眠れない夜の言葉遊び

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【将棋ウォーズ自戦記】振り飛車VS陽動振り飛車

2021-12-27 20:00:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 いきない三間飛車に振られて一瞬はっとした。その清々しい初手に、忘れてしまった大切なものを探しに出かけたくなった。しかし、3分切れ負けではそんな暇はない。相振りか対抗形か、やりたいことが多すぎて早くも迷いが生じた。

 よし居飛車だ。僕は飛車先の歩を伸ばす。普通の対抗形に進みかけたところで、なんとか流左玉の構想を思い出した。銀を中段に上げ歩を伸ばして位を取ると、相手は銀を腰掛けてきた。これでは角を中段に出ることはできない。そこで僕は四間飛車に振った。

 相振り飛車だ。すると相手は向かい飛車から早速飛車先を突き反撃してきた。どんどん伸びてくる歩に金を備え、歩を謝りながら受けた。一歩損しながら屈服した形となり、その代償としての四間飛車からの一歩交換はあまりに小さすぎた。率直に言っていいところがない。

 相手は模様がいいくらいで許してはくれなかった。角をのぞき、居飛車陣中央に狙いを定める。続いて自陣の桂を活用し、更に四間飛車に振り直して総攻撃の構え。立ち直る時間を与えない機敏な動きだった。
 構想のちぐはぐさが祟り、すべての駒が立ち遅れていることは明白だった。右は壁、玉は居玉、おまけに四間飛車が相手の角筋に入っている。対する相手は全軍躍動! 

 こうなっては投了もやむなし。しかし、具体的に酷くなるまでふらふらと指し続けた。相手は自然な攻撃から大きな戦果を上げたところで玉を囲うという余裕の指し回しをみせた。こうした落ち着きは、こちらから有効な手段がないことを見抜かれているようで、並の攻撃よりもダメージを与えることがあるものだ。

(いや参りました)

 相手の落ち着きに感服しながら、僕はふらふらと指し続けた。指せば指すほどボロボロと駒を取られる。もはや勝負どころはない。残り10秒を切り、時間でも大きく負けていたので、無念の投了となった。
 本局は、一貫性のない指し回しが時に致命的な結果を招くことを明らかにした。『陽動振り飛車』は、使い方次第で魅力的な戦術となるが、純粋な振り飛車相手には単なるお手伝いに終わるということを覚えておこう。



振り切れぬ迷いの中を指し継いで気づけばただの負け将棋だよ



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