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研修当日に受講者の欠席をなくすためには

2017年04月26日 | コンサルティング

「○○と△△は急用が入ったため欠席です。よって、受講者は□□名になります」

研修当日、私がパソコンの設定などの準備をしていると、担当者からこのように声をかけられることが度々あります。企業によっては、欠席者が出ることはルーティンになっているようで、当たり前のこととして片付けられています。

それでは、研修当日の朝に急きょ欠席しなければならない急用には、どのようなものがあるのでしょうか。

詳しく理由を尋ねてみると、「トラブルが発生した」、「お客様から急に呼ばれたため、外出をしなければならなくなった」、「短納期の仕事が入った」などが主な理由のようです。さらに、お子さんの具合が悪くなったことや、親の介護など家庭の事情による欠席もあります。

研修当日の欠席者が多い企業では、いずれの理由も仕方がないこととして受け入れられているようですが、一方でせっかくの受講の機会を逃してしまっているわけですから、傍から見ても実にもったいない話だと感じます。

以前から、こうした事態を何とか打開できないものかと考えていたのですが、先日お会いしたある製造業の担当者から伺った話では、この問題に対して徹底的に先手を打っていらっしゃるとのことでした。

具体的には、研修日程は早い段階(前年度中)に受講者本人のみならず直属の上司に対して、さらに取締役にもアナウンスをしているそうです。

本人だけでなく上司にも知らせる理由は、研修当日に受講者の仕事に問題が発生した場合に周囲の人が対応できるようにしておくためです。また、役員まで知らせる理由は管理者に対して、受講者がしっかり研修に出られる環境を作らせるということだそうです。

仮に、受講者が営業担当であれば、お客様にも研修日程を伝え、研修の間に問い合わせが発生した際には上司を始めとして職場、つまりは会社全体でフォローするようにしているとのことでした。

このように、研修に対する事前の段取りを徹底することによって、受講者本人に対しても職場に対しても「当日のキャンセル(ドタキャン)は絶対に許さない」というメッセージを伝えられることになります。これにより、この企業ではドタキャンは出ていないとのことでした。

研修のドタキャンを「仕事が理由だから仕方がない」と許してしまう担当者は、そもそも研修日程のアナウンスが1か月を切ってから行っていたり、受講者本人にしか伝えなかったりというやり方をしていることが多いようです。

そうすると、部下が研修に参加することを把握していなかった上司が、当日になって初めて部下が席にいないことに気がつき、「○○は今日は休みか?」と聞くこととなります。そして、研修で留守にしていることがわかると、「何で人事はこんなに忙しいときに研修なんかやるんだ。全く人事はわかっていない」などと言ったりすることになります。

そして、部下が担当している顧客から問い合わせやクレームが入ったりすると、慌てて研修中の部下に連絡をしてきて、顧客対応を優先するように命じることが起きてしまったりするわけです。

これらのことから、研修当日に急な欠席者が複数人も出てしまうような企業には、それ相応の原因があると考えられます。反対に研修担当者が「研修についてはドタキャンは許さない、そのためには事前に段取りを丁寧に行う」というようにぶれない姿勢を持てば、これらの問題は回避できるということです。

研修を急きょ欠席することとなった受講者が、「研修から逃げられて得した」と考えるのか、「大切な機会を逃してしまった」と考えるのかは、これも研修担当者、ひいては会社の考え方や風土によって異なるでしょう。

しかし、貴重な時間と費用をかけて外部から講師を呼び、研修を行っているのですから、費用対効果をださなければ何とももったいない話しです。

「研修で当日の欠席者が多くて困る」と感じていらっしゃる研修担当者の方は、一度上記を参考に研修の段取りから振り返ってみられることをお勧めいたします。

前述のご担当のように熱き想いと丁寧な段取り、これを継続的に行うことこそが唯一の秘訣だということです。

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