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企業の戦略の周知が、メンタルヘルスに影響する!

2014年11月05日 | コンサルティング

本日の朝日新聞の朝刊に、「パワハラ自殺賠償命令」という見出しの記事が掲載されていました。日経新聞でもメンタルヘルスについて連載されていましたし、ここ最近、メンタルヘルスにかかわる報道が以前と比べて増えたように感じます。

事実、企業におけるメンタルヘルスにかかる損害賠償の申請件数は、このところ右肩上がりで推移しているようですし、来年12月からは企業のメンタルヘルス対策の一環として、社員50人以上の企業では、ストレスを抱える社員を早期に発見するための「ストレスチェック」が義務化されます。

メンタルヘルスに影響を及ぼす要因には、個人にかかわる要因もありますが、職場におけるメンタルヘルスに影響を与えるものの一つに、企業の戦略など組織の方向性が社員に具体的に知らされているか否かがあるとのことです。

確かに、社員にとっては自分の会社が一体どこに向かおうとしているのかがよくわからなければ、一所懸命に仕事をしようにも、どちらを向いて仕事をしたらよいのかわかりませんから、どうしても力が入らないということになってしまうのではないかと思います。

これは一見とてもシンプルな話のように思えますが、意外にも社員に対して明確に方向性を知らしめている企業ばかりではないようです。

例えば、私が研修で伺う企業の中でも、「最近、自社の売り上げが下がっている」ということは聞かされていても、具体的な売り上げ額が明らかにされていなかったり、そもそも今年の売り上げ目標がいくらなのか、また予算がいったいどれくらいあるのかなどの具体的な数字が示されていないところが少なからずあります。

上場企業であればインターネットで調べることはできますが、そうでない企業は内部で情報発信がされなければ、社員自ら質問をしないとその情報にたどりつくことができないということになってしまうわけで、こうしたストレスが積み重なるとやがては社員のメンタルヘルスに影響を及ぼすことにつながってしまうのではないかと思います。

このように、メンタルヘルスに影響を与えるものとして、長時間残業やパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどだけでなく、もっと身近な、会社の戦略をはじめとした方向性を社員に広報することの重要性についても、今一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。

管理職の皆さん、明日、試しに部下に自分の会社が向かっている方向はどこなのか、売り上げはいくらなのかを尋ねてみてください。

もし部下がはっきり答えられないようならば、メンタルヘルスの面からも早めに対応する必要があるかも知れません。

(人材育成社)