中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,066話 内定辞退を防ぐにはどうすればよいのか

2021年10月20日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「採用予定者が、内定式では○○人になってしまいました。辞退が続き当初の予定人数を大幅に下回ってしまい、正直困っています」

これは、私が今月お会いした複数の企業の人事担当者からお聞きした言葉です。長期間にわたり採用予定者の選考に心血を注いできたのにもかかわらず、結果が報われなかったわけですから、お話を伺っていてとてもがっかりされていることが伝わってきました。同時に、来年度はどうすればこの事態を改善できるのかと悩まれていることもわかりました。

では、実際に学生はどれくらいの数の企業から内定を得て、どれくらいの割合で辞退をしているのでしょうか?

就職未来研究所の就職データによると、2022年の卒業予定者の大学生の10月1日時点の内定取得企業は、2社以上とする人が62.8%、内定辞退企業数は2社以上が33.2%、また内定取得者であっても就職活動を実施している率は5.3%とのことです。この数値からも、企業が採用活動の問題点として内定辞退を上げる理由がわかります。

先日の朝日新聞の記事(2021年10月18日朝刊)でも、複数の企業から内定を得た学生の辞退が入社直前まで続き、企業は戦々恐々とのことでした。

それでは、学生が内定を辞退する理由はどのようなものでしょうか?記事で紹介されていたのは、コロナ禍で選考の方法がオンラインになった結果、企業を訪問することがないままに内定を得てしまい、企業のイメージをつかみにくいことがあるとのことでした。

確かに、オンラインでは企業の雰囲気を感じることは難しいので、入社の決め手となるものがはっきりしないのは事実だと思います。しかし、選考方法が対面に戻れば問題は解決するのかと考えると、そんなに単純な話ではないと私は感じています。

私はここ数年、ある企業の採用の2次試験の集団討議の面選管を担当させていただいています。その企業は1次試験から最終面談まですべて対面で行っており、その際には組織の雰囲気をわかりやすいように工夫をするなど、できる限りの情報提供をされています。しかし、それでも残念ながら辞退を防ぐことはできず、昨年度は再募集を行うこととなりました。

多くの企業が内定期間中に面談の機会を設けたり、先輩社員と交流できる機会を設定したり、社内報を送付したり、内定者同士が繋がれるような工夫をしたり、通信教育を提供したりと様々な工夫をしています。しかし、残念ながらこれらを行っても、辞退を防ぐ有効な手段には必ずしもなっていないのが実情のようです。

今後、わが国では労働力人口の減少がさらに進んでいくことが予想されています。新たな労働力の確保という意味で採用活動はますます重要になっていくわけです。「学生から選ばれる企業になる」ためには、採用活動のみに焦点をあて対応するのではなく、もう少し広い視野から企業全体の魅力を高め、積極的にアピールしていくことを考える必要があると思います。

このテーマは中小企業のみならず、すべての企業において今後ますます重要な課題になりそうですが、将来の大切な人材を確実に採用するためにも、いち早く取り組みを進めることが必要ではないでしょうか。

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