路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

少しだけ風がほしいな初蜻蛉

2012年07月30日 | Weblog

 うー、暑い。暑すぎる。

 ジリジリと暑くて、さらにアイスコーヒーがぶがぶ飲んで、眠れない。
 おかげで、なでしこ、も関塚ジャパンもすっかり見れる。オリンピックもちゃんと見れるが、今のところあんまりイイとこナイな。
 がんばれニッポン。

                     

 なんやかやあって、しばらくご無沙汰してたら、畑草だらけになってしまった。もう草の中に隠れてしまいたいくらい。実際充分隠れられる草丈である。
 それでまあ、朝晩せっせと出かけていたら、昨日の夕暮れには蜻蛉が群舞していた。今朝はヒグラシの声で目が覚めたし、あんがい秋は早いかもしれない。

                     

 そういうわけで、ともかく、連日暑くて本も読む気にならない。読み出してもちっとも進まない。
 保阪正康『五・一五事件 橘孝三郎と愛郷塾の軌跡』(2009 中公文庫)は前から読みたかったんだけれど、暑い暑いとちょっとずつしか読みすすめないから、内容もちゃんと把握できてないな、たぶん。

 橘孝三郎ってのはずっと気になってたんだけど、農本主義者というか農業改良者が社会変革者になり、やがては皇道主義者になっていくその軌跡が、ちょっと小説仕立ての若書きみたいに綴られている。ただし五・一五以後はちょっとだけ。
 背景にある地方の貧窮とか、根底で現代といやに状況がつながる思い。都市住民を覚醒させるために東京の電気を止めようと変電所を襲う、ってのは実態は荒唐無稽だけれど、感覚としてはヒジョウに、今、である。
 できれば橘の戦中戦後を詳しく知りたい、とも思う。
 ともかく、昭和七年、八年ってのはめちゃくちゃ興味シンシンであるな。

 そんなんで7月も終わるが、このまま暑い8月が続くのか。

 ほんと、ウンザリであるなあ。


吊るされて新玉葱の右顧左眄

2012年07月15日 | Weblog

 なんだか変な天気だな。もうずっと変な天気だな。
 梅雨明け近くには毎年大雨だけど、今年の局地的豪雨はサスガに異常である。

                      

 七弦琴というものを聞いて来た。奏者は知ってる人だけど、そんなものを弾く人だとは知らなかった。
 しかし眠たかったな。もう少し寒い頃にやったほうが良かったのではないか。

                       

 江上照彦『明治の反逆者たち』(昭和四十八年 中公新書)
 定価300円だから、昔は新書だって安かった。いつのまに文庫も新書も平気で高くなったんだろう。
 明治4年に幸徳秋水誕生から、大逆事件まで。筆者は経済学者らしいが、明治期社会主義者の群像がまことに手際よくまとめられていて、かつ読みやすい。文章が小説っぽいというか講談調で、参考書として読むには好適。特に脇を固める人たち、西園寺公望とか田中正三とか木下尚江とか、その他近代史にちょくちょく顔を出す人物たちの経歴が読み進むうちにすんなりとわかってきて、しごく便利。
 参考文献も索引もないから、引用が一次資料のものかも定かではないが、この本を基礎教養として、次の興味へと進むのがいいと思いました。

 というわけで、7月半ば、ひどくムシムシしてきたな。



湿舌が伸びきっている無聊かな

2012年07月12日 | Weblog

 神保町からの帰りの電車で、内藤濯『未知の人への返書』(昭和53年 中公文庫)を読んだ。
 表紙が少女マンガチックなのは、やはり星の王子さまイメージ先行のゆえか。
 隣の席に二十歳前後の女性、田舎では才媛でとおってました、みたいな丸めがねの女の子が座っていて、ずうっと横文字の本読んでた。50過ぎのオヤジが内藤濯ではマズイヨウナ気がして表紙隠して読んでたけれど、我ながらイミわからん。

                    

 しかし、内藤自体は骨太な明治の文学者で、父親は横井小楠の側近だったらしい。五木の子守唄の発掘者でもあったらしい。

                    

 そういえば満員電車のなかで目の前に立ってるヤツが、アイ・パッド? アイ・フォーン? ともかく、なんだかわからんけど指でシャッてやるやつでずうっと横文字読んでたが、単語の上に指を触れるとすぐに日本語訳がフワッと浮かんできていた。なんか知らんうちに世の中進んでるなあ。たぶん知らんのオレだけだろうが。

                     

 紀田順一郎『生涯を賭けた一冊』(昭和57年 新潮社)
 初版・カバー・帯付き、筆者サイン入り、美本で800円。
 前から読みたかった。多く無名の人たちがその生涯を賭けて、つまりライフワークとして世に問うた、今では殆ど忘れられた一冊と人生の物語。
 収録されているのは、文倉平次郎『幕末軍艦咸臨丸』 岩本千綱『三国探検実記』 山本作兵衛『王国と闇』 田中菊雄『現代読書法』 牧野富太郎『牧野日本植物図鑑』 諸橋轍次『大漢和辞典』 玖村敏雄『吉田松陰』 松崎明治『釣技百科』 山下重民『新撰東京名所図会』

 どれもカンナンシンク、執念の人生と情熱の果実であります。
 中で、諸橋漢和は、著者(とその協力者)の執念だけでなく、版元(大修館)社主鈴木一平の苦闘の歴史でもあります。どんどん膨大になる辞典編纂に対し、戦時を挟み新興出版社が苦悶しながら付き従う。鈴木は大学と高校二人の息子を中退させてまで『大漢和』を支える、というか逃れられない。

 ということでありますが、惜しむらくは、これだけの物語を全200ページくらいではやっぱり短すぎる。出版事情があったのか、できればこの倍以上の分量で読んでみたい。
 筆者に類書があるのか、恥ずかしながらよく知らない。
 今度探してみよう。


東京の鉄路に沿うていつも紫陽花

2012年07月07日 | Weblog

 久しぶりに神保町に行ってきた。
 ほんとは主目的が一応あって、ついでに神保町だけど、気分的には古書店が主である。当然である。

 一応の主目的では、八割がた居眠りしながら偉い人の講演聞いてきた。
 ジャーナリストの、ことに大新聞やキ-局の報道のエライさんの話にはたいがい、政治家の誰それとは昔から友達で、みたいなハナシが付きまとって鼻白むのだけれど、今回のエライサンの話もマサニそればっかりで、もうウンザリなナニサマ講演であった。
 もう一人の、これまたエライお医者さんの話は、たしかに立派なオハナシなのだろうが、これまたドーダ俺様エライだろう的な匂いがたちこめて、ちょっと食傷。もっともコッチは、講演の声が穏やかというか聴診調というか、見事に誘眠効果抜群で、殆ど聞いちゃイネエ、のでありました。

 そういえば、スカイツリーも見てきたぞ。
 地下鉄の駅降りたら、どこだよスカイツリー、どこにもねえぞ、みたいになって、ふと気付くと、アレっ頭の上にあんじゃん、ということで、ちょっと近すぎて高さが実感できないのでありました。

                             

 というわけで、神保町ですが、滞在時間2時間くらいか。
 ずうっと曇りで、着く頃には雨降りだして、にもかかわらずやたら蒸し暑くて、やっぱりもう少し気候のいいときに行くべきである、ですなあ。
 カンペキ、汗噴き上げ怪人と化してヘロヘロ歩いておりましたが、東京の人はなんであんなにスマシテ歩いていられるんだろう。きれいなオネエサンが汗ひとつかかずにスッスと歩かれる横を、どっからどうみても田舎者オヤジが、汗みずくで川に落ちた野良犬のその後みたいに歩かせていただきました。

 なんか疲れたけれど、楽しかったゾ、ということであります。



投げだした足裏の風新畳

2012年07月01日 | Weblog

 6月は近年では涼しく過ぎて7月へ。少々空梅雨気味だな。

 取った草と少しの廃材を燃やして盛んに煙を立てる。窓開けといたら家の中もケッコウ煙臭くなってしまった。
 
 あと二ヶ月以上暑いかと思うと、もはやゲンナリしてくる。

                           

 井上寿一『戦前昭和の国家思想』(2012 講談社選書メチエ)
 井上版昭和史三部作の三部作目も結局読んでしまった。読んでしまって面白かった。昭和史の参考書として最適な一冊だろう。
 戦前期日本の国家思想を、社会主義、議会主義、農本主義、国家社会主義、の四つに分類して論じる。まずはこのへんが参考書の編纂方針として慧眼、だと思った。個人的にはやはり農本主義。那須皓、橘孝三郎、山崎延吉、千石興太郎、このへんはよく調べる必要があるな。(ナンの為だ?)
 書架の見えるところに置いといて、時々開いてみるといいかもしれない。(これまたナンの為だろう。)

 というわけで7月は、さてどんな月に。
 いいことたくさんあればいい。