着るものなんて、何でも構わない。それは超越? それともあきらめ? よくわからないな。纏わされてみてはじめて、これ何か違うと思う。昨日はこれだったかもしれないけど、今日はどう考えても不正解。じゃあこれにする? いいえ、この色はちょっとね。何かしっくりとこないというか……。秋じゃない。このふわふわもちょっとね。朝にはこれだったかもしれないけど、夕暮れにはちょっと浮いちゃうっていうか……。じゃあこれにする? いいえ、これはないかな。だって、みんなこういうの着てるじゃない。もう着尽くされてるって言うの。じゃあ、これなんかは? うーん何か冴えないな。何て言ったらわかるかな。落ち着かないんだな。別にかっこつけてるわけじゃないの。周辺視野の中の自分が自分らしくありたいと思うだけ。じゃあこれは……。
「もう裸で行く!」
「寒くない?」
寒くなんかない。まだ初秋じゃないか。
あえて着ないという選択もある。それが私に許された当たり前の自由だった。
「さあ、出かけよう!」
最近少し太り気味の飼い主を連れ出して、この街の夜に染まること。それが私のルーティンなの。
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