百年に1度現れた彼は長居で球を受けたと思ったら次の瞬間には火星にいて、太陽に向けてシュートを放った。予期せぬ出来事に驚いた太陽は一瞬だけど目を閉じてしまうと、その機会を心待ちにしていた人々は浮き足立ちながら、太陽の見せる小さな弱みの下で一斉に目を見開いたのだった。#twnovel
僕はクロワッサン。
限りない別行動を強いられた。
世界の隅っこに陣を取り、
一人の男を見つめてさよなら待ち。
隣の席からおいしそうな匂いが零れてきて、僕はそちらの方を見たくて仕方がないのだけれど、物欲しそうな目を向けているようで、その仕草を気づかれてしまうことが怖いような、本当は他人の目などは問題ではなくて、そうして他人をどこかで羨むように見ている自分の仕草がどしても心にひっかかるからという理由で僕は決して、顔を向こうには向けないと決意したのだ。向こうから見えれば、まるで何事もないかのようにただ正面を向いて事に当たる男の姿が見える、またはこちらがそのように装ったという効果によって、向こうの人にとっては当然のように関心を注ぐ対象でもないのだ。そうとも僕は空気人間じゃあないか。
何だっていうんだ?
この人は自分の中に捕らわれているから、
僕を捕らえることはない人なんだ。
空気に馴染んだ差し入れ、
僕はクロワッサン。
テーブルの下に何かを落として拾おうとする時に、僕の視線は引き付けられ。どのように構えても、人間は動くものを目で追わないことはできないというわけで。ずっと二人組みの女だと思っていた、その一人はぼんやりの捉えた視界の中でも小さく見えて、一旦テーブルを離れてまたすぐに伝票を取りに戻ってきて、そして女は先にレジの前で待っていて後から少年が駆けて行った。女二人はいつの間にか少年と母に入れ替わっていた。少年は硝子よりも柔軟で音符のように空を跳ねて、夜でも太陽と遊んでいる。
ずっと遊んでいればいいよ。
僕は遊びを見届け続ける、
唯一無二のクロワッサン。
どうか僕を知らないでくれ。
「地道にお弁当を作っているようだな」
壁の上から覗き込みながら偵察者は言った。
「見逃してやるか……」
作っているのはお弁当ではなかったけれど、僕は急いで弁当箱を手にとって、表面に多少の水滴がついていたけど構わずその中にご飯を詰めた。おかずなんて何もなくても、箱と飯さえあれば、お弁当と呼ぶことができるのだ。持ち運ぶあてのない弁当を作っている内に、もしかすると自分はこれから遠足に行くのかもしれないという疑念が白い米粒の先から湧き上がってきた。
遠足にはおやつが必要。
きみを壁からすくってあげる、
僕という名の船に隠れて、
出航の準備はいかが。
禁じられた上映会の中には、僕に似た大きさの人たちが幾つも集まっている。その顔に疲れの色をつけていない人は一人もいない。疲れ、悲しみ、疑念の色……。子供ばかりではない。大人たち、テレビで見たことのある芸能人の姿もあった。僕は、帰りのバスの時刻を気にしていた。明日は学校のある日だった。
「ここは戻らない人たちが来ているのよ」
母の小さな声が、僕を裏切り始めている。僕だって戻れないかもしれないのだ。何かの痕跡を残したくて、僕は自分宛にメールを打っておくことにした。伊藤さん(有名な芸能人)の名も入れておくことにしよう。誰かが僕を探し始める時の、小さな手がかりになることを願って。
何かに希望を託したように、
そして男は指を置きます。
男の周りを小さな点が舞っています、
それはかなしみの偵察生物。
こっちへ、こっちへ、
僕はクロワッサン。
限りない別行動を強いられた。
世界の隅っこに陣を取り、
一人の男を見つめてさよなら待ち。
隣の席からおいしそうな匂いが零れてきて、僕はそちらの方を見たくて仕方がないのだけれど、物欲しそうな目を向けているようで、その仕草を気づかれてしまうことが怖いような、本当は他人の目などは問題ではなくて、そうして他人をどこかで羨むように見ている自分の仕草がどしても心にひっかかるからという理由で僕は決して、顔を向こうには向けないと決意したのだ。向こうから見えれば、まるで何事もないかのようにただ正面を向いて事に当たる男の姿が見える、またはこちらがそのように装ったという効果によって、向こうの人にとっては当然のように関心を注ぐ対象でもないのだ。そうとも僕は空気人間じゃあないか。
何だっていうんだ?
この人は自分の中に捕らわれているから、
僕を捕らえることはない人なんだ。
空気に馴染んだ差し入れ、
僕はクロワッサン。
テーブルの下に何かを落として拾おうとする時に、僕の視線は引き付けられ。どのように構えても、人間は動くものを目で追わないことはできないというわけで。ずっと二人組みの女だと思っていた、その一人はぼんやりの捉えた視界の中でも小さく見えて、一旦テーブルを離れてまたすぐに伝票を取りに戻ってきて、そして女は先にレジの前で待っていて後から少年が駆けて行った。女二人はいつの間にか少年と母に入れ替わっていた。少年は硝子よりも柔軟で音符のように空を跳ねて、夜でも太陽と遊んでいる。
ずっと遊んでいればいいよ。
僕は遊びを見届け続ける、
唯一無二のクロワッサン。
どうか僕を知らないでくれ。
「地道にお弁当を作っているようだな」
壁の上から覗き込みながら偵察者は言った。
「見逃してやるか……」
作っているのはお弁当ではなかったけれど、僕は急いで弁当箱を手にとって、表面に多少の水滴がついていたけど構わずその中にご飯を詰めた。おかずなんて何もなくても、箱と飯さえあれば、お弁当と呼ぶことができるのだ。持ち運ぶあてのない弁当を作っている内に、もしかすると自分はこれから遠足に行くのかもしれないという疑念が白い米粒の先から湧き上がってきた。
遠足にはおやつが必要。
きみを壁からすくってあげる、
僕という名の船に隠れて、
出航の準備はいかが。
禁じられた上映会の中には、僕に似た大きさの人たちが幾つも集まっている。その顔に疲れの色をつけていない人は一人もいない。疲れ、悲しみ、疑念の色……。子供ばかりではない。大人たち、テレビで見たことのある芸能人の姿もあった。僕は、帰りのバスの時刻を気にしていた。明日は学校のある日だった。
「ここは戻らない人たちが来ているのよ」
母の小さな声が、僕を裏切り始めている。僕だって戻れないかもしれないのだ。何かの痕跡を残したくて、僕は自分宛にメールを打っておくことにした。伊藤さん(有名な芸能人)の名も入れておくことにしよう。誰かが僕を探し始める時の、小さな手がかりになることを願って。
何かに希望を託したように、
そして男は指を置きます。
男の周りを小さな点が舞っています、
それはかなしみの偵察生物。
こっちへ、こっちへ、
僕はクロワッサン。
拝啓 お客様
今日はとても良いお知らせがございます。
なんと、
敷金ゼロで、
キムチを買うことができます!
当店自慢の特製自家製キムチでございます。
うれしいですね。
少し辛くてございますが、ご飯がとてもすすむのでございます。
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うれしいですね。
少し辛くてございますが、ご飯がとてもすすむのでございます。
空の向こうを探したが希望はなかった。ケーブルを手繰り寄せて見たが、手元で操作する内に目の前が真っ暗になり自分自身が現れた。「そこにはないよ」再び切替えてみるがすぐ再現されてしまう。「変わらなければならないのはきみだからね!」僕はテレビをぶっ壊して、家を飛び出した。#twnovel