今日の記事も、二月の中旬に綴ったものです。
先月の中頃の新聞に、二面にわたり載っていた対談記事の冒頭に、とてもとても怖い事が書かれていました。
対談の内容も、深刻なものでした。
一部をかいつまんでご紹介いたしますね。
>最近、抗菌薬がどれも効かない「悪夢の耐性菌」と呼ばれる菌が出現し、世界中の脅威になっている。
>2050年には、耐性菌感染による年間死亡者が一千万人にまでのぼり、死亡原因の第一位になることが推定される。」
ご家族が健康だと、この記事の怖さは実感できないかもしれませんが。
私は、母と夫の二人が、この耐性菌により、死が早まったと思っています。
ですから、この記事の衝撃は、結構大きなものでした。
最近、抗生物質の服用をできるだけ避けたい、と私が願う気持ちも、この耐性菌による身内の苦労を目の当たりにしてきたからです。
この菌が増殖した理由は、細菌に因る感染症の治療に、多くの種類の抗生物質が使用され過ぎたからのようです。
抗菌薬で攻撃を受けた細菌は、何とか生き残ろうとします。
そして、少しずつ自分を変化させ、抗菌薬が効きにくい耐性を獲得し始めているのだそうです。
このまま耐性菌が増え続けると、将来的には、感染症に効く薬がなくなってしまうとのこと。
先程も書きましたように、すでに如何なる抗菌薬も効かない悪夢の耐性菌が、出現しています。
このままだと、今後、どうなっていくのでしょう。
母や夫の苦い思い出が蘇えります。
入院したときは、特に注意を払わないといけません。
院内感染は、どの病院でも起きている当たり前の事のようですから。
すべて、病院の責任で、患者は大変な迷惑を被り、命を縮める大きな理由にもなっているのに。
対応は意外にもずさん。
夫が入院中、私が理解に苦しむような事もありました。
夫が、院内感染で抗生物質に耐性のある菌に侵されていると知った時のショックは、相当なものでした。
数十年前の事になりますが、母の入院で、その怖さを十分認知していたからです。
その菌が全身に回り、体力の落ちた夫が敗血症で死んでしまうのでは、と心配と不安が募る一方でした。
その感染で、予定していた手術も出来なくなり、個室に隔離されたのです。
そのT大病院の入院が長引くと、転院を促され、K病院に移りました。
ところが、その病院は院内感染者を隔離しない方針でした。
私は経済的にはずいぶん助かりましたが、夫の菌が他の患者さんに感染しないのか?
他人事ながら心配になり、カーテン一枚で仕切られたお隣の患者さんに申し訳ない気持ちで一杯になりました。
お隣さんのような立場に、自分はなりたくない、と切に思ったものです。
院内感染で半年近く延期させられた手術を受ける日が、やっと訪れました。
ところが、その前の検査で、今度は骨への転移が見付かり、またまた、手術が中止に。
耐性菌に感染していなければ、手術はT大病院に於ける最初の予定通り、早く施行され、夫はもっと長く生きられたはずです。
母も、この耐性菌が理由で長い間、個室に入れられました。
毎月の個室代の支払いが50万近くになり、それが数か月にも及びましたので、どうにも納得がいかず、担当医に勇気を出して尋ねました。
病院の責任なのに、個室代を払う必要があるのでしょうか、と。
すると、半額にして下さいました。
数年前、ネットで調べたところによると、このような状況になった時、患者側が個室代を払う必要は全くないとの事でした。
院内感染で耐性菌に侵されると、上記のように、精神的にも経済的にも大変な思いをします。
抗生物質を多用し過ぎない。
使用した場合は、最後まで飲みきる。
入院したときは、感染しないように細心の注意を払う。
この三つを守ることを、私は身内の痛ましい苦労の体験から、皆様に心からお勧めします。
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