花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(4)

2014-12-05 00:33:13 | 展覧会
グエルチーノの次はグイド・レーニ作品が並んでいた。ボローニャ国立絵画館のサイトを見たら、マーホンはグエルチーノだけでなくグイド・レーニ作品も寄贈している。晩年のカラヴァッジョ専門家という肩書は、実はボローニャ派研究から始まったことがよくわかる。

グイド・レーニ(Guido Reni、1575-1642 )もアンニーバレ・カラッチらによって創始されたボローニャ派に属するメジャーな画家である。聖人たちの上目使いが印象的で、ラファエッロの影響←ペルジーノの影響、と連綿と続く系譜だなぁと密かに思っている(^^ゞ

ということで、レーニの展示作品を紹介する。画像は全部揃えたのだが、全部出すのも変だと思い、カラヴァッジョ偏愛視点での画像を中心として紹介する。悪しからず。

・《巫女》ボローニャ国立絵画館

いかにもレーニ的作品だ。マーホン寄贈作品とのこと。

・《聖アンドレア・コルシーニ》ウフィッツィ美術館

・《悔悛する聖ペテロ》Mairetliコレクション(ローマ)

レーニにしては明暗の強い写実的作品である。カラヴァッジョ的であり、リベーラ的である。聖ペテロの悔悛の重みが画面から強く伝わってくる。やはりレーニは基本的に器用で上手い。

・《茨冠のキリスト》ボローニャ国立絵画館

・《音楽を奏でる天使に癒される聖フランチェスコ》ボローニャ国立絵画館

カラヴァッジョ偏愛の視点で見ると、カラヴァッジョ作品の断片から構成されているようにも見えるのだ。バイオリンを弾く天使って《エジプト逃避途上の休息》であり、聖フランチェスコは色々描いているし…(^^;;

・《聖母の少女時代》エルミタージュ美術館

この構図はなんなのだ(^^;。私的には前列右端の少女に眼が行ってしまった。実際の作品を観るとカラヴァッジョ《悔悛のマグダラのマリア》にとても似ている。

・《アリアンナ》ボローニャ国立絵画館

・《エウロパの誘拐》エルミタージュ美術館

・《アタランテとヒッポメネス》カポディモンテ美術館(ナポリ)

この作品の構図の見事さにはやはり唸ってしまう。カラヴァッジョ的明暗とともに、二人の若くしなやかな肢体が描く弧の交差の美しさ。シンプルでありながらインパクトのある作品だ。

・《マルシュアスの皮を剥ぐアポロ》個人蔵

不遜なマルシュアスに怒るアポロ。レーニのカラヴァッジョからの影響の色濃い作品だと思う。明暗のコントラストの強さ、劇的な身振りと構図、《アタランテとヒッポメネス》に通じる作品だと思う。

レーニ作品は万人受けする甘ったるい作品よりも、カラヴァッジョの影響の濃い作品の方にどうしても眼が吸い寄せられるし、作品的にも好もしい。しかし、ボローニャ派は押しなべてカラヴァッジョの影響を取り込みながら古典主義的な方向へと収束して行く。