美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

信頼すべきキシャは顧客の欲するがままに全方位へ奔走し、終着駅がどこであろうと経営者の敷いた線路から決してハズれない(齋藤緑雨)

2023年04月19日 | 瓶詰の古本

○野に山に花は百千の色々なれど、錦織るてふ都の桜の如く、よく人を醉はしめ、狂はしめ、警察処分に遇はしむるもの無し。

○思想の健全は、体躯の健全に得べしとするも、体躯の健全は、之を何物にか得ん。われ寡聞にして未糠味噌桶の、智慧の泉なるを知らず。

○奔走するが故に、迅速を貴ぶが故に、種々の事物を齎すが故に、おそろしき声を立つるが故に、記者と汽車とは其音をひとしくす。共に轢殺を目的とせざるも、然かもしばしば轢殺のことあるは、更に重大の一理由なるべし。

○今世の智識は、新聞の智識也。新聞の智識は、雜誌の智識也。雜誌の智識は、模擬、剽竊、翻案、抜萃の智識也。

(「みだれ箱」 齋藤綠雨)

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