路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

芒揺れ祭の列の動き出す

2010年10月11日 | Weblog
 午前中地元の祭りに参加する。
 雨が上がったばかりで始まりは寒かったのにまたたくまに陽が出て暑くなる。途中上着を脱ぎに帰宅してまた戻る。
 一般道をほぼ占領して町を南下し、お宮までスムーズに。先頭の組であったから時間的には自由である。
 祭りの列の中で、このごろご無沙汰な人たちに何人か出会う。出会って話をして、今でも名前を思い出せない人が何人かいる。よくわかっているのに名前だけが思い出せない。ということが最近多いなあ。

 秋晴れ。お祭り日和。

                            

 午後は思い立って塀の防腐剤塗り。
 春先に塗る予定で、塗料は買ってあったのだけれど、その後梅雨の長雨やら暑すぎる夏やらでそのままになっていたのである。
 もう古くなった板塀だから丁寧に扱わねばと思うものの最初はなかなか勝手がわからない。それでもそのうちに調子がでてくる。
 区画を区切って、規則正しくやっていくと結構夢中になれるから不思議である。区画とか規矩とかいうのを日本語では「はか」といい、それが進むのを、はかが行く、とか、はかどる、とか言って、最後にそれがなくなった状態を、はかない、と言う。というようなホントかウソかわからないようなウンチクを誰かに話したくなる気分であるが、そういう状況はなかなかないだろう、と思いながらそれなりにはかが行く。
 午後すぐから始めて、薄暮で手元がわからなくなるくらいまで休みなしに続ける。刷毛を持つ右手と缶を持つ左手首が軽く攣ったようになる。

 夜は『パンとペン』を寝ながら読んで、すぐに寝てしまう。

 なかなかな日曜日。




時雨るや社の杜の見える店

2010年10月10日 | Weblog
 一転して雨。

 雨をついて隣町のお宮へ二人で。まあちょっとした所用ではあるが、ついでにお参り。
 新装成ったらしい本殿では桧皮葺の厚い屋根が雨中黄金色に光っておりましたが、あれはいったいどうなっているのだろう。
 合格祈願、学業成就お守りを買ったら、巫女さんが500円ご寄進(?)ください、というようなことを言った。お釣りを渡す時には、500円お戻しです、だった。

                         

 帰りに本屋へ。
 新刊コーナーをグルグルまわったら、棚差しで一冊だけ、黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』があったので買う。
 秋の読書はゆっくりこれを読むこととする。

 雨は終日降り続く。



中空を雲水平に海の果て

2010年10月09日 | Weblog
 目覚めて明け初める窓外を見ると、屋並みの向こう山並みとのあいだの田園から白い煙が垂直にのぼり、やがて山腹あたりで直角に折れてたなびく。そんな野焼がいくつか見える。

 本日も晴天。
 ホテル入り口でバスを待っていると、地元の関係者らしきおばさんが、こういう天気のことをこの辺では「もったいない日」というのだと教えてくれる。家にいてはもったいない、さあ外で働きなさい、という謂らしい。
 ほんとうだ。こんなことしていてはモッタイナイと心底思う。

                       

 バスにのってまず連れて行かれたのは、古い学校を使った公民館。公民館の看板と並んでナントカ文化館みたいな看板がかけられていて、そこで郷土芸能獅子舞のビデオを見る。

 そのあと郊外の山腹のその県最大という古墳を見に行く。
 晴れて暑いくらいである。
 前方後方墳のコブの上に立つと、ほんの数キロ先に海が広がる。10年ばかり前に発見されたばかりというこの古墳は、海岸線にほぼ並行、中心線をそのまま伸ばすとフタガミ山頂上を指呼するという。そんな説明を地元教育委員会のおそらくは20代半ばくらいのイケメンお兄さんが説明してくださる。この説明が明晰かつ滑舌さわやか、きれいな標準語である。ウム、野にもナカナカ逸材ありと睨んだ次第。

 トンボ舞う山稜をあとにし、シャッター閉まり誰もいない商店街を通って、海の幸のショッピングセンターへ。ここで買い物して業務終了だという。
 なるほど、要するにフツーの観光旅行であったのだな、とここへ来てようやく悟る。

 その後すぐに帰路であるはずではあるが、同行の金持ちオバサンが地元の米を買って帰りたいと仰るので、農協へ。(カーナビついてると便利ですね。)
 で、すぐにも用事が済むと思いきや、精米からするそうで30分以上することもなく待たされる。ま、家族で買い物、と同じ状況ですね。

                      

 帰途は車中みなさま話すことも殆どなく、ワシも寝たり起きたり。
 高速道路を走って、親不知のあたり、拡がった日本海にダンゴ状の雲がまっすぐに晴天のなかを異国のほうまで連なっておりました。

 「ああ 越後の国 親しらず市振の海岸」
  
 そんな詩句が浮かんでくるのでありますが。

 「ひるがえる白浪のひまに
 旅の心はひえびえとしめりをおびてくるのだ」

 時は十月、同じ詩人の美しい日本語をまたも書き付けて、ささやかな旅の結句とする所存。

 空のすみゆき
 鳥のとび
 山の柿の実
 野の垂り穂

 それにもまして
 あさあさの
 つめたき霧に
 肌ふれよ
 ほほ むね せなか
 わきまでも
             (中野重治 十月)

 では。



短日や海岸までの稲田道

2010年10月08日 | Weblog
 北陸の某市に連れてこられた。
 朝から車で5時間ほど走って、高速を降りるとナニやら随分と山の中だなあ。セイタカアワダチソウなのか、ワシらのあたりではあまり見かけぬ長尺の草が民家(どれも黒瓦のどっしりとした普請である。)の周囲にやたら繁茂しているように見かけて、草、刈れよ、と思いつつ、それにしても山の迫っている間道だなあとフト反対側をみれば眼前、海、であった。

 山と海の狭間の道をクネクネと行って、昔は団体旅行で賑わったものです、みたいなホテルに入る。
 ここで午後から会議があるのである。

                          

 会議といえば、どこぞの国の、将軍様を前にして満場盛大な拍手、みたいなのが思い浮かぶけれど、ま、そんなもんです。
 なんやかんや、司会者の報告に合わせて一同拍手を繰り返し、一時間もかからぬまに終わってしまった。

 会の始めにその地の市長という人が挨拶して、挨拶というかその町の紹介、宣伝であるが、町の出身者に有名な漫画家がいて、そのキャラクターを並べた〇〇ロードを建設中で、ゲゲゲに負けない、とか、ミウラトモカズ主演のナンとかという映画がその地方を舞台に近日公開であるとか、海越しに3000m級の山並みを望めるのは世界でもその辺含めて二箇所しかない、(どこだよあと一箇所)とかいう話を聞いている最中に、隣に座ったオッサンの携帯がピピピと鳴る。
 隣で鳴るとナニやら気になって我が携帯を開くと、圏外の文字が。で、休憩時間にメールしてみるも接続できない。わざわざホテルから外に出て、携帯振ったり擦ったりしてみると時に圏外が消えて針3本立つから、今だとメール送信、さらには電話するも全く接続できない。
 なんということか、ココへきて我が携帯またも機嫌が悪いらしい。

                        

 休憩の後、町の博物館の人の講演会。
 考古学が専門のその人のはなしを要約すれば、この町にも縄文時代がありました、ということでしょうか。

 ああそういえば、休憩の時の話で、同行の金持ちオバサンは、先週までずっとモルジブと言う所へ行っていたということ。来月は香港で、毎年、年に3回は海外旅行へ行くらしい。モチロンこの町にも以前に来たことはあって、その時の思い出は、駅前にムクドリがたくさんいた、ということでありました。

                    

 夕方からは懇親会。
 丸テーブルがいくつか並べられたひとつに、ワシはステージを背にした位置に座らせられる。(指定席だからね。)
 隣に座ったのは、隣県のS市の職員らしきお嬢さん。おそらくは就職してほんの数年、鄙においておきたき純朴を絵に描いたような美人(?)このまま都会の汚辱に染まらないで欲しいなとオジサン思いますですみたいな方で、この方なにやかやギコチナクこちらに気を使ってくださる。
 ワシはS市を全く知らず、聞けば人口3万弱の町らしい。名産はなんですか、と聞くと、お嬢さんしばし考え、桐タンス、とか、とお答えになる。そうするとその横にいたやはりS市のあきらかに70歳は越えてるらしきオジイサンが、ああ、でもそれは戦前までで今は殆どない、と口を出す。では現在の主産業は、と聞くと、お二人でウーンなんだろう、と考えこまれる。
 オジイサンのほうはワシの町のことを少しは知っているらしく、製糸で有名ですよね、とお尋ね。ええ、でもそれは戦前まで、今は殆どありません。では今の主産業は?ウーンなんだろう、という仕儀となる。

 そのうちにステージ上でその町の伝統芸能ナンとか太鼓の演奏が始まる。
 ステージの方に向き直ったとたんイテテテと突然背中がツル。その結果皆がステージを見る中ワシだけはそれに背を向け、つまり皆様の視線に対峙する形で宴席を続ける。苦笑い、もしくは薄ら笑いである。
 それにしても、太鼓と鰻はどこへ行っても名産である。

 と、そんなこんなで8時半ころ宴はて、バスで宿泊するホテルへ向かう。向かう途中で、突然我が携帯へメールと着信が一斉にはいる。機嫌が突然直るからなあ。

 そういうわけでホテルへ入り、5階ツインに一人。立派なテレビがあるのでアメトークでも見ようと思いましたら、テレ朝は映らないのでありました。





                      

青空やつながりトンボに追い越され

2010年10月07日 | Weblog
 ほんとにもう、さまーずはよろしくない。つい見ちまうからなあ。というわけで今日も見ちまったけど。
 で、きれいな秋日和。

                       

 銀行行ったり、グルグルと町中を自転車で。自転車が気持ちのよい日和となりました。
 そろそろ草取り最終戦を開始するつもり。そんなに暑くもないし。

 というわけで、今日はこれからお出かけ。一泊して明日帰宅。
 行き先はだいたいわかったけど、なにしに行くのかよくワカラン。ま、ラチされるのといっしょだな。
 天気が良ければいいけれど。

 ほんとに、ワシぁ何をしに行くんだべ。

 じゃ。




向きあってしばし動かず赤とんぼ

2010年10月06日 | Weblog
 秋日和。
 歩くと傍らの植木からトンボ飛び立ち、つられて見上げるとけっこうな数で遊弋している。

                           

 「増殖する俳句歳時記」が何度やっても出てこなくなって、「新俳句航海日誌」の掲示板で見ると、サーバーがダウンしたので云々とあって、ミラー版なら見れるという、全く理解できない。
 そういえば、数日前からテレビのNHK教育だけが映らない。ほかは映るのに教育だけ映らない。ふだん見ないから実は前から映らなかったのかもしれない。でも、なんでこれだけ映らないのか、全く理解できない。
 午後蛇口をひねっても水が出ない。おおそういえば断水の連絡が来ておったのであった、と思い出す。思い出したけれども、水が出ない、というのは何もできないことであるな。仕方がないので回復を待つ。たしか3時過ぎには工事終了のハズであった。ハズであったが、時間を過ぎてもいっこうに水はでない。
 結局ほぼ夕方まで水はでなかった。
 どういうことなのか、全く理解できない、わけでもないが、マイッタナ。

 そんなわけで今日も夜はさまーず見てしまう。いいのかさまーず。
 本も読まない。読書の秋なのに。

 いいのか。




秋霖やデジタル時計回復期

2010年10月05日 | Weblog
 雨が降ったと思うと止み、止んだと思うと激しく降り出す。陽射しがのぞき始め、雨上がりかと手をかざすと掌が濡れて、やがて雨音繁くなる。変な天気だな。

                          

 そんな天気の中、屋根屋のご夫妻一日屋根の上。
 ワシもずっとお仕事。

 受験生がさまーずDVDなんかを買ってしまうから、夜はズーッと見てしまう。まあ、面白いけどね。いいのかね。面白けりゃいいのか。
 そのあと蒲団で内田先生のマルクス本開いただけで寝てしまう。
 ま、いいんだろうね。



暁闇に虫の音ひとつのこるのみ

2010年10月04日 | Weblog
 朝六時ころから車庫の掃除。数十年ぶりの掃き掃除で降り積もる埃を掃き出す。一時間ほどで気が付けば手のひらマメができて一部やぶれる。われながらヨワッチイものである。

 ひさしぶりに畑見に行くと、カボチャ豊作、ではあるが幾つかネズミ(?)に完食されている。枝豆は実がはいらず、この夏の暑さの凄まじさをあらためて。それにやっぱり草ボウボウ。そろそろ畑仕舞いである。

                              

 日曜日ゆえか穏やかに過ぎる。
 雨の予報であったが、曇りのまま過ぎて、夜半音たてて降り出す。

 だいぶ暗くなってから訪うひとあり、誰かと思ったら国勢調査のおじさんだった。ご苦労様のセカイである。

 だんだん曜日の感覚も年の感覚もなくなってきた。今年は何年なのかすぐにはでてこない。干支とかになると全く思い出せない。
 秋のせいか。
 歳のせいだな。

 十月は早く過ぎる予感がするな。




まだ残る陽射しや寂びた草照らす

2010年10月03日 | Weblog
 車庫の古くなったトタン屋根をバリバリ剥がす音が半日ひびく。
 まだまだ日中は陽が強い。

                         

 いつのまにかトンボが増えたな。トンボってのは飛ぶためだけに生きてるんだろうな。ほかにやること何にもないぜ的な姿形だもんな。

 というわけで年寄りの見舞いやらなにやら。
 ここまでくると、光陰矢の如し的予感。毎年のことだけど。

 というわけで、がんばれ受験生!




人びとよ屋根の上にも松葉散る

2010年10月02日 | Weblog
 十月の始まりは穏やかで、温かい。働いていると汗かいてきて、最後はシャツ一枚でちょうどよくなる。

                           

 あれやこれやと落ち着かず、本読み始めてもすぐ眠くなる。
 特に心騒ぐような面白いこともないからなあ。

 週末はまた雨だろうか。
 所用あって街中商店街をのぼりおりするも、シャッター街に人影もなし。

 少しさびしい秋はきぬ。