眠れない夜の言葉遊び

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【将棋ウォーズ自戦記】飛車を攻める ~時間も逆転する

2022-03-23 03:12:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 角道を止めずにいると相手はいきなり角を換えてきた。その内に止めるというプランもあったがそうは問屋が卸さない。

 角交換振り飛車だ!
 相手が飛車先を少し遠慮していたのでこちらからも1つ突いた。囲いを作り、することがなくなったので飛車先から突っかけた。相手が歩を謝ったので一歩持つことができた。自陣角を打ったり歩を垂らしたり何かできることを探る。自分から手を作っていくことはなかなか大変だ。

 相手の受け間違えによって敵陣にと金を作ることに成功した。僕はそのと金を動かして格調高く敵玉に迫った。つもりがどうだったか。単純に飛車を攻め、角を切ってでも自分の飛車を活用した方がよかった。結局、将棋は飛車を中心に考えた方がわかりやすいのだ。飛車さえ取ってしまえば、寄せがわかりやすくなる。僕は手筋を駆使してと金を引いた。相手は飛車先を伸ばしてきたが、一段飛車になっているのでまだ何も脅威ではない。僕は喜んでと金で銀を取った。これで銀桂得だ。と金を取り返せば角による飛車金両取りがかかる。「投了もやむなし」ではないか。ところが、相手はと金を取らずに金を上にかわして頑張ったのだ。

 これには驚いた!

 なぜなら銀桂損しながらと金の生存まで甘受して後手を引いたのだから。将棋にはこういう手もあるのか。言わばこれは終盤のしぶとい手。金を玉の付近に残しておいた方が、耐久力があるという判断なのだ。それに対して僕は大いに楽観した。相手の囲いはほぼ金1枚。僕は角銀桂の持ち駒を持ち、盤上にはと金ができている。(ここでも飛車を攻撃すること、活用することにシフトするべきだった)僕は桂を打って上部脱出を封じた。詰めろだ。すると相手は玉を下段に落ちた。僕はと金を入り玉に近づけた。すると相手は歩を突いて桂を取りにきた。この時、僕の残り時間は1分足らずで相手よりも10秒以上は多かった。将棋も時間も勝っている。だけど、決定打がみえていない。こういう状況は最も危険だ。(勝ちを探すことに夢中になると時間を使ってしまう)桂取りに歩を突かれてみると、急に忙しくなった気がする。思った以上に攻めが細く思える。(駒があっても細くみえるのは、歩の利かない攻めだから)僕は大いに取り乱しながら、角を打ちと金を寄せた。すると相手は歩を突いてできた空間に金をかわした。僕はすっかりパニックになった。

「寄らないじゃないか!」

 パニックの中で僕は15秒の大長考をしてしまう。これによって時間は完全に逆転した。(止まってしまえば10秒や20秒はあっという間。30秒の差などすぐに追いつかれる)僕は銀で王手をかけた。正しくは腹から銀を打つ手で、着実に寄せの網は絞れていた。(困った時はだいたい格言に従った方がいい)端玉に対してと金を近づけ馬を作った。相手はよくわからない場所に桂を埋めた。僕は端玉には端歩と格言通りに端歩を突いた。相手はそれを素直に歩で取り返した。馬の働きが不十分なためまるで寄りがない。ついに僕の残り時間は10秒を切った。取り乱しているため、僕の寄せはまるでデタラメとなった。逃がすために攻めているようなものだ。残り5秒。もはや寄せ切ることは不可能。時間で逆転を目指す余力もなく、無念の投了となった。



~最後まで頑張ろう
 
 一番いい手を指せなかった時、次善の策でも予定変更でもいいから気持ちを切り替えて局面についていけるようにしたい。(時間の勝負だってあるだろう)いい時はいいが、一度間違えたとなった時に、すべてが空中分解してしまうような傾向がある。それではいけない。全部上手くいくなんてことはないし、必ず間違えることもあるのだから、むしろ間違えた後が大事だと言える。人間は間違えるもの。だけど、相手が人間であるということも覚えておくべきだ。自分だけ人間を背負って苦しむことはない。


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