眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

クリスマス相撲

2014-01-10 10:59:04 | クリスマスの折句
 底冷えのする夜の中を歩いているとなぜだかとても温かいものが食べたくなります。私はふと足を止めるとドアを開けて、冷たい風を身にまといながら中へ足を踏み入れました。私の他に来客はありませんでした。
「ちくわと玉子を」
 そう言って待つ間に、口寂しくなってきたので、
「大根とこんにゃくを」
 そう言って待つ間にも、口寂しさは増していくので、
「ちくわと厚揚げを」
 と言ってみると、まだ食べてもいないのに、もう少し空腹が満たされたような気がしたのでした。
「ちくわはさっきも言っただろう!」
 と突然大きな声でマスターは言い、
「ここは交番だ!」
 とおまわりさんは言い、私もつられていっときおまわりさんになりました。
 喧嘩だという通報を受けて、町の盛り場に出てみると即席のステージの周りで酒に酔った男たちの怒号が飛び交っていました。けれども、近づいてみると戦っているのは生身の人間たちではなく、人間に見立てた紙の力士だったのです。それぞれの紙の力士には名前がついていて、男たちは感情を込めてその名を叫びながら熱い声援を送るのでした。紙なら安心と油断していると、次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

屈強な
力士はみんな
相撲取り
まわしの下は
素足であった

 浮かんだ後で寒々として、またおでんが食べたくなりました。

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