交番勤務の男は自転車に乗りながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もう観念しなさい」
逃れられると思ったら大間違いである
非番であっても正義感が勝っている
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交番勤務の彼は音楽を聴きながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もうなんてヘビーなローテーション」
ノー・ミュージック ノー・ライフ
ヒップホップにどっぷり浸かりたかった
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交番勤務の彼はラーメンを食べながら逃げる
泥棒を追いかけ回している
「もう真夜中じゃないか」
伸び行く時は情熱を冷まさない
額に光る汗こそが勲章であった
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交番勤務の彼は煙草をふかしながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もうしませんくらい言いなさい」
ノー・シガレット ノー・ライフ
日々は連なる欲望の縄のようにもつれやすい