路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

列島を昨日と今日に三月尽

2010年03月31日 | Weblog

 いよいよ三月も終わり。
 なんか長い三月だったなあ。ずっと冬だったからな。今日だってサッムイもんな。

 なんか小説読みたくなって、とりあえず本棚から拾ったのが、山田稔『コーマルタン界隈』(1981 河出書房新社)
 もう三十年も前の本だから、ページのぐるりがやけちまってるけどな。
 三十年前に読んだんだろうケド、当然のごとく何も覚えてなくて、で、読み出すと楽しい。パリ暮らしをめぐる八篇の連作。さして事件が起こるでもなし、ぎらつく描写があるわけでもなし、淡々と綴る文章がいい。ヤッパ文章だな。ウム、文章に尽きる。主題も筋も時には思想もすべては文章に帰する。文章さえあれば他のものは一切いらない、そんな小説がワシの理想であるナ。
 と、ともかくこの小説が読めるようになったというのはワシも齢をとったということだ。タブン三十年前にはまともに読んではいないんだろう。

 で、この本1981年初版だけれど、帯が二つついている。
 裏の篠田一士の推薦文は同じだけど、表は、下になっていたのは、「文学の健在を証明する連作名篇!」と見出しがあって、6行の帯文。その上にかけてあったのには、帯文が文字も小さく4行になって、「各紙誌時評・書評で絶賛された連作名篇」という見出しの下に、白抜きで「芸術選奨文部大臣賞受賞作」とある。
 九月の出版ということになっていて、それから「各紙誌時評・書評で絶賛され」て芸術選奨受賞(芸術選奨っていつだっけ?)しても初版のまま店頭にあって、そのあともとの帯を取替えずに新しい帯まいたのだろうか。書店の人か出版社の人が取り替えるのめんどくさかったのかなあ。
 この本どこで買ったんだっけかナア。

 と、そんなわけで、実はまだ半分くらいしか読んでないけど、これからゆっくり読むつもり。

 明日から4月。
 3月と4月はなんかふつうの月末月初めと違う感じがする。12月と1月ともまた違って。なんだろう、峠のてっぺんの右左みたいな。(相変わらずよくワカランが。)

 梅はまだかな。



たかだかと明けゆく朝や鳥帰る

2010年03月30日 | Weblog

 いつまでたっても寒い、というのも書き飽きた。
 いつもこんなだったかなあ春。

 いろいろなことがあるけど、ほとんど心動かされない。
 いつものことだなあ。

 いつになったらすっきりするのか。
 いらだってばかりである。

 いいことなんか何もないまま、今日も終わってしまった。



立ちどまり冷たい記憶名残り雪

2010年03月29日 | Weblog

 まだ降るかよ雪。
 名残り雪なんて優しいもんじゃないし、花冷えなんて優雅なもんじゃないぜ。ヒュウヒュウよこなぐりの雪が目も開けられないくらいに吹き付けてくるし、もう顔も手も出してられないくらいにカンカンに冷え込んじまっているゾ。
 ドーなってるんだ、世の中。
 もう3月も終わるってのに。

 綱澤満昭『柳田国男讃歌への疑念 日本の近代知を問う』読了す。
 面白かった。
 まあ、書いてあることは至極マットウナことなわけだけど。ちょっと文章が全体に高調子というか、前のめり気味というか、少し疲れるところがあるけど。
 なんだろう、なんとなく近親憎悪的なところがあるな。というのもちょっと違うかな。最初のあたりは奥歯にモノはさんでるけど、だんだんそれがハズレテ行ってしまって、もうイイや、みたいな、というか、ま、なんだかわかんないでしょうけど、ワシも正直なに言ってんだか自分でもわかりませんが。
 この人、橋川文三門下なのかなあ。
 まあ、今後ちょっと注目して読んでみよう。

 と、ここんところズット硬い系の本が多かったので、なんとなく小説でも読んでみようかなあ、といった気分。さて、何読もうか。

 でも、いい加減この寒さ何とかしてもらわんと。



我は地に木賊の繁る父祖の原

2010年03月27日 | Weblog

 晴れた。

 風は冷たいがともかく晴れた。

 で、今年初めて草を引く。
 すでに雑草繁茂甚だし。昨年末ほっといたからな。毎年のことながら最初の草取りは枯葉といっしょだからガサガサと嵩張るな。
 一隅に木賊が盛んに繁茂して林を作っている所があって、今まではそのままにしておいたのだけれど思い切ってガシガシ刈る。木賊って雑草だろうか?そもそもこいつは一年中繁っているからな。ガシガシ刈ったら少しは見晴らしがよくなった。
 子供の頃の記憶では木賊の節を引っ張るとスポスポ抜けてそれがナゼか面白かった気がするけれど、今日やってみたらなかなかうまくは抜けずに、かわりに汁がシュパシュパ飛んで顔にかかったりした。記憶違いか、季節が違うのか。雨の後のせいだろうか。
 木賊って季語としてはいつなんだろう。木賊の秋ってのがあった気がするが、あれは内田百の随筆の方か。
 内田百しばらく読んでないな。読んでみるか。心が弱ってる時はダメかな。

 まあ、そんなこんなで、ソンナコンナである。

 ソユこと。



遠ければふるさとなりし犀星忌

2010年03月26日 | Weblog

サア雨も止んでいよいよ春であるぞ、と思っていたのでしたが。
 ん?
 ぞくぞくするような寒さはあいかわらず。
 うむ。どうなったのだ春は。
 ホントに寒い一日でありました。
 うそみたいな気候が続くなあ、この頃。
 しごとしながら手がかじかんでくるぜ。

 ガンばろう、とは毎日思ってはいるのだけれど。
 だめな日ばかりの今日この頃だなあ。
 -日なにをやったのか思い出せない日ばかり続く。
 らいしゅうになれば少しは温かくなってやる気もでてくるのだろうか。

 さいきんでは何をやりたいのかもよくわからなくなってきたゾ。
 いらいらすることばかりだもんなあ。
 ゆっくりのんびりやっていきたいのだけれどね。
 うまく行く人生なんてそうそうはないだろうケドさ。
 きちんきちんと毎日けりをつけていくのは、なかなか大変である。

 てんきのセイばかりにもしてられないけどね。
 じんせいの残り時間を考えるとナア。
 くよくよしてもしかたがないからな。
 へいきな顔して暮らしていくことにするよ。



 
 

鳥たちはいずこに春の雪峻烈

2010年03月25日 | Weblog

 雨がずーっとずーっと降っている。
 いっこうに止む気配もないまま午後には雪に変わる。その雪がひゅーひゅー斜めに吹き付ける。
 いつまでこんなことなのか。

 鶴見俊輔『思い出袋』同じことの繰り返しが多いな。

 雨、雪だけじゃなくてとっても寒い。とってもとっても寒い。
 いつまでこんなことなのか。

 もうイヤ。



定型を破ってこんなにさびしい雨が

2010年03月24日 | Weblog

 雨の中初めて開いた梅が幹にへばり付くようにふるえている。
 とてもとても寒い。いつまでこんなに寒いのだろう。いつまでこんなに淋しいのだろう。

 井上章一『狂気と王権』面白かった。この人のものはいつも面白い。確かにいつでも補助線の引き方が絶妙なのだな。
 ただ今回のは(といっても十五年も前のだけど)ところどころ素人っぽいというか、なんかちょっと腰が引けているところがあるというか、それを自身が文章的に弁解しているみたいなカンジがチョコチョコある。(ような気がする。)
 でも全体として、なんか孫引きしたくなるような、(引く場所もないけど。)それがこの著者のものすべてに共通の魅力だね。
 それにしても井上章一作品は殆ど文庫になってないような気がするけど、ワシが知らないだけかしらん。講談社学術で出雲のやつと、現代新書でキリスト教のやつと、ほかに何かあったかなあ、すぐには思い出せないけど、もっと文庫化してくれれば入手しやすくなるのに。

 と、そんなわけで今日は一日中雨。
 寒くて本を持ってるだけで指がかじかんでくる、そんな夜更け。
 
 春、早くきてね。



囀りはあらず羽ばたきたかみゆく

2010年03月23日 | Weblog

 寒いのでまた朝から灯油を入れて暖房する。
 季節がちっとも動かない。福寿草とクロッカスが咲きかけただけである。曇天やがて冷たい雨。

 出かけたついでに新刊本屋で、鶴見俊輔『思い出袋』(岩波新書)パラパラと読むがけっこう既視感が。買ったけど読まないかもナ。
 ついでに近くの岩波現代文庫かの熊井啓の自伝みたいなのを立ち読み。若い頃の部分だけをパラパラと見るが、(旧制)高校の入試問題までを細かく記憶しているらしいのに驚く。何年何月何日に何と何(数学と国語とか)があって、どんな問題が出て、どう回答して、翌日はどうで、みたいなことが細かく書かれてある(らしい)。
 ワシなんかナンにも覚えておらんけどね。
 日記つけてたのだろうか。だとしたら、そのへんが優等生と劣等生の違いだな。ワシなんか試験のことなど思い出したくもない。マア人生の大半は思い出したくもないが。

 そんなわけで、今日もまた食べすぎ。体が重い。

 寒い。



世をすねてはや幾たびの目借り時

2010年03月22日 | Weblog

 ひさしぶりの春めいた日。というのを何度使ったか、ともかくこの年の春は行きつ戻りつであるな。

 我が家で小さな法事。朝からイソガシ。
 法事というのは結構人生の節目デアルな。忌日は何回か重ねてそれがいつしか自身の思い出の節目になっていくということはあると思う。
 と、そんなこんなで終わってみればタイソウ疲れた。食いすぎだし。からだ動かんし。

 このままあっさり寝ちまうだろうから、本なんか読まんだろうし。

 と、そんなこんなで、おやすみなさい。



半生に語るものなし春疾風

2010年03月21日 | Weblog

 昨日からスゴイ風である。
 夜中、ピューピュー、ゴーゴー轟音ひびき、とってもコワい。朝になったら静かだと思ったら、またしばらくすると突発的に風吹き付ける。やがて雨もよいから吹雪。
 まだまだ冬。彼岸なのにね。

 新刊本屋へ岩波新書で鶴見俊輔の新刊を買いに行ったが、まだ店頭になし。19日発売のはずだけれど、たいがい2,3日は遅れる。場合によっては一冊だけ一週間以上店頭に並ばない、なんてことも。どういうことだろう。
 で、ついでに冬眠鼠さんの欲しがっていた文春の「くりま」俳句特集のを買ってくる。
 買ってきて、とりあえずワシが読む。
 けっこう内容充実で読み応えあり。
 アンケートで芭蕉が上位を占めるのがあまり面白くない。(理由はさしてないけど。)
金子兜太の戦中回想がかなり興味深い。
 半藤一利・嵐山光三郎対談が面白いけど、俳句の評価にやや疑義が。
 朝日俳壇のルポで6000句を半日で、(百句を数分で選句してしまうみたいなの)がヤッパリ不信感拭いきれず。
 それにしても、相変わらずみんな芭蕉や一茶、虚子や万太郎がすきであるなあ。他にもいると思うんだけれど、というところでした。

 まだまだ寒いか。
 彼岸の入りでもないのにな。