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第1,061話 新人採用のときは「終身雇用」を宣言しよう!

2021年10月03日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

終身雇用は崩壊したという言説をよく耳にします。「終身」というのはイメージに訴える簡易的な表現であって、決して「死ぬまで」ということではありません。実際の定義は「長期安定雇用」が正しく、定年までの雇用(概ね65歳くらい)と考えて良いでしょう。

この定義を現在の日本の企業に当てはめてみると半数以上が終身雇用であり、大企業ではその比率はもっと高くなります。また、産業能率大学のアンケート調査「新入社員の会社生活調査(2020 年)」によれば「終身雇用制度を望むか」では、「望む」が64.9%、「望まない」が35.1%となっています。

最近はテレワークの普及や副業の容認など、大きな社会的変化が生じているので、「望む」比率はもっと低下しているでしょう。とはいえ、新人の約6割が終身雇用を望んでいることは事実です。終身雇用制度は日本企業の主流と言っても良いでしょう。

では、終身雇用をイメージではなく実態から考えてみます。

(1)終身雇用は雇用契約ではなく、企業側の意思表示(あるいは暗黙の了解)である

(2)労働法(労働三法のほか様々な法律)によって労働者の権利は守られている

先ほどの調査を見る限り、新人は(1)というメッセージを信頼したいと思っています。もちろん口先だけで終身雇用を唱えて、実態はそうでない企業も中にはあるでしょう。しかし現在のように情報の非対称性が著しく低下している社会では、そんな会社の名前は簡単に知れ渡ってしまいます。

優秀な人材を採用して会社を発展させたいのなら、堂々と「わが社は終身雇用を守っていきたい」と宣言してください。同時に「会社は業績が悪くなれば倒産する。そうなれば雇用自体を維持できない。だから、終身雇用を守るために会社の発展に貢献できるような人材になってほしい」と伝えてください。

もちろん終身雇用にも問題点はあります。いわゆる「働かないおじさん」、「会社にしがみつく社員」です。会社へ貢献もせずに65歳まで居座られたら困る、という声も聞きます。だからこそ「一緒に終身雇用を守っていこう!」というメッセージに真摯に答えようとする新人を採用してください。そして、入社したらしっかり育ててください。

「いやいや、そんなに上手く行く保証はない」とお考えの方はどうぞ「成果主義」を採用してください。

成果主義は短期的な貢献に対する報酬システムです。しかし、一般的に大きな成果を上げられる人材は高い報酬を支払わなければ採用できません。そして成果を上げれば上げるほどそれに見合った報酬をどんどん上げていかなければなりません。それができなければ退社していくことでしょう。また、もし期待外れだった場合(2)のため簡単には解雇できません。かなりリスキーなシステムです。

そう考えれば、終身雇用はまだまだ日本企業、特に中小企業に必要なものだと思います。

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