中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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マッキンゼー流「できる上司」が無理な理由

2014年11月30日 | コンサルティング

マッキンゼーといえば世界ナンバーワンのコンサルティングファーム(経営コンサルティング会社)です。様々な会社の経営者に対して切れ味鋭い助言を行い、高額のコンサルタント料を稼ぐ超エリート集団です。

またマッキンゼーは優れた人材を輩出することでも有名です。経済評論家の勝間和代氏、DeNAの創業者の南場智子氏など多くのスター経営者、評論家、大学教授がマッキンゼー出身です。

先日、「マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣(大嶋祥誉・著、アスコム 、2014年7月)」という本を読んでいたところ、マッキンゼーの「できる上司」たちが実践している3つのポイントというのがありましたので、ご紹介します。

できる上司は・・・
1. 部下を認める
2. 部下に共感する
3. 部下をインスパイアする(刺激する)
・・・を実践しているそうです。

そのためにまず行うことは、「部下の強みを最低10個リストアップし、部下に伝える」ことだそうです。できる上司は「部下を認め、共感し、刺激する! 認めることで、部下のやる気を引き出す!」とのことです。

みなさんいかがでしょうか?即座に「それは無理」と思われたことでしょう。私も同感です。この3つについては、少なくとも「普通の日本の会社」ではかなり難しいと思います。

なぜなら3つのポイントはすべてハイレベルの部下を想定しているからです。

3つのポイントを「正しく」解釈するならば次のようになります。

1.認めるに値する能力を部下が持っている(秘めている)、2.共感できるような考え方や姿勢を部下が持っている、3.刺激されることで自律的に動く部下がいる

おそらくマッキンゼーには、そうした超エリートしか入社してこないのでしょう。いわば「ポルシェの新車」のような人たちです。

ごく普通の日本の会社に入社してくるのは非エリートであり、いわばごく普通の国産車です。誤解しないでいただきたいのですが、国産車はメンテナンスをきちんと行えば、長期間安定したパフォーマンスを発揮できる優れた存在です。

1.部下を認めるためにはまず部下の能力を知ることが必要です。2.部下に共感するには部下の考え方を知ることが必要です。3.部下をインスパイアするためには刺激を受信できる知識や能力をつけさせることが必要です。

この3つの「必要な行動」を実践するためには部下はもちろん、上司自身も学び続けなければなりません。日本の会社で最も大切なことは、上司も部下もひっくるめて「人」を長期にわたってきちんと育て続けることです。

ちなみにマッキンゼーの社員のおおよその在籍年数は3~5年とのことです。超エリート集団だからこそ、あえてそれを自慢できるのでしょう。

上司も部下も超エリートではない会社では、長い時間をかけて人材育成を行うこと、それがすなわち会社そのものを育てることにつながります。

(人材育成社)