平安遷都の際、都の南に国の守護神として創建された城南宮は、国土守護の国常立尊(くにのとこたちのみこと)、
武勇に秀でた八代矛神(やちほこのかみ)、安産と育児の神様でもある息長帯比売命(おきながたらしひめのにこと)
(神功皇后)をお祀りされております。
平安時代の末、交通の要衝でもあり、風光明媚なこの地に白河上皇が壮大な離宮を造営して院政を開始されると、
歌会や宴、船遊び競馬(うまくらべ)がしばしば行われ、王朝文化が華麗に花開きました。
また熊野詣でに先立ち、道中の安全を祈って城南離宮で身を清めて出発する慣わしとなり、方角の災いを除く
方除(ほうよけ)・旅行安全の信仰がたかまり、旅行・運送会社や車を使う事業所などはお祓いに訪れております。
神苑は、境内を囲む形で、西側(境内左側)の春の山北側を抜け、東側の平安の庭、道路を挟み南側の庭園へと廻って
行きます。
鳥居をくぐり境内の中央に拝殿があります。神苑への入り口は、鳥居の左手にありますが、
まずは御参りを済ませてから回ります。
本殿手前にある、前殿、左右に伸びる翼廊が一体となった社殿は、城南宮独特の複合建築で総檜造りです。
檜皮葺の屋根をはじめ、飾り金具の細部に至るまで平安時代後期の様式に統一され優美な姿を見せています。
祈祷を申し込みますとこの前殿で行われます。右手には神楽殿があり、平安の庭に臨んで建つ寝殿造りの神楽殿では、
結婚式や特別祈祷が行われます。
拝殿
三月三日に伺いましたが、その前の週が天気が悪く雨風が強かったため花びらが、相当散っており昨年に比べ華やかさ
に欠けておりました。毎年二月の下旬頃がベストのようでした。
禊の小川が流れる春の山。 約150本の枝垂れ梅が咲き誇り、周辺には数十種類の椿が彩りを添えております。
春の山を見終え竹薮を抜けると本殿の北側を回り神楽殿東側の平安の庭に抜けます。
平安の庭、池が中心のお庭で綺麗な水が小川を通り流れ出ております。
昨年、造成された池に流れ込む小川。
曲水の宴が催される庭園
神苑北側の庭園はここで一度終了して通路を挟み南側の神苑に入場します。
ここからが南側の庭園(室町の庭)となり池を望む楽水軒茶室では、お抹茶もいただけます。
室町の庭は、池泉廻遊式の庭園で、季節ごとに紅枝垂れ桜、舟着き場の藤の花、色とりど
りのつつじを楽しむことが出来ます。
楽水軒茶室前の五葉松
透明度が非常に高い池の中を何十匹もの錦鯉が優雅に泳いでおります。
南側庭園の南半分は、桃山の庭と呼ばれ大きな刈り込みの前に芝生が広がる明るい庭園で、安土・桃山時代の豪壮な
気風を映しています。
楽水軒茶室前の紅白の梅の向うには、北側庭園に面した唐渡天満宮の鳥居が見えております。
四月の開花を待つ紅枝垂れ桜
池の西の端には、船着場があり藤の花の見頃は五月頃となります。
庭園の南端を流れる小川には、杜若が新芽を出しております。杜若も五月頃見頃を迎える
と思います。
城南離宮の庭 杜若の小路に続く枯山水の庭園で城南の地が最も華やかであった離宮時代の風景を表しております。
離宮の庭を最後に、庭園の散策を終え、出口を出ますと、芹川神社(唐渡天満宮)があります。
菅原道真公を祀る唐渡天満宮は、平安末期(1110年)現在地の南方1キロの芹川荘に創建されましたが、明治45年、
付近一帯の鎮守社である城南宮の境内社に合弁遷座されました。