基花園法皇さまの「報恩謝徳」の聖旨による仏法興隆を実践します。

 自身仏を信じて坐禅に励み、足下を照顧しながら生かされている自分を感謝して、社会を心の花園と念じ和やかな人生を目指します。

 

◆ 【きょうの人】 バックナンバー

 歴史上で活躍したり、仏教など宗教関係の人であったり、ジャンルはいろいろですが、彼等から、学ぶところが多々ありますので、それをご紹介します。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/b57a13cf0fc1c961c4f6eb02c2b84c9f

◆ 【今日は何の日】は、毎日発信しています。

 一年365日、毎日が何かの日です。 季節を表す日もあります。 地方地方の伝統的な行事やお祭りなどもあります。 誰かの誕生日かも知れません。 歴史上の出来事もあります。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/b980872ee9528cb93272bed4dbeb5281

◆ 【経営コンサルタントのひとり言】

 経営コンサルタントのプロや準備中の人だけではなく、経営者・管理職などにも読んでいただける二兎を追うコンテンツで毎日つぶやいています。 

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/a0db9e97e26ce845dec545bcc5fabd4e

【 注 】

 【きょうの人】は、【Wikipedia】・当該関連サイトを参照・引用して作成しています。


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