眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ねんねん妨害

2021-06-23 06:50:00 | 短い話、短い歌
「お前たち人間は、
時間という観念の中で万年を過ごす。
自らが生み出した観念の中で雁字搦めになって、身勝手な取り決めと煩悩の間で、金品を食らう。手にもつかめぬものに、大仰な観念を取って付け、豆を食らいローソクを立て、やれ向こうに行け、やれおめでとう、やれやれお茶をくれなどと、我が物顔の振る舞いが止まらない。お前たち人間の未来それは、むにゃむにゃ……」

「ああ猫さま、どうかその先をお教えください」
「わしもう寝んねん」
「寝ないでください! もっと教えてください」

「時間という観念の中の革新的テクノロジー。観念に煩悩を着信のイデオロギーが秋の味覚が大喝采。実際に観念に雁字搦めの工事中、ここは通れません。通り抜けできませんって、誰に言うとんねん。時間という観念に溺れては万年を過ごす。これ、そこの兎、大人しゅうせい。魔性の観念に疲れてはつかず離れず、上ロースのライセンスを取得の天狗めが。もうええかな、寝んねん、寝んねん」

「猫さま! もう少しお聞かせください」

「小賢しい人間の狢たちが。時間という観念を持ち出しては茶番劇の万年を過ごす。情念は十年に溶けず、かたや焼きそばは十人でも待たす。これいともどかし。秋は十五夜ふかしお芋の恋しさは千年枕の金平糖。採点は満点か冬の星座が天然水、得てして魚肉を食らえば、やれ収穫だ、やれ年の瀬だ、やれ大変だ。時間という観念を背負ったアンカーが草履を履いて師走の運動会。指をくわえて静観する一大事を笑い飛ばして、いかにも時間とは観念のきなこ餅とはどやねん。むにゃむにゃ」

「ああ猫さま! お教えください! 人間の運命は」
「寝んねん。わしもう寝んねん」
「おやすみ前のひと時だけでも、どうかお恵みください」

「お前たち人間は、時間という観念を練り上げて、待ちわびて忍び、落ち延びて寝ころんだ。観念という水脈の中に思索を広げては、情念を大根に煩悩を竹輪にして煮込みの友と呼んだ。忍びが投げる手裏剣が柿色に染まる時、自ら仕込んだ観念の愚かさを知るものであるが、小さな風は気晴らしにもなるし、歌として冬を包むこともできたのだ。人間という地面師が月を根こそぎ持ち去ろうとしても、美しい花は観念の中に埋没していることを選ぶのかもしれない。だから、もういいかい。時間という観念の中で万年を過ごす。むふゅー」

「ああ、猫さま! 私たちはどうなりましょうか」
「寝てんねん。もう無理やねん」

「その先の未来は?」
「寝んねん。もうええやん。お前もねえや」
「猫さまー!」




その節は墾田永年看板屋
終電はけてここで寝んねん
(折句「そこかしこ」短歌)


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