山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

スマートアグリについて(3)

2013-06-21 | 農業

 狭い意味でのスマートアグリ(以下では狭義のスマートアグリと呼ぶことにします。)、即ち植物工場(野菜工場)は、用地の確保、工場建設、設備導入、従業員雇用・教育等々の多額の資金が必要です。当然の如く、経営主体は個人ではなく企業それも比較的経営規模の大きい企業が参入することが想定されます。

 農業やアグリビジネスの経験者が運営に参画することはあまりないと思われますので、いきおい参入の初期段階から指導を仰ぐことになります。その役割は、コンサルタント会社、農業設備・資材会社、肥料会社、種子会社等々のいわゆるアグリ関連企業が担うことになると思われます。

 彼らからすれば衰退していく一方の農業ではお先真っ暗です。新たな活路を狭義のスマートアグリに求めるのは必然的なことでしょう。一方で、建設不況に喘いでいた時期に土建業者がアグリビジネスや省エネビジネスに乗り出しました。その中で如何ほどの企業が成功したでしょうか。今回はは電機業界がターゲットなのでしょうか。ITとの親和性が高いと言わんばかりの主張がされているようにも見受けられます。二の舞三の舞にならないようにすることが必要でしょう。

 さて、慣行農業を始めるに当たっては、そんなに多額の費用は掛りません。それこそ個人規模でも開始することができます。しかしながら、植物工場ともなると初期投資、回転資金共に多額の資金が必要となります。これを償却するとなるとどのような経営をしなければならなくなるかは、火を見るより明らかです。作付け作物(作付けと言う言葉が正しいかどうかは疑問ですが?)は、短期間で生育し、管理が楽で、かさばらず、そして高価に販売できるものにならざるを得ません。昔からあるものとしては、カイワレダイコン、エノキタケ、シメジなど、最近ではベビーリーフなどでしょうか。利益を出し経営を継続していくためには、ある意味で消費者の求めるものとは異なるものを栽培し、販売する必要があります。

 以前書いたと思いますが、私の父も30年ほど前にカイワレダイコンの水耕栽培をやっておりました。ちょうど私の大学時代に重なりますので、手伝ったことはありませんが、帰省した時などに設備や栽培している現場を見たり、話を聞いたりして、何となく違和感を憶えたものです。結局はアグリビジネス関連企業のひも付きにならざるを得ないと言うことです。水耕栽培の設備・資材、肥料、種子に至るまでこれらの会社から購入せざるを得なくなっております。結局は、資金と土地と労力(マニュアル通りに栽培すること)を提供しているだけなのです。これでは、農家に対する農協のあり方と似たり寄ったりのことなのではないかと思ってしまいます。

 このような状況は、参入者にとっても消費者にとっても好ましいことではないと思います。これを打開するには、業者に頼らず自立することが必要なのです。単に儲かる、あるいは儲かりそうだといって参入するのではなく、確固たる信念と自ら研究する姿勢を持ち続けることが必要なのではないかと思います。これは現在の農業者にも言えることであろうと思います。農水省や農協等々の言われるがままではなく、自分自身で考え行動していくことが求められるのではないかと考えます。

<参考> 「スマートアグリについて」「スマートアグリについて(2)」「植物工場(野菜工場)


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