マイレージ・マイライフ / Up In The Air

2010-01-09 | 映画



今回は、2010年の賞レースの本命「Up In The Air マイレージ・マイライフ





ランキングに参加してます。 クリックお願いします。
  


先ず、お決まりの邦題への文句。
作品の上っ面だけをタイトルにしてしまってる。
「Up In The Air」って原題には、いろいろ意味があると思うんだけど。
ひとつは「空から」って意味。作品中、飛行機から街の俯瞰図が出てくるけど、これはAir(空)からなんだ。
誰からの視線か?しかも主人公は人の人生を大きく左右する宣言をする人、誰(というか何)がモチーフになっているか。神様じゃないの?
それと「漠然とした、未解決の、はっきりしない」という意味。これって登場人物たちの、またはこの作品を観ている人たちの、ことを言っているのだと思う。
これを、「マイレージ、マイライフ」て陳腐な韻を踏んだタイトルに置き換えてるだけ。
もう少し、ひねれないのかな。

監督のジェイソン・ライトマンは、僕も大好きな、あの「Juno」を撮った人。
重たいテーマをユーモアいっぱいで作品にするのが得意な人。
主演は、ハリウッド界の兄貴ジョージ・クルーニー。「シリアナ」に続いてオスカーを狙う。
但し、クルーニーは2010年から作品プロモーションのための記者会見には一切出席しないことを宣言している。
以前もオスカーは選挙活動みたいなものだともらしていたので、賞をめぐる政治的な駆け引きに嫌気が差したと思われる。
相手役に「ディパーテッド」のヴェラ・ファーミガと新人のアナ・ケンドリック。
それに最近、年に3-4作は彼の出演作品に出くわす、ハリウッドで効率よく仕事をしているジェイソン・ベイトマン。
それに「Juno」で、味のあるお父さんを演じ、「スパイダーマン」の編集長から脱皮したJ・K・シモンズ。

主人公のライアンは、年に322日も出張するビジネスマンで航空会社のマイレージコレクター。
彼の目標は、1000万マイルを貯めること。
そんな彼の仕事は、リストラで首にする人たちにその会社に代わって、いたって事務的に、そしてプロフェッショナルに首を宣告をするエージェント。
この不景気に大繁盛のビジネスだ。
彼は、航空会社やホテルのチェックインでは、そのマイレージのステータスから、常に最優先で優遇され、空港のセキュリティーチェックでは、一番早く検査の終わるゲートを見抜くノウハウを持っていて、そうすることで優越感にもひたっている。
こういう奴を、空港でよく見かける。僕の同僚にもいる。
ライアンは、時に講演もして、その内容はバックパックを人生に見立て、自分のバックパックに必要以上のものを背負い込まないようにというもの。
彼の必要以上な物の中には、家庭とか、家族とか、愛とかも含まれている。
僕からみると、とても空虚なバックパック

そんな彼が、2人の女性と知り合う。
1人は空港で意気投合した、彼同様仕事で各地を飛び回るマイレージコレクターで大人の関係を楽しんでいるアレックス。
そしてもう1人は、彼の会社の新入社員でエージェントの仕事を合理化してリストラの宣告をビデオ会議で行い、大幅な出張のコストの削減を提案をしているナタリー。リストラ会社のリストラ提案だ。
彼女は、ライアンと一緒に、仕事のトレーニングを兼ねたリストラ宣告の旅をしている。

この2人の女性が対照的だ。
1人は、仕事もプライベートも大人の女。もう1人は高学歴で自信満々だが、まだまだビジネス経験も人生経験もない女が、全てにひたむきな女。
それに、ドライに仕事をこなし、私生活でお荷物を背負い込まない男。
この2人の女性にせっし、そしてしばらく会っていなかった故郷で妹の結婚式に参加していくなかで、少しずつライアンの心で、バックパックに入れたい物に変化が出てくる。

この作品で、首を宣告されるほとんどの人は、素人で最近本当に首になって仕事を失った人たちだ。その辺の役者には、かなわない迫真の演技(本気)をみせてくれる。
もちろんジョージ・クルーニーの得意な、スマートな面をだした演技がいい。
この人は、「バーン・アフター・リーディング」とか「The Men Who Stare At Goats」での、コミカルな演技もいいが、やはりこういう女性にもてる、独身エリートビジネスマン役はピッタリだ。というか彼の人生そのものだ。
そして、そんなスマートなジョージ・クルーニーの、作品前半と後半での変化もいい。
終盤で、ちょっと陳腐なラブストーリーになるかと思ったら、そこはライトマン監督、苦めの大人のエンディングが用意されていた。

ゴールデン・グローブ賞で作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞、監督賞にノミネートされていて、たぶんオスカーのタイトルレースでも絡んでくると思われる作品。
サウンドトラックも、心地よく響いてきていい。
ジョージ・クルーニーのファンでなくても、自分の大切なものを再確認するための、お勧めの作品だ。


マイレージ、マイライフ - goo 映画
マイレージ、マイライフ - goo 映画


トリビア
エレン・ページとエミリー・ブラントもナタリー役の候補だった。


サウンドトラックの中から「Help Yourself」



デビット・レターマンショーでのアナ・ケンドリックス


最新の画像もっと見る

コメントを投稿