山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

スマートアグリについて

2013-05-22 | 農業

 NHK「クローズアップ現代(5月20日放送)」の「農業革命“スマートアグリ”」を興味深く視聴させていただきました。以前当ブログでも「植物工場(野菜工場)」で取り上げております。この時には、省エネの観点から私の考えを述べさせていただいております。

 スマートアグリにおいては、作物の理想的な生育環境を人為的に作り出すことによって収穫を極大化することができるとのことです。植物の生育には、光、水、二酸化炭素、栄養分、温湿度などの多くの要素が複雑に絡み合っているものと思われます。これらの要素を幾多の実験を通してデータを収集・分析し、その最適な組合せを見出し、これを実際の栽培に適用しているのでしょう。そして、そこでは土壌といった概念は無く人工繊維やマルチフィルムなどの人工土壌というものに置き換えられています。

 土壌を用いないということは、微生物も利用しないということを意味します。植物の生育にとって微生物が果たす役割は大変に重要なことは広く知られているところです。(参考:「生きている土壌」) 今までの農業は、微生物や小動物を含めた土壌という概念の上に成り立っていたとも言えるでしょう。これをスマートアグリは、根底から覆すものと言えるのではないかと思われます。

 人の成長にも風雪に耐えてとの例えがあるように、植物も過酷な自然環境に耐えて力強く成長してきたもののみが生き残ります。スマートアグリによる作物は、まさに温室育ちに例えられるでしょう。平飼で自然の餌を啄み、のびのびと育ったニワトリの卵とケージで飼いで高栄養の餌で運動不足に陥ったニワトリの卵のどちらを望みますか?

 また、植物は微量元素を要求します。土壌はこれらの供給源としての役割もあります。スマートアグリにおいて、これらの微量元素を完璧に再現できるか否かは不明です。

 とにもかくにも、従来農法で栽培されたものであれ、スマートアグリで栽培されたものであれ、選択するのは消費者である皆様方だということは言うを待たないことです。

 ただ、やっかみ半分で言わせていただければ「スマートアグリ」とはいかにも驕ったネーミングではないかと思います。従来農法はいかにも時代遅れのばか者がやっているような方法だと言わんばかりです。以前誰かが言っていた「賢い節電」と「馬鹿な節電」に通ずるところがあるようにも思えます。(参考:「時間帯別料金(ピークシフトプラン)と太陽光発電」)

 私としては馬鹿と言われようが、アホと言われようが、自分のスタイル(「自然農法」)を追求して行きたいと思っております。

<参考> 「スマートアグリについて(2)」「スマートアグリについて(3)