眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

Who

2018-04-16 05:12:01 | 短歌/折句/あいうえお作文
音もなく
人称を消す
魂は
筏の上の
シンギュラリティ

折句「鬼退治」
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シルエット

2018-04-16 02:22:59 | 短歌/折句/あいうえお作文
前に伸びた影の大きさに驚いた。それは自身のスケールを遙かに超えたヒョウのものだった。まさか……。偽物の影ではないことは、走り出すとすぐにわかった。我が身を疑うような驚愕のスピードだった。うれしくなって君は駆けた。これほどの走力があれば何駅分の町を越えて行くことができるだろう。コンビニの駐車場で憎き敵を見つけた。敵はすぐに身を隠そうと動いたが、君は逃がさない。追いつめて痛い目にあわせた。いつもされている分の何倍かを返すと気分が落ち着いた。

長い夜の間、君は無敵だった。集団で悪さをする群を正面から粉砕した。幾つかの難しい抗争に割って入り、町の治安維持に貢献した。化け猫クラスの相手でも、君の前ではまるで無力だった。自身の誇り高い影を見つめ歩く内に、どこか遠いところから子守歌が聞こえてきた。考えられる敵はもはや眠りだけだった。夢をはさんだら……。きっと元の自分に戻っているだろう。君は大きな声で鳴いた。それは紛れもないヒョウの声だった。



夢覚めて
キジになったら
ひなをみて
世直しのため
打つ杭を打つ

折句「ユキヒョウ」短歌
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キャッシュ&ポエム(折句)

2018-04-15 20:35:11 | 短歌/折句/あいうえお作文
ちゃっかりと
大金をその
手に抱けば
ムジナでさえも
詩を読むだろう

折句「チャタテムシ」
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生きる(アクロスティック)

2018-04-15 06:22:45 | 短歌/折句/あいうえお作文
その筋の
駒をはなれて
かっこよく
死んでつかえる
駒になりたい

折句「そこかしこ」
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永遠の一瞬

2018-04-15 01:29:59 | 短歌/折句/あいうえお作文
風のある
額縁の中
みしみしと
息詰まるこの
シーソーゲーム

折句「鏡石」
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未来の風

2018-04-14 10:51:32 | 短歌/折句/あいうえお作文
吹き抜けた
通過列車は
TOKYOを
目指す4月の
さくらひとひら

折句「フットメザ」短歌
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養殖ヘブン(アクロスティック)

2018-04-14 02:19:53 | 短歌/折句/あいうえお作文
延々と
同じところを
回るだけ
いつものソース
味の双六

折句「エオマイア」
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貝的な空間(折句)

2018-04-13 21:16:38 | 短歌/折句/あいうえお作文
罪を持ち
無口な君さ
しひかえて
貝状の超
戦士になるの

折句「つむじ風」短歌
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ピュア(アクロスティック)

2018-04-13 07:25:32 | 短歌/折句/あいうえお作文
直球の
告白文を
春風の
強さに乗せて
飛ばすルーキー

折句「チョコバット」短歌
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まだいたの(アクロスティック)

2018-04-12 20:29:38 | 短歌/折句/あいうえお作文
感情が
枯れて廊下を
見渡せば
一番隅に
消火器の赤

折句「鏡石」短歌
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フードコートの眠り

2018-04-12 12:16:11 | 短歌/折句/あいうえお作文
意味を失った言葉の群は蟻の行進に等しくなった。君は向き合うことをやめて顔を上げる。壁にある時計を見ると時間は少しも進んでいない。自身が夢中の状態にあるならば、時間は速く過ぎ去るはずだ。まだ何も始まっていない。コーヒーはまだ十分に残っているのに、口をつけると驚くほどそれは冷たい。カップの中の時間とノートの中の時間がずれ始めていた。君はもう一度視線を落とし、無意味を運ぶ蟻の行進を解体して一連の流れを導き出そうとする。黒は解かれてぼんやりと漂う雲に形を変え始める。集まってみたり、広がってみたり、落ち着かない雲だ。切れ目から現れたペンの先から滴り落ちる音が聞こえた。もう一度あきらめて君は顔を上げる。時計は時間を刻むことを放棄しているようだ。時計ではない。あれは壁に描かれた絵に過ぎないと君は思う。麺処を飾るどんぶり。針を思わせる箸が、訪れる人を待っている。



割れそうな
他者の賑わい
シャワーあび
フードコートで
眠る若者

折句「渡し舟」
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夕焼け(アクロスティック)

2018-04-11 20:27:48 | 短歌/折句/あいうえお作文
夕暮れが
今日に迫った
一つだけ
よいをみたなら
歌にして焼け

折句「ユキヒョウ」短歌
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洗濯日和

2018-04-10 12:23:55 | 短歌/折句/あいうえお作文
道に面した場所に広い庭があり洗濯物が干してあった。全身にまぶしい光をあびながら、シャツがパンツが靴下が。こんなよい天気の日には全部まとめて干したくなるものだ。ただ従順に干されているだけではなかった。風が吹くと踊り出したのだ。シーツが、たこが、マンボウが、鳩が、宇宙人が、さわやかな風を受けて一斉に踊り出した。

あまりに愉快な様子に引き込まれるように、君も庭の中に入って干されるものたちに交じって踊り始めた。こんな風の心地よい日には、誰だって踊りたくなるものだ。自由の身でありながら君のステップは、干されるものたちの優雅でしなやかなそよぎには少し劣って見えた。一段と強い風が吹くとマンボウは雲をつかもうとするかのように華麗にそよいだ。心酔の内に君はより深く庭の中に引き込まれていった。
「いらっしゃいませ!」
甘い香りを漂わせながら庭の奥からたこ焼き屋が顔を見せた。



風に身を
任せたタコの
生き様を
高くみとめた
地上生命

折句「かまいたち」
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草の根運動場

2018-04-10 01:58:13 | 短歌/折句/あいうえお作文
そつのない
光合成を
肩にのせ
4月を笑う
校庭の歌

折句「そこかしこ」
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猫か人か(折句の扉)

2018-04-10 00:41:31 | 折句の扉
窓の外で子供がなき続けていた。感情を素直に爆発させることができるのが子供の特徴だ。しばらくして、それは猫かもしれないと君は思う。猫が野生の感情を爆発させるようにしてないているのだ。なきに子供の甘えが入り交じる。猫が子供の声を上手に真似ているのだ。世界に訴えかけるようにないている。

完全な子供になった。ならば大変なことだ。君の感情が騒ぎ始める。子供がなき続ける時は大人の助けが必要だ。硝子の向こうの遠いところから助けを求めている。こんなに響くのに周りに誰もいないのだろうか。念を入れて君は子供のなき声を聴いている。猫のあどけなさが入り交じる。野生の荒さが濃くなっていく。また猫が戻ってきた。木の上から人を見下ろしながら猫がないている。どこで覚えたのか、憎たらしいほどの上手さで子供の幼稚さを真似て猫はないている。巧みに抑揚をつけながら、どこか歌うように声を操り始めた。

いつまで聴かされるのだろう。君ははじめて自分の身になって疎ましさを覚え始めた。寂しいのだろうか、苦しいのだろうか……。野生の声が狂おしく渇望するもの。それは子供かもしれない。猫の一節が徐々に長く、また力強さを増していく。

その向こう側からまた子供が戻ってくるようで恐ろしくなった。
君は折句の扉を開いた。猫を越えてまだ何でもないカナが部屋の中に押し寄せくる。動物的なテーマを片隅に置きながら、君は手を広げて新しい言葉を受け止めようとする。感情を上手く制御することができなければ、言葉は指の先にさえもかからない。ないている声が、まだ君の心の多くを占めたままだった。君は指で言葉の枝を1つ折った。節はつながることなく、どこにも刺さるところを見つけることができなかった。何かを新しく組み立てるには、自分の声が必要だ。とりとめもなく宙を漂うカナの間から、また野生の歌声が入り込んでくる。

それは新しい猫だった。高い木の上で猫と猫の合唱が始まった。あるいは戦いだ。けれども、その内にどちらかは子供にかえりまた猫にかえり、どちらもが子供にかえったり、猫になったりしながらおかしな天気のように落ち着くことがなかった。




追い炊きの
文字を信じて
手を合わす
長く冷たい
詩のワンルーム

折句「おもてなし」短歌
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