思い出に残れば

2月11日は私の母の誕生日だった。誕生日の記憶を掘り起こしてみると、私や他の姉弟と父、祖母の誕生日の思い出はあるが、
母の誕生日をきちんと祝ったことがあるかと聞かれると、正直曖昧である。
それもそのはずだ、母は誰かが誕生日のときは仕事帰りに材料を買い込んでご馳走を作ってくれるが、母が誕生日のときにご馳走を作ってくれる人は母自身なのだ。
というのも、母と姉の誕生日が同じ日であり、その日は主に姉のほうがお祝いされていた。
流石に、成人して家を出たあとはそのようなことはないが、そうなると、2月11日に母自身がご馳走を作ることはしなくなり、働いている姉がケーキを買ってきて簡単にお祝いするくらいになった。
それほどまでに、母の誕生日をきちんと祝った思い出が無いのである。基本的に母は自身のお祝い事に関しては無関心なのである。
誕生日プレゼントは母に聞いて用意していた。ここ10年では毎年のように財布をプレゼントしていたと思う。

そして今年はというと、気がついたら11日を過ぎていた。お祝いメールすら送っておらず、昨日やっと送った程だ。
プレゼントすら用意していない。本当に申し訳ないと思っている。

思えば、母は常に縁の下の力持ちポジションだった。年間の行事(正月や祖母関連のお祝い)もほとんど自身は働きっぱなしである。
もちろん私達も手伝い等はするが、母の仕事量や気苦労は大きかっただろう。
今現在親兄弟と一緒には暮らしていないが、他の姉弟から話を聞く限り、やはり母に対して年々老いを感じている。

親はいつまでも元気ではない。ましてや今まですごく頑張ってきた母を思うと、急に動けなくなりそうで少し不安もある。
今までも少しずつ恩返しはしているつもりだが、何か母の思い出に残るもの、母だけでなく家族の思い出に残るようなことをしたいと強く感じた。

まずは手始めに、あまり得意ではないが料理でおもてなしでもしようか。
母の好物もわからないということに今気づいてかなりショックを受けているが、他姉弟も誘って母の好きなものに挑戦してみようと思う。
喜んでくれると、私も嬉しい。

(DG_K)

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