眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ファッション

2014-10-04 20:24:16 | 気ままなキーボード
 虫が飛んでいる。人を刺すような形ではなかったが、慌しい仕草で飛び回っている。一瞬、林さんの座るテーブルに下りて、すぐに飛び立つ。林さんは虫に好かれる人柄だった。私は持っていた大根おろし器の蓋を取って構えた。
「今度はここに」
 林さんは虫を捕まえる名人だった。虫は導かれたように、また林さんのところに戻ってきた。
「今だ!」
 次の瞬間、虫は大根おろし器の中にいて、すぐに蓋をした。一分の隙もない連携によって虫は捕獲された。
 美しいタイガースの服を着た蝶だった。
「逃がしてあげる?」
 タイガースファンの林さんを気遣って言った。そこはおろされた大根がいるべき場所で、美しい蝶にはふさわしくない場所だった。
 窓を開ける前に、蝶は硝子をすり抜けて外に飛び出していた。とらえどころのない蝶だったのだ。部屋中から拍手が沸き起こった。私はなぜか、もう必要もないのに、窓を開けてもう一度空っぽの蝶を逃がし、今まさに逃がしたのだという気分を味わった。

 パトロールの続きを終えて戻ってくるとテーブルがきれいに移動されていて、おかげで絨毯の上の汚れが目立って見えた。
 誰が……。爆音の先を追うと青い作業服を着た男が、水玉模様の蛇の首を捕まえて掃除を強いていた。蛇はうねりを上げながら、種々の埃と残骸を吸い取って働いていた。どこかの業者さんに違いなく、私が声をかけることもないのだった。
 また別の部屋に行くと、テーブルの一つが勝手に動かされ、その下に潜り込んで漫画を読む者の姿があった。
 亀仙人を思わせるその形の正体は、漫画を好むヤドカリであった。

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存在証明

2014-10-04 19:16:09 | 折れた左とフリックの夏
君の声が聞こえる時
君がそばにいるということ
君が生きている
何より僕を安心させること

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変身

2014-10-04 11:45:44 | 折れた左とフリックの夏
これが私

一番知っているはずの私が
私を受け入れることに怯え
戸惑っている

鏡を避けて過ごすことはできる
それでも不意に映り込む
つけたばかりのテレビの中に
眠りについたiPhoneの表面に

これが私

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