路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

赤とんぼ平たき翅のツイと浮き

2005年10月31日 | Weblog
 日曜日、いい天気。
 機関車が走るのは今日が最終日。近くの線路脇には野次馬が(彼らの車も)鈴なり。その中にまぎれて、家族で汽車待ち。
 このところ、しばしば汽笛の音に和ませてもらった。もう聞けなくなると思うと寂しい限りである。

 我が家にもいよいよコタツ出来。
 コタツになると和むけれど、うたた寝も増えるな。家族の眠り箱だからな。

 夜その眠り箱で録画しておいた放送授業二つ。
 「学校システム論」では昭和35年のドキュメンタリー二つ。
 ひとつは山の分校に始めてやってきたテレビ。川の浅瀬を走ってきたトラックが運んできたテレビを村人全員でお出迎え、そのあとテレビを真ん中にして記念撮影。
 教室で初めてつけられた画面はクラシックの演奏会で、子供達みんなが釘ずけ。バイオリン奏者が弓を動かすその手の動きそのまんまに、彼らの腕も動き出す。
 画面をみつめる子供達の視線がいきいきしている。
 もうひとつが、同じ年の東京の小学生。
 中学受験のために日夜オベンキョウ。家族は子の邪魔にならないように、家の中で逼塞し、茶の間のテレビは映らないように電源が抜かれている。
 机に向っている子供のもうウンザリといった顔が印象的。

 「情報化社会研究」では、冒頭で、オンデマンド移動図書館なるものが紹介される。
 移動車にプリンターや製本機などを載せた車で、デジタル化されている書物をインターネットで検索し、要望によってもういちど紙の本として手渡す。例えば『不思議の国のアリス』程度なら所要時間10分、費用1ドルくらいでできるらしい。
 こういう車(移動図書館)が現実に世界中で何台か走っているらしい。
 世の中どんどん進んでおりますなあ。

 というわけで、また一週間。
 いい一週間でありますように。


降り続く昭和の秋の時雨かな

2005年10月30日 | Weblog

 雨。しとしと。秋雨は寂しい。

 夜BSでまた寅さんを観てしまう。
 昭和50年、葛飾立志篇。
 カンペキにオンタイム、同時代、なのである。なのであるけど、やっぱりひどく昔の思いが。サッシじゃないガラス窓とか、赤い公衆電話とか。マドンナ(樫山文枝)がとら屋に、‘下宿’するとか。
 冒頭に、桜田淳子が出てくる。ああお懐かしや。
 今見ると結構かわいいな。でも完全にあの時代の顔だな。そんなものがあるのか、と言われればよくわからないけれど、あるような気がする。今どんな顔になっているのか。相変わらず宗教活動してんのかな。
 昭和50年って、つい最近のような気もするけれど、もう30年かよ。はるばると来つるものかは、だぜマッタク。

 雨も夕方にはあがる。
 明日は晴れるか。


秋の汽笛思い出だってあるけれど

2005年10月29日 | Weblog

 晴れ。
 新聞代の集金に来たおじさんが、今日は何だか一日蒸し暑いですねえ、と言う。
 そうかな。それほどでもないような。

 午前中、Nさんが来て、ほぼ半日世間話。
 以前はこの人の長話にしばしば辟易したものだけれど、最近はそれほどでもない。むしろ来訪を待っているところがある。何だか人懐かしい、というか、齢をとったということか。

 昼に葬式ひとつ。冬眠鼠さんに乗せていってもらう。

 相変わらず汽笛が聞こえる。
 日曜日まで走らせるのかなあ。沿道に日増しに人が多くなってくる。

 通信授業問題届く。
 相変わらずいろいろ多岐にわたる設問。これから大変だなあ。

 「20世紀少年」の新刊購入。
 ウム、いよいよ大団円近しか。
 これまでの登場人物総ざらえの印象。
 でもちょっと急ぎすぎじゃないか、浦沢直樹。いつもの絶妙な物語の間が、少し影を潜めてテンポが早いような。
 まあいいや、で、誰なんだ、「ともだち」は?

 夜ツグミを迎えがてら、外食。
 ツグミと冬眠鼠さん、なんだかズッと喋りどうし。よくそんなに話すことあるなあ。楽しそうな母子である。
 隣家の娘さんがお産を控えて帰省中であるが、その母親に先日、楽しみですねえ、と言ったら、声を潜めて
 「いいよ、娘は」だって。
 わかったような、わからないような。
 まあ、ともかく楽しそうなのはなにより、でございます。


白菊と黄菊を分ける軒の影

2005年10月28日 | Weblog

 「閲覧数」と「アクセスIP数」というのは何のことだろう。
 このブログの アクセス状況 に出てくる数字のことだけれど、「閲覧数」というのは日本語として理解できるけれど、後者は何のことやらわからない。誰か教えてくださらんか。
 ともかく、こういうの(ITとかコンピューターとか)はさっぱりわからんな。もともと機械関係はぜんぜんダメな人間だから仕方ないけど、これではブログに画像をいれることすらままならない。将来的には本格的なホームページ開設の野望もないわけじゃないのだけれど、どなたか教えてくださらんか。

 さて、本日も晴れ。
 昨日深更より雨の音がしていて、朝6時頃はそこそこに降っていたのだけれど、子供達が出かけたあたりから、グングン雲が払われていっせいに秋空が広がった。

 昨日の落書き「栄枯盛衰」 
 冬眠鼠さんによると、オトナの字で、「衰」が「哀」になっているらしい。
 誰だよ、こんなこと書く奴は。

 そろそろ十月もおわりだなあ。
 あなたはこの秋、何をしましたか?


黄昏る「栄枯盛衰」とふ落書

2005年10月27日 | Weblog

 このところ晴れが続く。
 朝晩は寒い。

 先日複写依頼したコピーが国会図書館から届く。
 ざっと一読。
 論文に引用できるかどうかはわからないけれど、かなり参考にはなる。殊に「思想の科学」の小崎論文は細かい部分で新知識が多い。同時にまだまだ多くのものを読まねばならないことを教えてくれる。

 自宅の板塀に釘のようなもので書かれたと思われる落書きを発見。
 そこそこわかりやすい字で「栄枯盛衰」と書かれてある。
 中学生くらいの所業か。ウム、「栄枯盛衰」であるか。ナルホド。

 このところ、マンジュウやどら焼き、ともかくアンコ系のものばかり食べている。
 なぜだかしらんが、目の前にしばしば存在するからツイツイ手が伸びてしまうのだけれど、これでは痩せられんなあ。
 なんとかせねば。


短日や子の帰り来る線路道

2005年10月26日 | Weblog

 今日も晴れ。

 城跡市へ行く道の途中に線路を見下ろせる絶景ポイントがあって、今日もやってくるはずのSLを求めて大勢の人が三脚を構えている。
 ただでさえ狭い道に車を並べているから、はなはなだ通りにくい。あまりたくさん並んでいるから、すこしくらい擦ったってかまやしないだろうという気になってくる。ホント迷惑なんですけど。

 客先で話していて、「・・・さんは元気?」と言われ、それが***さんと聞こえてしばらく***さんのことのつもりで話す。・・・さんと***さんは実際には一字違い。なんか似たような名前というのもホント迷惑である。

 日が短くなって、五時過ぎると暗くて寒い。
 子供達はその時間でもなかなか帰って来ないので、待つ身としては心配である。
 皆何事もなく一日を終えられればと思う。
 冬眠鼠さんは相変わらずの風邪声。早く良くなるといいのだけれど。
 明日がいい日でありますように。


山峡や遠くに汽笛を聞いた頃

2005年10月25日 | Weblog

 本日も快晴。
 空が高い。筋状の秋の雲が、深いところに長く伸びていく。

 朝冬眠鼠さんとふたりで市の検診へ。
 ちょうど混雑の終わりくらい。
 毎年だけどバリューム飲むのは気持ちのいいものではない。それと、太りすぎである。痩せねば。

 帰ってくれば、近くのJR線から汽笛が聞こえる。何事ならん。

 放送授業ひとつ、録画予約をしたはずが全然録れていなかった。
 いつもはツグミにやってもらっているのだけれど、本日はじめて自分でやってみた。でも失敗。機械というのは難しいなあ。ブログに画像も載せられないし。

 夕刻近く、冬眠鼠さんが呼びにきて、SLが走るから見に行こうと言う。
 このあたりの鉄道開通100周年で走らせるその予行演習、というかデモンストレイションみたいなものらしい。今朝からの汽笛はそのためと知る。
 すぐ近くの線路脇にはすでに何人かの鉄道ファンが参集していて、我々も跨線橋近くで待っていると、彼方からD51がやってまいりました。
 やっぱりいいものですねえ。
 煙の量はたいしたこともなかったけれど、汽笛の音は久しぶりに聞くと胸に染むものがありますな。
 運転士さんたちが皆窓から手を振りながら走り去って行きました。なんかディズニーランドみたいでした。

 夜ツグミの貸してくれた、恩田陸『光の帝国』を少し読む。
 12時前には寝てしまう。


マラソンの落ち葉の下を蛇行せり

2005年10月24日 | Weblog

 いい天気。

 遠縁の法事。
 お寺での法要のあと、ホテルでの宴席に移る。
 ホテルへ移動する途中、マラソン大会の列にぶつかり渋滞。大層な参加者で、ダラダラといつまでもキリがない。行き会ったのは、勝負度外視楽しみましょう組の部分なのか、それぞれが適当にノンビリ走るともなく歩くともなく、中にはワザと異様な風体をして走る人たちも。どうでもいいけど、そのために渋滞させられる方としては多少イライラしますな。
 宴会はご馳走でした。

 帰宅後、集金にでたついでにK書店に。
 入江昭『歴史を学ぶということ』講談社現代新書 を買う。
 草森紳一『随筆 本が崩れる』文春新書 も買おうかどうか迷ったけれど、集中激しく雪崩れている本の山の写真に怖れをなしてやめておく。
 草森紳一ってのも変なジイサンだな。

 放送授業を昼録画しておくのを忘れたので、夜になってから印刷教材だけ読む。「芸術文化政策Ⅰ」バウハウスの誕生と終焉、ウム録画しとけばよかったな。
 そのあと買って来た入江本を読む。
 歴史を学ぶのも大変である。

 かくして日曜日も終わり。
 来週がいい一週間でありますように。


夜の風寅さんぼくもかなしいよ

2005年10月23日 | Weblog

 曇天。時に時雨。

 ツグミお薦めの、恩田陸『夜のピクニック』読む。
 現代小説を読むのは本当に久しぶり。
 高校生たちが夜通し歩く学校行事を描いて、筋の運びに無理がないのに感心しました。なかなか巧い書き手だな。青春の雰囲気をだすことに成功していると思う。小生が現役高校生だったらファンになっていたかもしれない。

 夜九時よりNHK BS「男はつらいよ」を観る。昭和50年、「寅次郎相合傘」マドンナは浅丘ルリ子のリリー。
 小生初見でありましたが、これが傑作でありました。
 本編後の解説で山本晋也がシリーズ最高傑作といっておりましたが、素直に私もそう思いますです。
 なーんかどの場面にも関係者一同気合と優しさを込めております、という感じ。 どこでも泣けて、どこでも粛然たるモノを懐かしさとともに思い出させる、みたいな。
 「とらや」の番傘さした寅さんとリリーの道行きが良かったなあ。

 このところカラリとした天気が続かない。
 明日はどんな日曜日になるだろう。


茫洋と夕闇議堂を呑み込みぬ

2005年10月22日 | Weblog
 (昨日の続き)

 横須賀線で長いこと揺られ、山手線に乗り換えて有楽町から地下鉄で永田町。
 国会図書館はすぐにわかったけれど、国会はどこにあるのか、と見回していたらすぐ横にあった。案外小さいのね。

 国会図書館に入ったときは、すでに午後四時をまわっていた。
 もう大分以前、学生時代に来た記憶があるけれど、その頃は新館なんてなかったな。
 入ってすぐに、お客様、どちらへ、と呼び止められる。(やっぱり‘お客様’らしい)鞄などは持ち込み禁止で、背後のコインロッカーへいれてからでなければならないらしい。(スンマセン)
 で、改めて入場しようとすると、さきほどのオネエサンにまた呼び止められて、そちらで登録を、と言われる。横に銀行のATMみたいのが並んでいて、そこで館内登録をうけなければならないらしい。
 ハイハイ、スンマセン、と改めてATMの前で事前発行の登録証を差し込もうとするのだけれど、これが全然入っていかない。はやくも汗かいているとさきほどのオネエサンがやってきて、これはこちらです、と小生の登録証を横の小皿みたいなのの上に乗っけてくれる。それだけで画面が変わる。(カードは差し込むものと思うでしょ)

 ようやく本館突入をはたして、さてどこへ行けばいいのか。中はでっかい銀行みたいで、ああ昔もこうだったよなあ、と思いながら、これは素直に訊ねるのがよろしかろうと、‘総合案内’と書かれたカウンターのオネエサンに
 「あのー、本を閲覧したいんですけど・・・」とおそるおそるお伺い。
 オネエサンは(そりゃそうだろう、ここは図書館だぜ)と思ったかどうか、そちらで検索なさってください、と事務的にお答えくださり、指されたほうを見ればズラリとパソコンが並んでいる。

 昔は手書きで申し込み書を書いていた記憶があるが、当然といえば当然の時代の流れであるな。
 館内登録証を所定の場所に置くだけで、小生の名前や住所がパソコン上に現れる。
 基本的にはHP上の検索と同じだから或る程度は難なく進める。
 今回3件ほどを閲覧する予定だけれど、或る程度は難なく進めても、最終的にどれも最後までたどりつけない。
 何台もあるパソコンはだいたいふさがっていて、周囲ではキーを叩く早撃ち音ばかりが響いている。こういうのを聞いているとよけいにアセッテ、よけいにわからなくなってしまうのです。
 パソコンの島の間を、腕章をした若いオネエサンが何人か試験官のごとくに歩いていて、通りかかるたびに呼び止めては、アノーここからさきへいけないんですけど・・・。
二件はなんとなく最後まで辿りついたものの、一件どうしても途中で頓挫、結局オネエサンに最初から全部やっていただきました。(どうもスミマセン、田舎モノだもので)

 あとは病院の薬待ちの要領。大画面に準備できた図書がそれぞれの登録番号で表示され、それを待合室で待つパターン。
 平日なのにたくさんの人である。ここにいるかぎり、日本の活字文化は安泰のように思われる。研究者らしき人だけでなく、ハヤリの格好をした高校生らしき若い人たちも何人か見受けられる。
 働いている人たちも若い人が多い。特に窓口関係は殆どが二十代前半と思しき女性たちだ。みんな私服で、笑顔で親切に応対してくれて本当に気持ちがいい。

 受け取った本を閲覧し、総合案内で複写依頼の仕方を尋ねる。
 カウンターのオニイサン、(なぜか一人だけ男性でした)「この真下の階にありますから」と優しく答えてくれた通りに一階へ降りる。
 エレベーターが混んでいそうなので階段を見つけて降りてみると、なんだか違う雰囲気が。「職員専用」みたいな部屋が並ぶ一郭に出てしまったので、もう一度戻って改めて聞きなおす。

 複写カウンターにもパソコンが並ぶ。
 館内登録証を置いただけで、画面に名前や今借り出した本の書名が表示される。
 ここにも腕章をしたオネエサンたちが回遊していて、親切に教えてくださる。
 複写するページを打ち込んで、該当箇所に栞を挟みこむ。この紙の栞は昔と全くおんなじでありました。

 時間がないので、複写したのは後日郵送してもらうことにする。(ここでもカウンターのオネエサンは親切でありました)
 退館したときには日もとっぷりと暮れておりました。

 電車を乗り継ぎ、新宿へ出て、ひさしぶりに紀伊国屋本店で買い物をし、ついでに中村屋でちょっとしたお土産を買って、10時近くに帰宅。
 一日よく歩いて、大層疲れてしまいました。