「なるほど。そういうことね。それでそんな顔なんだ。まあ、ありきたりな人生。振られることだってありますよ。私はないけど」
「はあ」
「でもあなたには顔がある」
「そりゃありますよ」
「そう。人間は顔よ」
「どういう意味ですか」
「目は口ほどに物を言う」
「それは何となくそうかも」
「壁に耳あり」
「はあ」
「2階から目薬」
「それが何か?」
「目も耳も口もみんな顔に集まっているわ」
「まあそうですよね」
「お前鼻が利くなーっ」
「えっ?」
「犬の嗅覚を甘く見ないこと。とても人間に勝ち目はないわよ」
「わかってます。勝負することもないと思います」
「馬の耳に念仏」
「馬の話じゃないですか」
「あなた少し似ているわね」
「別に似てないでしょう」
「最近どう?また顔出せよ。あんたここの顔じゃないの。どうした? お化けでも見たような顔だな」
「何ですか顔の話ばっかり」
「それだけ顔は広いという話よ」
「僕はこの先どうすればいいんですか」
「あなたまだ顔があるわ」
「だから何だと言うんです」
「今は瞳でパンが買えるの」
「顔認証ですか」
「そんなんでも顔は顔」
「……」
「ありきたりな人生。顔がありゃ何とかなる」
「はあ?」
「ということです」
「ちょっとどういうことですか」
「はい。相談料2万4千円になります」
「いや払うかー!」
「あなた顔でかいな」
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