洛北八瀬に位置する蓮華寺は、北白川通りから大原方面に入ったすぐの所、高野川沿いの住宅地の中に佇んでいるあまり大きくない寺院です
が、紅葉の名所として知る人ぞ知る穴場スポットとなっております。比叡山天台宗系の寺院で、もとは七条塩小路にあった西来院という寺院
が、応仁の乱に際して焼失したものを江戸時代初期の1662年に、加賀前田藩の家臣、今枝近義が、祖父の縁のあるこの地に再建したものです。
山門をくぐるとすぐ右手に鐘楼が建ちます。 開山にあたり比叡山延暦寺の僧が招かれたことから、比叡山延暦寺を本山とし、延暦寺実蔵坊の
末寺のひとつとして天台宗に属する寺院となり、また、現在の寺号は、かつて同名の廃寺の跡地であったことに由来すると言われております。
山門の正面に参拝受付の庫裡が建ちますが、秋の紅葉のシーズンは、山門の内側に受付が設けられます。
山門を入って左手には約300体といわれる石仏群が居並んでおり、これらは大正13年に開業した京都市電河原町線の敷設工事に際して発掘され
たもので、河原町周辺はかつて鴨川の河原で、戦災や天災による死者や刑死者の屍が打ち捨てられる遺棄葬の場であったために、そうした死者
を弔うための石仏群が、京都市内を走っていた市電の線路施設工事によって掘り起こされ、供養されているのがこの石仏群です。これらの石仏
群はいずれも大日如来像で、中央には地蔵菩薩像が配されています。
鐘楼左手の鳥居の奥には、本堂につながる石畳の参道が続きますが、こちらからは入れないようになっております。
京都名水にも選ばれていた「漱玉水(そうぎょくすい)」と呼ばれる井戸ですが、現在は枯れているそうです。
書院から眺める池泉鑑賞式庭園 作庭者は不明とされております。この庭園は浄土宗的な形式に従い、池の対岸に浄土を描く形をとっており、
こうした浄土宗的な庭園は池の周囲を巡り歩くことを想定して作庭されることから池泉回遊式と呼ばれますが、蓮華寺の庭園は規模も小さく、
書院からの鑑賞を旨とした池泉鑑賞式の庭園と説明されております。
畳まで緑色に染まっておりました。
庭園の奥には水量の豊かな湧水があり、それを導いた池が庭園の中心にあり、池は「水」の字の形に作られており、「水字形」と呼ばれるもの
だそうです。池の右手前には舟石(ふないし)と呼ばれる石が配されている。
右手奥の本堂へは、スリッパを履いて渡れます。
京都の寺院では、以前は見られなかった中国語の注意書きが目立ちだしルールを守ってもらう為には仕方ない事なのでしょうが、無粋感を感じ
ずにはいられません。
本堂前の庭園には、蓮華寺形灯籠として知られる2基の灯籠が佇んでおります。蓮華寺形灯籠は、「基礎は六角で蓮弁がつき、竿は丸竿で中央
部が膨らみ、中台は蓮弁のある六角形で唐草文をあしらってあります。火袋も六角で前後に四角の穴を穿ち、笠は急勾配の長めで九段の葺地を
表し、頂上に宝珠が乗る独特の形をしており茶人たちに好まれたと言われております。
本寺は天台宗の寺院でありますが、造営に黄檗宗僧が関わったこともあり、本堂の様式は全く黄檗宗のそれであり、本堂入り口には石川丈山の
筆による寺額が掲げられており、堂内中央の須弥壇には螺鈿厨子に収められた本尊、釈迦如来像が安置されております。
蓮華寺の前に見える比叡山山頂 麓には、山頂へのケーブルカーの駅があり、徒歩5分の距離に瑠璃光院が佇んでおります。なお、瑠璃光院
は、春先と秋の紅葉シーズンのみの特別拝観となります。
蓮華寺 紅葉
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