眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

底辺の贈り物

2021-05-09 10:34:00 | ナノノベル
「お待たせしました。上げ底定食でございます」
「おー! すごいボリューム感だ!」
「あなた、食べれるの?」
「いやどうだろうか」
「まずは写真ね」
「おー、そうだ」

チャカチャンチャンチャン♪

「ごちそうさん」
「案外大丈夫だったみたいね」
「ああ、見応えもあったし」
「写真映えもしたし」
「ダイエットも継続できた!」
「それが何より大事ね」
「勿論だ。ぜびシェフに会って直接お礼を」

チャカチャンチャンチャン♪

「彼は大変忙しいので……」

「おや、この声はどこから?」
「この下からみたいよ」
 突然、器の下からネズミが姿を現した。

「私が上げ底を下から支えていました」
「ほほ、そうだったとは」
「まあ、かわいい」
「ありがとう! ぜひシェフによろしくお伝えください」

チャカチャンチャンチャン♪

「いいえ、チップは結構です」 
 ネズミはバナナチップを断って厨房へ去って行った。

「なんと清々しいスタッフだろう!」
「ええ、本当に!」


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