眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

人魂

2011-12-12 21:42:08 | 忘れものがかり
夜気の降りかかる
階段の途中
昨日と一緒で点滅している
エコ

ガソリンスタンドの天井は
太陽の展示会のように煌びやかに
泣き虫たちを招こうとしている
「あれは人魂ですよ」
ほら
一斉に降りてくる
密閉されたカプセルの中から未練と
光芒を引きずって

わあわあ追ってくる

流れる電車に
救いを求めて手を伸ばす
それはただの電光
野菜と楽曲を切り売りするスーパー

7月荘の中から
出てくるのは冬の人々
間違っているので話しかけられない
父の背中からは子供が
台詞のように突き出している

「こんなところにへその緒を入れたのね」
女が言ったので
途中で歌うのをやめた
タッパーを抱えて立っていた
「やめるから誰も立ち止まらないのよ」

左折した車のあとから
馬が現れて
踏み潰されると身を引くと
それはトランクだった
馬のように力を持ったトランクが
蹄を鳴らして歩く
アーケード

「私が好きなのは、屋根と建物の境界にある隙間なの」

シャボン玉のように上がっていく



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マヨマニア

2011-12-12 21:00:46 | 短歌/折句/あいうえお作文
またきみは
汚れた服の
ままでねる
憎たらしくて
愛してしまう

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500マイル

2011-12-12 19:58:17 | 12月の列車
 歯を磨く。包帯を巻く。本を読む。眠る。目覚める。
 新しい家の壁は真っ白で、天井の電気の中には虫1つ住んでいなかった。緩やかな階段を下りると、タコはまだキッチンで片づけをしていた。
「ボリュームをちょっと上げて」
 僕は2つほど上げてもう1つ上げた。途中で楽器が加わって 曲が大きく盛り上がった。
 リモコンは袋に入れたままだった。タコがパンをあたためてくれた。僕はキッチンでペンを見つけ、広告の裏に白を見つけた。
「カナさんのところから500メートルのところ」
 チェックのパジャマのバアバが横でしゃべり始めた。
「遺跡から16世紀の盤が見つかったの」
 ボリュームを1つ下げる。
 小田さんの話とバアバの話を同時に聞いた。
「初めて松たか子をみた、最近」
 話は自由にどこへでも飛んだ。タコがしょうが湯を作ってくれた。



 トンネルが12月を呑み込んで月日を真っ黒に染めてしまった。けれども、時が経つにつれて列車が進んでいるのは柔らかい雲の中でもあることがわかった。僕は巾着袋に入れたから揚げを背中に背負って、光ある方向へ向けて歩いていた。「あたたかい」歩くたびに、から揚げが背を打ってあたたかかった。灰色の雲を切り裂くようにして自転車が入ってくる。「一番向こう側に行きたいの」父親は後ろに娘を乗せて、顔を見ることなく、答えた。「どこかでみんなあきらめないとな」
「どうしてさ」
 代わりに僕が答えようとすると、自転車は8月のホームを逆走していた。あの親子に何があろうと、あきらめること、あきらめないこと、選択の対象が何であっても、それはまた別のお話、僕には縁のない物語だった。戻らなければ……。闇雲に答えを追いかけると夏の中に捕らえられて戻れなくなってしまうかもしれない。11月のホームを通過する列車を追って、僕は雲をつなぎ合わせた。

「切符を拝見いたします」
 トンネルを抜けると帽子の中で車掌の声がした。僕はまだあたたかいから揚げを1つ差し出した。

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空が消えた日

2011-12-12 17:15:21 | ショートピース
一つの光が人を引き寄せた。一つの声が人を呼んで、一人また一人と人を集めるにつれて、光の方も一つまた一つと増えていくと、もはやそれは未確認飛行物体ではなくった。気がつくと途方もない数の円盤が、空を覆い尽くしていた。そして、目撃情報は途絶えた。空が消えてしまったのだ。#twnovel

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DHA

2011-12-12 02:10:37 | 何でもええやん
柳原可奈子も食べる魚かな

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グレイトホール

2011-12-12 01:49:07 | 12月の列車
「すごい建物ができた」
 とバアバは言った。
「1500人入る」
「文化ホール?」
「カルタ大会なら200畳も敷き詰める」
 バアバは質問には、答えずに次々と情報を小出しにしてくる。それらを組み合わせて、建物の輪郭を作るのは想像力。



「時間がないぞ」
 狭い通路の中をねずみたちが一列になって走りすぎていく。その後を猫が自信に満ちた足取りでついていく。
「ないところにこそ時間はあるぞ」
 猫は、急激に加速してはねずみの列を確認するために立ち止まる。
「切符を拝見いたします」
 各座席を回っているのは、イノシシの係の者だった。眠っている乗客にも、容赦ない突進を浴びせて職務を遂行している。
 ボールに乗った虎がゆっくりと入ってくるが、反対側から行進してくるのは象の一団だった。
「お先にどうぞ」
 象は片側に身を寄せて紳士的な態度で足踏みをしている。それでも虎はすれ違うことができず、ボールに乗ったままやはり足踏みをしていた。席を外した指揮者がオーケストラを停滞させているようだった。
「年が明けてしまうぞ!」
 12月の扉を突き破るような勢いで、象の背中を蹴って兎がなだれ込んできた。その時、天上から猫が落ちてきて、兎と鉢合わせになった。
「おまえは関係ない!」
 猫は、突き放された「!」を見つめたまま、固まっていた。

「切符を拝見いたします」
 ついに、イノシシが僕のところにもやってきた。けれども、その時、12月の列車はトンネルの中に突入したのだった。

 
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