眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

おかしな招待 (やまとなでしこ)

2013-07-08 11:52:57 | アクロスティック・メルヘン
野生の鹿が入ってくる心配もないので
窓をいっぱいに開けておいたら
飛び込んできたのは虫でした。
長い羽を持った虫で、
手に取ってみていると
静かな森の夜の木が思い出されて、
「これはいったいどういうことなんだろう」

「やだなあ。これって」
「ママの格好おかしくない?」
「トリケラトプスみたい」
「なんで呼ばれたんでしょう?」
「てんとう虫を歌うの?」
「知らない人ばかりなのよ」
「香典はどうするの?」

野生の猪が入ってくる心配もないので
窓をいっぱい開けておいたら
飛び込んできたのは風でした。
長いメッセージを持った風で、
手に取ってみていると
萎れた感情に支配されてきて、
「これはいったいどういうことなんだろう」

「やっぱり、おかしくない?」
「ママは心配しすぎじゃない」
「トカゲの尻尾みたいじゃない?」
「なりきってしまえばいいのよ」
「手前味噌って言われない?」
「神妙な面持ちをしなくちゃ」
「こんな感じ?」

野生の虎が入ってくる心配もないので
窓をいっぱい開けておいたら
飛び込んできたのは秋でした。
長い髪の毛を持った秋で、
手に取ってみていると
知らず知らずに巻き込まれていき、
「これはいったいどういうことなんだろう」

「やっぱりこれは変だよ」
窓をいっぱい開けておいたら
「時計がすっかりおかしくなったのよ」
何気にみつめている内に
「天気もおかしくなったのよ」
知らない人の式に呼ばれて
「これは何もかもがおかしいのよ」


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