眠れない夜の言葉遊び

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アメージング・シェフ(アクロスティック)

2018-12-03 20:54:47 | アクロスティック・ライフ
おーい
もうどうなってんだー!
て言うかて言うかて言うかだよ
何なんだこりゃよー
シェフよおーい シェーフ!

 アクロスティック「おもてなし」


「味見はしたのか?」
「味見? 途中はしましたが、最終的にはしてませんね」
「どうなってんだい。それが美学なのか。過信してねえか」
「興味がないんです。できちゃったものには」
「興味がないだと。それでもシェフか」
「作り終える頃には、もう次に作るもののことでいっぱいで」
「責任放棄じゃねえか」
「恐れ入ります。私にとって大事なのは、できた料理でなく、常に次に作るべき料理なのです」
「この料理ができた料理だと?」
「少なくとも私の中では」
「こっちはどうなるんだ。客の満足は? 客の評価はどうでもいいって言うのか?」
「中には満足して帰っていただける方もいます」
「そうは見えねえけどな。周りの顔を見てみろよ」
「まあ、それは時によるんです」
「どういう意味だ」
「レシピと私の心のさじ加減、それにお客さんと相性が上手く一致した時などですね」
「何かいい加減だな」
「恐れ入ります」
「そりゃどういう意味でだ?」
「はあ?」
「はあ? よくわかんねえな」
「恐れ入ります」
「とにかく、一口食ってみなよ。こりゃ駄目だぜ、あんた……」


美味しくなーい
もうどうなってんだー!
て言うかて言うかて言うかだよ
なっちゃいねえなこりゃー
シェフよおーい お前か お前シェーフ!

 アクロスティック「おもてなし」


「これでもプロか。プロの料理人か」
「まあ。一般的にはそう呼ばれますが」
「まったく。どこで習ったんだか」
「はい」
「ちゃんとプロに習ったのか」
「習うというほどでは」
「やっぱりな。我流か」
「……」
「どうせレシピも何もないんだろう」
「レシピはあります」
「あるのか」
「ですが、その通りには進まないんですね」
「どういうことだ。ちゃんと見てないのか」
「見ているけど見ていない。見ているようで見ていない」
「いい加減だな。ちゃんと見ろよ。そのためのレシピだろう」
「それは少し違います」
「何が違うんだよ。ちゃんと見ないからこの有様だ」
「見たままというのは、つまらなくないですか」
「そういう問題じゃない。それがレシピだろう」
「果たしてそうでしょうか。それがレシピなのでしょうか」
「他に何があると言うんだ。くだらん話だ」
「レシピ通りに作るのが正解でしょうか」
「それでまずけりゃレシピが元々駄目なんだろう」
「レシピはよくても悪くても関係なく、そのままというわけにはまいりません」
「何を言っとるんだね。これを一口食べてみたまえ」


鬼めくまずさじゃこりゃ
もうどうなってんだー!
て言うかて言うかて言うかだよ
なぞなぞみたいな食感だわ
シェフなんかい お前ほんとに シェフかーい!

 アクロスティック「おもてなし」


「レシピ通りだと味がかたまってしまうんでね」
「ちゃんとかためればいいんじゃないか」
「いや、かたまるのは心の方かな」
「何を言っておるのかね」
「まんまは退屈なんですよ」
「それが料理だろう。君は何もわかっとらんようだね」
「自分で決めた通りに作って何が楽しいんだってね」
「楽しくなくていいんだよ」
「いいえ。それでは私が楽しくない」
「家で好きにやってればいい。自分で作って自分で食え」
「レシピ通りではつまらない。アドリブを入れないと」
「君は向いとらんよ」
「まずは私の楽しさが優先です」
「シェフ失格だ」
「最初に書いたものはもうつまらないんですよ」
「話にならん」
「だってみんな知ってるんだもの」
「それならレシピなんて必要ない。捨ててしまえ」
「レシピが何もないというのはそれはそれで困ります」
「好きにすりゃいいだろ」
「どうにでもなるというのは困る。指示や手順があった上で、それを適当に破っていくのがいいんです」
「まるで本末転倒だ」
「だから二度と同じ味にはならないんです」
「道理でまずいはずだ。二度と来ないよ」
「恐れ入ります」
「二度と来るか!」
「せっかくだから、最後にデザートをどうぞ」
「どうせでたらめなんだろう」
「いかがでしょうか……」


おえーっ!
もうなんなんじゃこりゃー!
てめえてめえてめえやりやがったな!
なんちゅうもん食わすんじゃい!
シェーフ! でも何でもなーい!

 アクロスティック「おもてなし」


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