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第1,062話 「旬」の人とは?

2021年10月06日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「年寄りには今さら研修を受けさせてもね。その分、もっと若い者、旬の人を対象に行ったほうがいい」

これは私が時々企業の研修のご担当者からお聞きする言葉です。

私はこのお話をお聞きした後に「〇〇さんがおっしゃる年寄りとは、何歳くらいですか?」と尋ねることにしていますが、そうすると「50代以上」という答えが返ってくることが多いと感じています。

では、皆さんは50代以上を研修の受講対象とすることに対して、どのように考えますか。確かに、研修にかけられる予算には通常は限りがありますから、それをどの階層に重点的に配分するのか、そのためにはどのように考えたらよいのかについては、なかなか悩ましいところだと思います。

これに関して、私はその組織に在籍する以上、必要があれば50代はもちろんのこと、60代であっても積極的に研修の受講対象とするのがよいと考えています。その理由は2点あります。

1点目としては、モチベーションが下がるからです。具体的にいうと、まず研修は必ずしも社員に歓迎されるものではないということがあります。そのため、必修の研修の受講を指名された人の中には、「研修は嫌いだけれど、指名されてしまったから仕様がない。受けないといろいろ言われるから受けるか」といった気持ちで受講する人がいるのも事実です。

しかし、そういう中でも、いざ同じ階層の別の人が招集されている研修で、自分だけが指名されないようなことになると、「なぜ、自分は呼ばれなかったのか?自分はもう不要なのか?」と考えてしまい、一気にモチベーションが下がってしまう人がいるのです。

2点目の理由としては、研修は新たな階層に昇格したタイミングだけでなく、昇格後にも継続的に受けることに意味があると考えるからです。

というのも、先日ある企業で「部下の育成」をテーマにした研修を弊社で担当させていただきました。その研修は希望者が受講できる、いわゆる希望型の研修だったのですが、30名の募集枠に対して大幅に上回る数の人が応募されました。応募した方々の属性は、当初のご担当者の想定では、圧倒的に新任の管理職が多いだろうと考えていたとのことですが、実際には予想とは異なり、8割は管理職になって既に数年が経過している人達だったのです。

その人達は、管理職として数年の経験があるからこそ、部下育成において様々な疑問や悩みが生じていて、何とか改善したいと思っていたのではないでしょうか。オンラインではありましたが、皆、とても熱心に取り組んでいる様子が伝わってきました。さらには、午前中の終わり、そして終了後も多くの人から次々と具体的な質問を受けました。

もし、冒頭の話のように「50代は年寄りだから、もう研修は受講させない」としてしまったら、この受講者達は疑問や悩みを解決できず、自己流で部下育成を続けることになってしまったのかもしれません。そうなると、場合によっては部下のやる気を損なわせてしまったり、成長を止めてしまったりというようなことにもなりかねません。こうなると、最終的にはその企業にとっても大きな問題になってしまいます。

企業にとっては、これまでの65歳までの雇用確保から、70歳までの就労機会の確保が努力義務になりました。それを考えると、50代はもちろんのこと60代であっても、必要であればどんどん研修を受講してもらう必要性が増えていくと思います。もちろん、予算の配分などの問題はあるでしょうが、しかし、組織にとってヒトは最大の経営資源なのです。

そのヒトを有効活用するためにも、企業の人材育成部門においては、年齢で一律に研修対象者から排除するという考え方は改めていく必要があるのではないかと思うのです。

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