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第1,064話 雑談とコミュニケーションの関係

2021年10月13日 | 研修

すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「雑談について、講師はどのように考えますか?」

これは、先日弊社がある企業で担当させていただいた部下育成に関する管理職を対象にした研修の際に、一人の受講者から受けた質問です。

質問の意図がよくわからなかったので、確認の意味でいくつか質問をさせていただいたところ、質問者自身雑談があまり好きではないことから、「コミュニケーションをとる上で、雑談は必要なものなのか」を聞きたかったとのことでした。

これに関して、最近の風潮として雑談の有用性について語られることが多いように感じています。試しにAmazonの書籍検索で「雑談」と入力すると、1,000件以上のヒット件数が表示されます。このことからも「雑談」が身近なテーマになっていることがわかりますが、逆に言えば、だからこそ冒頭のような疑問を持つ人も少なからずいるのではないかと思います。

では、皆さんは雑談はお好きでしょうか?苦手でしょうか?

私は、これまでに雑談について書かれた本を10冊近く読んでいますが、雑談の効果として人間関係がうまく築けたり、知識を得ることができたりするなどということが共通して書かれていました。

しかし、雑談は人間関係を築く上で本当に必須のものなのでしょうか?改めて雑談の意味を辞書(広辞苑)で調べてみたところ、「さまざまな談話。とりとめのない会話」とありました。ここからは、雑談とは話の本題とは異なるまとまりのない会話ということで、あくまで本題の前段であり、あってもなくても良いものであると言えそうです。

そのように考えると、雑談≠コミュニケーションであり、雑談ができることが即コミュニケーション上手ということではないと言えるのではないでしょうか。

コミュニケーションとは、単に情報や知識を一方的に伝達することではなく、発する側と受ける側で共有することです。ですから、まず話の本題に関して伝えるべき情報を伝え、それが話し手と聞き手の双方で共有されなければなりません。

これまでコミュニケーションに関する研修を行ってきた経験から、自分自身「コミュニケーションが苦手」と感じている人は少なくないと感じています。そういう人にコミュニケーションが得意な人のイメージを質問してみると、「誰とでも会話が盛り上がる人」、「会話が長く続く人」というような答えが返ってくることが多いのですが、そこには雑談も含まれていることが多いのです。

しかし、雑談で会話が盛り上がり長く続いたとしても、肝心の伝えるべき情報がきちんと伝わり、双方で共有されなければ、それは本来の意味でのコミュニケーションとは言えないものです。

うまくコミュニケーションがとれるということは、無理に雑談をしてでも会話を盛り上げる、量を多くするということではありません。「雑談をしなければならない」という思い込みで、無理をする、自らを苦しめるようなことのないようにしていただきたいと思うのです。

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