山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

スマートアグリについて(2)

2013-06-02 | 農業

 スマートアグリとは「スマートアグリ - センサーとIT技術に支えられた新しい農業のスタイル」や「スマートアグリとは-ことまとめ」にありますように、いわゆる植物工場よりも概念が広いようです。

 先日NHKのクローズアップ現代で紹介されたスマートアグリは、どちらかと言うと植物工場に近いものと考えておりました。広い意味でのスマートアグリであれば、集約化農業の発展に寄与するものと考えられますが、課題も多いように考えます。数年前に私も参加している「SAGA組み込みソフト研究会」でもテーマとして取り上げ、生産農家さんと情報交換しておりました。しかしながら、生産現場は自然相手のことであるから、パラメータの絞込みや生産者のノウハウ(経験や勘)をシステムに組み込む方法など解決すべき課題が大変に多いことが問題として指摘されました。そして最大の問題は、導入コストの問題でした。システムの導入によって果たして費用対効果が得られるものかなどなどといったことで、システムの実用化に至りませんでした。逆に、植物工場の方が植物の育成環境を積極的に作り出すことができることなどから、システム化が楽になるのではと考えております。

 種々の技術が進歩したとは言え、本質的な状況は変化していないと思われます。しかし、何故に急にクローズアップされてきたのでしょうか。それはTPP参加を睨んでのことであろうと考えられます。経済産業省から次のような資料が出されていることもそのような理解が出来るのではないでしょうか。本来でしたら農水省が主導権を握るのが普通だと考えますが、農水省はTPP参加や企業の農地所有についても反対の立場ですから、経済産業省とはスタンスが異なるものとならざるを得ないでしょう。このようなところにも官庁の主導権争いがあるようです。

 さて、狭い意味でのスマートアグリを植物工場とみた場合、その役割とは一体どのようなものがあるのでしょうか。極寒の地、あるいは砂漠地帯に植物工場を作り、そこで農産物を製造(栽培ではなくあえてこのように表現させていただきます。)できるようになれば、それはそれで社会に対して大きな寄与となるでしょう。また、世界各地で干ばつの発生や昆虫の大量発生で大きな被害が発生しております。植物工場ならば、このような被害は発生せずに安定した食料供給が可能になるものと考えられます。

 しかしながら、「植物工場(野菜工場)」で指摘している投入エネルギーと産出エネルギーの問題が大きくなってきます。現代の慣行農業でさえ産出/投入比は1.0を切っていると考えられます。植物工場のエネルギー投入量は、慣行農業の比ではないでしょう。莫大なエネルギーの塊を我々人間が口にしているということになります。

 毎回書くことですが、スマートアグリを否定するするつもりは毛頭ありません。要はバランスの問題です。大規模農家あり、小規模・零細農家あり、専業農家あり、兼業農家あり、植物工場あり、自然農法ありというようにお互いに共存し、相互補完するようなあり方を模索する方向で政策が検討されることが望ましいのではないかと考えております。

<参考> 「スマートアグリについて」「スマートアグリについて(3)

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。