黙ったままなら何も変わらなかったけど「話せばとても短くなる」私は何もはなしたくなかったのに、長くつなぎとめておいたものたちを身から出る言葉がそっぽに向かせてしまう。「私の言葉が足りなかった」あきがきて日が落ちて、言葉の残骸が散らばったテーブルの上に、居座っている。#twnovel
1人、部屋を出た。廊下を越えて西に歩いた。どこまで歩いても1階の教室は空いていなかった。いつの間にか暮らす人が増えたのだ。少しくらい空いていそうなベンチも、当然無人であるはずのカウンター席も、今では新しい相談窓口になっていて近づけない。階段を上がり2階を観察したが、資料室も、音楽室も、実験室でさえ人の気配に満ちているのだった。仕方なく再び階段を下りる。
「何をしているの?」
「落ち着く場所を探して旅をしています」
職員室の前を抜けて外に出た。芝の欠け落ちた斜面に座って、無になれるよう努力した。目を閉じて遠い場所を描いてみたが、誰かが見ているような気になって目を開けてしまう。しばらくの間、努力を続けてみた。気がつくといつの間にか、横に先生が座っていた。僕は胸にマジックで三角を描いた。
「同じじゃないか」
季節が変わったのに……。あの時は、紫の服だからよかったのだと先生は言った。見透かされていた。
「それしか描けないんです」
他のものを描くのが怖い……。
職人室の前で、おにぎりを作った。芸人たちが集まって暴れている。石は掘り起こされ、木はへし折られた。魚たちが驚いて、池の上を跳ね回っている。庭が破壊される。すべては、カメラが回っているせいだ。
「誰が食べるのー」
田中が叫んで駆け回る。
笑いにはなっている。なったかもしれない。なったのだから……。僕は、語尾を変換しながら、どうにか自分を納得させようとしていた。
「何をしているの?」
「落ち着く場所を探して旅をしています」
職員室の前を抜けて外に出た。芝の欠け落ちた斜面に座って、無になれるよう努力した。目を閉じて遠い場所を描いてみたが、誰かが見ているような気になって目を開けてしまう。しばらくの間、努力を続けてみた。気がつくといつの間にか、横に先生が座っていた。僕は胸にマジックで三角を描いた。
「同じじゃないか」
季節が変わったのに……。あの時は、紫の服だからよかったのだと先生は言った。見透かされていた。
「それしか描けないんです」
他のものを描くのが怖い……。
職人室の前で、おにぎりを作った。芸人たちが集まって暴れている。石は掘り起こされ、木はへし折られた。魚たちが驚いて、池の上を跳ね回っている。庭が破壊される。すべては、カメラが回っているせいだ。
「誰が食べるのー」
田中が叫んで駆け回る。
笑いにはなっている。なったかもしれない。なったのだから……。僕は、語尾を変換しながら、どうにか自分を納得させようとしていた。
おばあさんは壁に張り付いていた。しばらくして再びおばあさんを見た時、おばあさんはまだ壁に張り付いていて少し背丈が伸びたようだった。一時間して彼が姿を現すと、ようやく壁は時の重みから解放されて自由になった。「もう、遅い!」彼の腕を力一杯引きながら、少女は歩き出した。#twnovel
将来の夢を答えなければならなかった。(将来ってなんなんだ!)宇宙飛行士、スパイ、寿司職人、占い師、国語教師、スーパー店長、現場監督、ピアニスト、裁判官……。候補の中に自分のなりたいものは何もなく、私はその他を選択した。そして、空いているところに好きなことを書いた。#twnovel
リーグが始まると同時に一試合も出場しないまま、大統領の警備のために帰国しなければならなかった。機内では外部との接触を断たれて狭いワンルームの中に閉じ込められる。ある程度動き回れるだけのスペースはあったが、白い部屋の中には何もない。みんなそうなのだ。任務に当たる者すべてが、同じような環境の中に置かれ、任務の純粋性を保たれるのだ。紙切れ一つ持ち込めないはずの、僕の胸のポケットには鉛筆があり、もしこれが誰かに見つかってお咎めを受けることとなるとどうなるだろうかと考える。そうなったとして、僕は再びリーグに戻って試合に出場する機会が与えられるだろうか……。何もない、そのはずだった部屋の前方の壁から巨大なスクリーンが現れた。壁全体がスクリーンになっていたため、気づかなかったのだろうか。
音質の良いものを選ぶべきだ。
スクリーンが主張する。サンプルをタップするように。三つずつ浮かび上がる画面サンプルを言われるままにタップしていくと候補が絞られて、ついにその一つがフルスクリーンになった。
「俺たちは盗賊だ」
と言う男はなまりがあり、またお婆さんは耳が遠かった。盗賊であることはなかなか伝わらず、話はなかなか前に進まなかった。
この環境なら悪くない。『三匹の子豚人間版』を鑑賞しながら考えた。これからたくさんの映画を見よう。もはや移動は苦痛ではなくなっていた。むしろ、これからは好んで移動を繰り返すのだ。
「俺たちは盗賊だ」
お婆さんは、まだ夕食の準備をしている。
音質の良いものを選ぶべきだ。
スクリーンが主張する。サンプルをタップするように。三つずつ浮かび上がる画面サンプルを言われるままにタップしていくと候補が絞られて、ついにその一つがフルスクリーンになった。
「俺たちは盗賊だ」
と言う男はなまりがあり、またお婆さんは耳が遠かった。盗賊であることはなかなか伝わらず、話はなかなか前に進まなかった。
この環境なら悪くない。『三匹の子豚人間版』を鑑賞しながら考えた。これからたくさんの映画を見よう。もはや移動は苦痛ではなくなっていた。むしろ、これからは好んで移動を繰り返すのだ。
「俺たちは盗賊だ」
お婆さんは、まだ夕食の準備をしている。
テーブルの向こうに話し相手はいなかった。彼女は一人だったが、誰かを待っているようにも見えた。誰か来るのだろうか……。ドリンクを飲み終えた彼女はテーブルの向こうの荷物を持ち上げた。誰かへの土産物だろうか……。少し前に雨は上がった。彼女は雨を待っていたのかもしれない。#twnovel
「空いてますか?」「ええ」(もちろん)私は先に真っ白いご飯だけを置いて、いつでも前を空けて待っている。今日もスピードスターは訪れて、広いスペースを生き生きとして使い始める。(待ってました)私はあなたの注文に乗っかって、まんまと箸を運ぶのだ。(ごちそうさまでした) #twnovel
世界の中心にあったのは最近のこと、誰もが見ていない間に徐々に離れ始めて、今それはもう世界の縁にまでたどり着いていた。「必要ないなら……」と、消えていくつもりだった。「待て! 私が君を必要とさせる!」その時、卓上ソルトの前に現れたのは、熱気を帯びた極上エッグだった。#twnovel
歌いたい時は歌えばいいんだよ
昔
誰かがそう言っていた
人間は
どうしようもなく
そうしなければならない
という時があって
例えばある人は
どうしてもどうしても
飲まなければならないと言う
どうしても
ハッピーターンを食べなければ
どうしても
雨を見たかいと訊かなければ
どうしても
かめはめ波を出さなければ
どうしても
虹の向こうに行かなければ
どうしても
どうしても
どうしても
どうしても
どうしても
例えばそれは
良いことばかりではないし
時には誰かを
泣かせさえもするけれど
言葉は
ふとした時に蘇り
自分の肩を優しく叩いてくれる
歌いたい時は歌えばいいんだよ
そうだよ
きっと
歌うくらいいいじゃないか
どうしようもなく
歌わなければならなかった
もう一首
歌う
昔
誰かがそう言っていた
人間は
どうしようもなく
そうしなければならない
という時があって
例えばある人は
どうしてもどうしても
飲まなければならないと言う
どうしても
ハッピーターンを食べなければ
どうしても
雨を見たかいと訊かなければ
どうしても
かめはめ波を出さなければ
どうしても
虹の向こうに行かなければ
どうしても
どうしても
どうしても
どうしても
どうしても
例えばそれは
良いことばかりではないし
時には誰かを
泣かせさえもするけれど
言葉は
ふとした時に蘇り
自分の肩を優しく叩いてくれる
歌いたい時は歌えばいいんだよ
そうだよ
きっと
歌うくらいいいじゃないか
どうしようもなく
歌わなければならなかった
もう一首
歌う